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INTERVIEW

DESTRAGE

2016.12.05UPDATE

2016年12月号掲載

DESTRAGE

Member:Matteo Di Gioia(Gt)

Interviewer:今谷 重治

-今年10月に発表した4枚目のニュー・アルバム『A Means To No End』は前作『Are You Kidding Me? No.』(2014年リリースの3rdアルバム)から約2年半ぶりのリリースとなります。制作自体はいつごろからスタートしたのでしょうか?

ウチの地下室にみんながボチボチ集まるようになったのは2015年2月ぐらいからかな。誰かが作ったリフを持ってきたり、何かしら曲のアイディアを組み立てて持ってきたりとか、そういうことはなくて......。みんなで集まって頭をボリボリ掻いたり鼻クソをほじったりしながら、"あーでもないこーでもない"ってくだらない話をすることに最も時間を使ったんだ。演奏なんてまったくしないでね。とてもバカげているかもしれないけど、今回はそういう時間が本当に大切だったんだ。地下室だから天井は低いし、外の世界から閉ざされた空間で。下準備もなかったけど、5人でひたすらアイディアを出し合った。

-具体的にはどのように進めていったんでしょうか?

最初は本当に簡単なことから始めたんだ。ちっぽけなアンプを使って行き当たりばったりで、コードをジャムったり、メロディを考えたり、エレクトリック・ドラムを叩いたり......低音量なうえに低光量な感じだよ(笑)。

-前作同様、今作もMetal Blade Recordsからのリリースとなりますが、そこでのバンドの成長など何か変化を感じることはありますか?

今回の制作に入る前に、Metal Blade側はデモを何曲か聴かせるようにと言ってきた。最初、彼らが今回の作品を気に入らないんじゃないかと心配したけど、「Don't Stare At The Edge」(Track.2)と「Silent Consent」(Track.4)の初期段階のバージョンを聴いてとても満足して、契約を更新してくれたんだ。契約内容は据え置きなんだけど、バジェットが増えたんだ! 彼らは俺たちの仕事に対して、いつもとても敬意を払ってくれているよ。

-今作のタイトル曲にもなっているTrack.1「A Means To No End」は、アコギを基調としたどこかエスニックな雰囲気も漂う、ある意味"らしくない"曲です。てっきりイントロダクション的な扱いなのかと思いきや3分も続くという、DESTRAGEの変革を表す曲ともなっているのではと感じましたが、これはどのような意図で制作されたんでしょうか?

「A Means To No End」は"目的のない手段"という意味で、一般的によく使われるありきたりな言葉で"a means to an end=目的のための手段"をもじって逆の意味に仕立て上げたんだ。"これは目的のための手段だ"と言うと、諦めに似た悲しい感じがするじゃない? 例えば、俺たちがうんざりする"目的のための手段"は、金のためにやることすべてさ。その反対を意味する"目的のない手段"という言葉は、役に立たないものに栄光を与えるんだ。偉大なものはだいたい役に立たない、アーティスティックなものなんだ。このアルバムに入ってる曲が俺たちの美意識に訴えかけないものだとしたら、そこには何の意味もセンスも存在しない。そしてその美意識ってやつはわざわざ正当化する必要がないんだ。音楽は芸術と同じで、不必要なものが昇華された永遠に無用なものなんだよ。それを利用することで、"価値"が損なわれる。つまり、"目的"を求めることで"手段"が汚されるんだ。"手段"というやつは、そもそも"目的"に繋げるためのプロセスであって、"目的"なしに成り立つわけではない。だからこそ"目的のための手段"という言葉をぶち壊すことで、新しい世界観が開かれる感じがしたんだ。俺たちの生活のすべては、何らかの"目的"を意図して営まれている。でも本当は、俺たちはただ存在しているのではなく、流動的な"手段"を繰り返しているだけなんだ。西洋文化は個人主義の考え方が中心で、それは非常にシンプルで当たり前のように思えるけど、スーパーヒーローのモチベーションや、特権階級の売り上げを伸ばすためのものだ。俺たちはみんな何かを作っているように振る舞っているけど、実際にはそんなことはない。東洋の哲学では"人間は宇宙の一部にすぎない"と考えるし、俺もそれが正しいと思っている。「Abandon To Random」(Track.13)の一節で"世界はお前の一部じゃない、コントロールすることはできないよ"という歌詞があるんだけど、まさにそんな感じだ。あぁごめん、なんか長い話になっちまったな~。まぁナイスな質問だ、俺はこの質問が好きだよ。

-続く「Don't Stare At The Edge」ではDESTRAGEらしさを取り戻した感じがありつつも、前半は今まで以上にヘヴィに攻めた重たいリフが印象的です。かと思えば後半ではテクニカルなプレイが続出して一気にその世界観に呑み込まれます。この曲で意識されたことは何ですか?

君が言うとおり、この曲は自然な感じで作ることができたんだ。何を意識してと言われても、俺たちはリスナーにどんな影響を与えるかなんて知らない、神様じゃないんだから。音楽が与える影響は人それぞれ違うし、時代によって変化する。俺はその予測不能な感じや、混乱、制御不能な結果が好きだ。混乱は、俺を作用/反作用という行動原則の退屈なルールから解放し、責任の重荷を取り除いてくれる。だからこそ、俺たちは他人が何を考えているかを推測しようとはせずに、その瞬間に自分たちにとってベストな行動をするだけだ。

-この楽曲でミュージック・ビデオも制作されています。監督にLorenzo Ameriを起用した理由をお聞かせください。

Lorenzoは友達なんだよ。彼は非常に才能があるし、プロフェッショナルだ。Lorenzoが「Don't Stare At The Edge」のミュージック・ビデオの監督をしたいと言ってくれたので、俺たちは"イエス!"と答えたんだ。これは恐怖をテーマにした曲なんだけど、彼は自身の"恐怖のイメージ"に対する個人的な視点を持っていた。この曲は、DESTRAGEの中で唯一俺が監督を担当していないミュージック・ビデオなんだ。その出来に本当に満足しているんだけどね。音楽を視覚化するために、自分たち以外の感性を取り入れることはいいことだよ。