－"守る物、壊す物"という歌詞のところから、曲調が一転してアンセミックなパートになる部分はユニークですね。

w-shun：アルバムのなかで結構早い段階で完成した曲なんです。この曲はやりたかったことを存分にできたので、この曲ができたことで体温が上がったというか、テンションが上がりましたね。メロディだけでなく、構成の部分でもしっかりとインパクトのあるものを作りたいと思ってて、頭の歌から始まるのとか今までにやったことないパターンだったのですが、それをあえてチャレンジしてリード曲として新しいアイデアをぶっこんでみようと思って。

－それでもKOM節が出てますね。これを聴いて"誰だろう？"って思わないですし、みんなKOMだって気付くと思うんですよね。それは凄いと思うんですよね。今までと違うことをやっても、ファンは拒否反応を示さず、スッと受け入れられるんじゃないかなと思います。自分の好きなバンドが今までと全然違うアルバムを作って、ガッカリした経験ってありませんか？

w-shun：スッゴいそれ、ありますね（笑）。

－チャレンジして新しいサウンドを作り続けるか、ファンの期待に応え音楽性を変えずに似たものを作り続けていくか、アーティストって大きく分けるとそのどちらかだと思うんですよね。KOMの場合新しいことにチャレンジしてるのに、ファンに拒否感を与えずちゃんと期待に応えている、つまりどちらも兼ね備えているのが強みなんじゃないかなと思います。

w-shun：ありがとうございます。でもとんでもない方向に行くとすぐ迷子になるんですけどね（笑）。

－「Paint it Out!!!!」も途中で雰囲気がガラッと変わりますが、そういう転調が好きなのかなと思いました。

w-shun：そうですね、なんかとんでもない感というか。

亜太：ひねくれてる感じというか。ベタが嫌いというか。遊び心やいたずら心や各々の性格や人間性も曲の中に落とし込みたいという野望があるので。きれいにAメロ、Bメロ、サビ、間奏、サビってのをやるバンドではないんですよね。それは他のバンドがやったらいいんじゃないかなって（笑）。

w-shun：昔そういうのもやってたけど、飽きたというか、もう少し違うことをやっても面白いかなと。

－ちなみにこのMVの撮影は終わってるんですか？

w-shun：もう終わってます。ガンガンで攻め攻めのMVですね。超寒かったんですけど、dEnkAはやっぱり半袖着てたんで（笑）。扇風機で風がブワーって吹いてて、葉っぱとか飛んでくるんですよ（笑）。

ナオミチ："落ち葉"って書いてある袋とか"砂"って書いてある袋がありましたもん（笑）。

－それは過酷な撮影ですね。ベタじゃないことが好きということですが、次の曲「You have got freedom」が1番ストレートで、ライヴで盛り上がりそうな曲ですね。

w-shun：ライヴ・アンセムを作りたかったんです。ライヴに来てくれるお客さんに向けて、1番沸点が高い曲を作りたいというか、キラー・チューン以外の部分でそういうのがあってもいいんじゃないかと思って。そういう部分でこれはぜひ入れたいと思ってて。2ビートも入れてみたんです。

ナオミチ：前のアルバムでも2ビートはあまり入れることができなかったので、今回はこの曲ができて嬉しかったですね。

－Track.6の「The large world」も面白い曲だなと思いました。

w-shun：これも悪ふざけ満開ですね（笑）。これは「Paint it Out!!!!」と同時期に作ってて、シングル候補として上がってたんですよ。とりあえずアホになれる曲を作りたいなと思って、ライヴで"あ～あ～"ってお客さんのアホな感じの声がほしくて（笑）。まじめにコール・アンド・レスポンスじゃなくて、気の抜けたような気だるそうな"あ～あ～"ってレスポンスがほしかったんです。そういう曲もあっていいかなと思って作ったんですけど、結果的にインパクトがある曲になったなと思います。結構ギター、ベースもいじり倒しましたね。落ち着くまで時間がかかりました。

－結構原型から変化してそうですね。

w-shun：かなり変わりましたね。

dEnkA：メロディから膨らましていった感じですね。

ナオミチ：曲調が違ってましたもんね。元は走ってなかったですから。ずっとユルい感じでした。

w-shun：なんかモヤモヤしてたんでしょうね（笑）。できあがった時にみんなで"これ、ええんかな？"って言ってたもんね。でも結果的にアルバムのなかに入ると、他ががっちりしてるから、割とクッション材っぽくて面白くていいんじゃないかなと思います。ライヴでやりたいですね、野外でやってみたいです。夏を感じるところで。

－夏と言えば、Track.10の「Flight」は更に夏っぽい曲ですよね。

w-shun：そうですね、このビート感は昔からやってる感じなんですけど、洗練されてきたというか。前はノリ一発で作ったりしてて、ただサビはシンガロングするだけとかだったんですけど、サビにしっかりメロディを付けて、なおかつレスポンスができるように作ったりしました。でも最終的にはただただバカ騒ぎして終わりみたいな。この曲は割と早い段階からデモがありました。

－ロックだけでなくジャパニーズ・レゲエ感もありますよね。

w-shun：楽しくなるというか、体が無条件に踊るというか、そういうのってレゲエとかサンバとかブラック・ミュージックって凄い強いと思うんですよね。そういうのを聴いた時に新しいなと思って。ライヴハウスに来て遊んでる人も、そういうのもほしがってると思うし、そういうものを表現していくタイプのバンドだと思うので。グッチャグチャになって指差して笑おうぜっていう（笑）。