－（笑） お客さんにアホになってほしいというのがKOMの根底にあるんですね。

w-shun：そうですね（笑）。お客さんも僕ら見てないですからね（笑）。片方ではサークル作ってるわ、片方ではモッシュしてるわ、2ステップ踏んでるわで、後ろの方でちっちゃい子が観てたりとか、そういうのを見るとお祭りみたいでこっちもテンションあがるというか、闇雲に暴れるだけじゃなくて、ちゃんと自分の目的も果たしてくれてる感を凄い感じてて、ピースだなと思うんです。

ナオミチ：で、この曲は休憩がなくてテンション上がりっぱなしってのが最終的なコンセプトになってたんです。最初はAメロで落ち着いた感じだったんですけど、もう常に振り切った状態でやってしまえって。最終的にはどこまでも走ってしまう感じですね。

－お客さんに自分たちを観てほしいとは思わないですか？

w-shun：いや、別にないですね。音を鳴らしてて、鳴ってる音を共有できてる感じは凄くあるから。まぁ全員が後ろ向いてたらさすがにイヤですけど（笑）、そういうわけではないので。自分たちが鳴らしている音を使って何かをしてくれてるってのは視覚に入ってくるので。椅子に座って観るようなバンドではないので、それはそれで凄くいいことなんじゃないかなと思います。

－音に対して自由に遊んでくれって言うのは、ライヴにクラブ的な楽しみ方も与えている感じがしますね。

w-shun：そうですね、ライヴって自発的行為だと思うので。モラル的なところはもちろんありますけど、自分が楽しみに来てるはずなので、最終的には"来てよかった！"って思って帰ってもらわないと。だから "好き勝手やってちょうだい！"って（笑）。

－この曲はお客さんがブンブンタオルを振り回してる画が想像できます。

w-shun：タオルも昔やってましたけど、タオルよりも体ぶつかり合ってモッシュしてるのを見るほうが最近は心地がいいですね。ああいう踊りながらモッシュするって新しいなと思いますね。ただ早いビートでグシャってなるんじゃなくて、曲が始まって踊り狂ってたら、上手にいたのに下手に行っちゃいましたみたいな、そういうゴールの見えない遊び方っていいんじゃないかなって思います。視覚としてはタオルの方が映えるんでしょうけど、最近はそこまでこだわりがないですね。

－Track.11の「Sunrise」が2曲目のMV曲だそうですが、「I still」とは真逆のエモーショナルな曲だなと思いました。

ナオミチ：最初にまず"こういう曲やってみたい"ってのがあったんです。

w-shun：ずっと"アコギの曲がほしい！"って言ってました。

亜太：アコースティックで、みんなでシンガロングしながらも、もうちょっと切ない感じを残しつつっていう新しい挑戦ですね。

－この曲がMVに決まったのはどういう経緯ですか？

w-shun：最初「Flight」と「Sunrise」でどちらにしようか悩んでたんです。なんかしっとり渋みとか出したかったんでしょうね（笑）。この曲は今までで表現したことのないテイストの曲ですね。今作自体、奇をてらったわけでもないし、メジャーだからというよりは、メジャー1stアルバムだからこそもっととっ散らかって好き勝手やりましたみたいな作品にしたかったんです。その象徴のような2曲をMVで撮って、どういうレスポンスが返ってくるのか、ワクワクして楽しみにしてます。

－今MVって凄く重要なプロモーション・ツールで、MVがバンドのカラーを決めると言っても過言ではないので、「Sunrise」を2本目にしたのはKOM勝負してるなと感じました。

w-shun：今まで何本かMVを作らせてもらったんですけど、元気いっぱいな感じのMVが多かったので、こういうテイストの曲も武器としてあるのに、何で撮らなかったんだろうなって。「Flight」もお気に入りではあるんですけど、MVがこういう感じのテイストかなって、ちょっと画が見えて想像できるというか。「Sunrise」はどういう画になるのか自分たちでも想像がつかなくて、そういう刺激というか楽しみが自分たち自身にもあっていいんじゃないかなって思って。

－2本目はどういう撮影になりそうですか？

w-shun：海岸で撮るらしく、「Sunrise」なんで日の出にあわせて朝の4時入りです（笑）。

dEnkA：こんな真冬に朝から海岸で（笑）。

w-shun：なんで"Sunset"にしなかったんやろ......（笑）。

－（笑） 夏っぽいイメージですね。

w-shun：確かに夏の終わりかけの切ない雰囲気はありますね。暑い時期にできたわけじゃないよね？

ナオミチ：うん、夏前だね。

w-shun：でも冬にリリースするのは分かってたんで、全部アッパーでも疲れると思うし、そういうミドル・テンポの切ない感じの曲もできるということを提示したかったんです。

－曲順もアルバム最後に非常にマッチしてますね。

亜太：「Flight」を最後にって案もあったんですけど、前々作の『reality & liberty』の時も「Climber」っていう同じようなビート感の曲で締めていたので、それじゃあまり変わり映えしないってのと、曲の雰囲気も考えて「Sunrise」で終わった方が1つの作品として締まるし、新しい試みという意味でいいんじゃないか、ってみんなで話し合って決めました。

－曲順で他に悩んだ部分はありますか？

w-shun：中盤は結構悩んで入れ替えたりしました。8曲目、9曲目ってこのアルバムのなかでゴリゴリしてるんですけど、割と自分たちが今まで得意としてやってきたものだったので、これをどの位置に入れるかで全然印象が変わってきました。どの位置に入れることでより効果が増すのか考えました。結果的には後半休ませる間もなくガッと攻めて、最後に「Sunrise」で急に切なくなるという（笑）。フル・アルバムなんで起承転結はしっかり付けたかったんですけど、これが1番きれいな流れかなと。