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INTERVIEW

THE PRODIGY

2015.04.01UPDATE

2015年04月号掲載

THE PRODIGY

Member:Liam Howlett(Prog/Key/Synth) Maxim (Vo/Beatboxing)

-本作が出るまで6年のブランクがありました。『Invaders Must Die』での華々しい復帰、ツアーとかなりハードな日々という印象がありましたが、あの復帰大ブレイクであなたたちはどのような経験をし、どのような学びを得たのでしょうか?

Liam Howlett(以下L):バンドの結束が再び固くなったね。ツアーに出ているときは3人が密接に仕事をするから、バンドとしてタイトになる。そのためにスタジオに入って曲作りするのも楽になるんだ。THE PRODIGYのアルバムはどれも準備に時間がかかるんだけど、それはそうするのに望ましい思考になっているかが重要で、すべてが整ってないとならない。それに、時期も適切でないとならない。

-バンドを入れながら非常にヘヴィでダーティ、そして汗だくになって踊れる作品となりました。またパンクやハードコアに近いスピリッツを強調されたアルバムにも感じられます。このようなかなりエッジの効いた作品になったのは何が大きく作用したのだと思いますか?

Maxim(以下M):もちろん、全編通してTHE PRODIGYのサウンドにはなっている。どのアルバムもそうだけどな。そうなったのは、今というときが影響してるんだ。現在における俺たちのいる環境、周りにある音楽の影響だ。このアルバムは、他のメンバーはわからないけど、俺にとっては俺たち3人がこれまでで最も統合された、ひとつにまとまったアルバムで、俺とKeith(Flint/Vo)がかなりヴォーカルを取っているから、ライヴに適したアルバムだ。9割方ライヴで再現できる内容だ。前作はコラボして作った曲が何曲かあったから、そうはできなかった。だから、バンドがひとつとなったアルバムだ。ライヴ・パフォーマンスのことを考慮すると、今作は厳密な意味でのライヴ・アルバムだといえる。

-Liam、アルバムをリリースするあたりからあなたのコメントがメディアに出た際に、よくEDMを批判するコメントをしていました。EDMをスタジアム・ダンス・ミュージックとして捉えるならば、その先人にはあなたたちTHE PRODIGYの存在は外せません。現在のEDMスタイルとあなたたちのスタイルがスタジアム・ダンス・ミュージックという線上で決定的に異なっている点は何だと思いますか?

L:俺からしてみると、EDMはポップ・ミュージックにハイジャックされてしまった。EDMサウンドをハイジャックしたポップ・アーティストが大勢いる。それには必ず裏の側面があって、一端には、この音楽のコマーシャルな使用法がある。俺たちが果たすべき責任は、その反対側にあることをするということだ。俺たちのサウンドはもっと耳障りで挑戦的だ。 それが俺たちの仕事、俺たちのやっていることだ。陰陽というか、その対極にある状況もあるべきで、このアルバムはMaximも言ったように、俺たちの周辺で起こっていることが影響していて、今作のサウンドはEDMの商業化への反動だ。俺はあえてそう言っておく。そういう発言をしておくのは重要だからだ。Britney SpearsやRihannaといった人たちは素晴らしいポップ・アーティストではあるけど、俺たちとの接点はまったくない。俺たちのサウンドとは関係ない人たちだ。それをハッキリさせて、そういったことに逆らったアルバムを作るのは重要なことだ。

-今、ヨーロッパではフューチャー・ハウスの流れが来ていますが、この流れに関しては少々違和感を感じています。こうしたダンス・シーンへ動きへの見解を聴かせて下さい。

L:俺は、前に進んでるものは何でも歓迎する。音楽につけられたただのキャッチフレーズのようなもんで、音楽ジャーナリストが考えたのかもしれない。それはわからないけど......ベッドルームにいるガキがそう言ったとは思えないもんな(笑)。

M:違うね。

L:基本的に、ベッドルーム、ベッドルーム・スタジオで音楽を作ってる若い子たちにかかってるんだ。彼らがこういった音楽を前へと推し進める。俺たちがバンドとしてそうするわけではない。俺たちが音楽シーンを推進するわけではないんだ。俺たちは、バンドとして最高の曲を書いて最高のアルバムを作ることが重要だ。俺たちは自分たちのアルバムをライヴでプレイすることに興味がある。と言っても、ダンス・ミュージック・シーンに対する意見は持っている。でも、それは俺たちの意見であって、みんなの意見ではない。

M:そうだ。ダンス・ミュージックは速い速度で変化してるからな。Liamも言ったように、いろんな音楽に対しての個人的意見はあるけど、現実は現実だから。

L:そうだよな。

-一方本作では「The Day Is My Enemy」や「Get Your Fight On」「Wall Of Death」などダイナミックなロック・フィーリングあふれる曲もあります。個人的には最近のロック・シーンも元気がないように感じられ、これらの楽曲に新鮮なエネルギーを感じたのですが、ご自身ではシーンをどのように感じてらして、そのムードを一蹴するにはどうすればよいと考えますか?

L:エキサイティングだと思ってるんだ。というのも、今のダンス・ミュージックのように何かコマーシャルなことが起こってると、アンダーグラウンドで興味深いロック・バンドが姿を現してくる。そういったサウンドにおいて、エキサイティングなことが起こってもいい時期に来ている。俺たちのことを言えば、シンセサイザーを使うのと同じようにギターも使ってノイズを表現している。あるサウンドがノイズをうまく伝えられないのであれば、ギターを使ってみたりする。ギターがダメであれば、シンセを使ってみる。それがどちらであろうと俺たちは気にしない。サウンドはサウンドだからだ。俺たちはロック・バンドやエレクトロ・バンドになろうとしてるわけじゃなくて、THE PRODIGYの音楽を作ってるわけだ。それに、ギター・サウンドもいろいろといじくってみて、トラディショナルなサウンドとは違うものにしようとする。それがシンセなのかギターなのかわからないようにするんだ。そういうのは面白いと思う。