INTERVIEW
Silhouette from the Skylit
2014.01.10UPDATE
2014年01月号掲載
Member:SeshiroX (Vo) Rockwell (Gt/Programming/Cho) 廣田哲朗 (Ba/Cho) K.O.U (Dr)
Interviewer:ムラオカ
-『THE WORLD WILL NEVER SAVE YOU』という"世界がお前を救うことはない"というタイトルに込められた意味を教えてください。
SeshiroX:パッと聞いたら、なんかネガティブな感じに聞こえると思うんすけど......いや、ネガティブなんすよね(笑)。嫌なことばっかりじゃないすか、世の中。仕事も学校も、家族や友達とのコミュニティでさえも、納得いかない理不尽なことばかり。だから世間とか他人とか社会とかいろんなものにすがったり、期待してもしゃーねーよ、って思ってるんですけど。1曲目のテーマがそういうテーマだったのもあるし、自分の中で常に自問自答しているテーマでもあるので、今作の冠に採用したという感じです。
-Track.1の「Never Save You」ですが、シンセの音色など今までのSFTSにないかなりモダンなテイストに仕上がっていますね。この曲について解説してもらえますか?
Rockwell:こだわったのはやっぱりイントロのシンセですね。元々ギターで作ったフレーズをシンセでなぞったもので、Lenner Digital の「Sylenth 1」の音を何種類か混ぜて作りました。ギターのフレーズをシンセでなぞる手法はこれまでの曲でもあるんですが、ここまで前に出したのは初めてだったので、結構最後まで悩みましたね。
SeshiroX:はじめから1曲目に置くつもりで作りました。いっつもそうなんですけど、インパクトをとにかく出したくて。初めて聴いた人が"うおっ"って声でちゃうみたいな。今回もそういうイントロに仕上がったかなと。コード使いも今まで俺たちが足を踏み入れてない、マイナー調の強い展開にしつつも、シルエットの世界観がくずれないようにバランスをとる、ってことが表現できたかなと思います。
-Track.3「I'm Not Here For This」はシルエット史上最高にヘヴィでアグレッシヴな曲に仕上がっていますね。シンセの使い方も今までのSFTSにないトリッキーなものだと感じました。SFTSの可能性を広げた攻めの曲だと思いますが、この曲は試行錯誤の末にできたのでしょうか。メンバー内で意見が割れたりしなかったですか?
Rockwell:『Arche』に収録されている「HERO KILLED IN OVERNIGHT」に負けないくらいヘヴィで攻めの1曲を作ろうってことでできました。サザン・ロック的なメタリック・リフからの2ビート、8bit調の音色でダンサブルな4つ打ちからブレイクダウンまで、ボリューム満点な面白い曲になったと思います。曲に対しての迷いはなかったし、意見が割れることも特になかったです。わくわくしながら作りました(笑)。
-またこの曲にはANOTHER STORY OF THE OTHER SIDEのヴォーカル、SHOUTA氏がゲストで参加していますね。彼のことを知らない読者もいると思いますので紹介してもらえますか?
SeshiroX:僕らが所属するレーベル"STOIC RECORDS"と去年契約を結んだ大阪のバンドで、そこのヴォーカルのSHOUTAに今回シャウト・パートで参加してもらいました。このバンドは人のこと言えないんすけど、名前が長いので(笑)、ASOOS(アソーズ)って呼ばれてますのでみなさんぜひ覚えてください!ポスト・ハードコアとピアノ・エモの融合って感じで、シルエットが好きな人はきっとドハマりできる世界観を持っていると思います。
-Track.4「Moniker」の質感も面白いですね。ニュー・ウェイヴ的というか、テクノ・ポップの香りというか、ラウドロックの範疇では語れない魅力を感じました。この曲ができた経緯を教えてください。
Rockwell:「Moniker」はANGELS AND AIRWAVESやMUSEにはまってた時に個人的に楽しむつもりで作ってた曲で、SFTSでやるにはポップすぎるんじゃないかなーと思ってました(笑)。コード進行を限定してより洋楽っぽさを意識し、全編に渡りうねるシンセ・ベースで味付けし、歪み過ぎないギターのディレイ・フレーズと乾いたアコギの反響音で爽快感を演出しました。これまでのSFTSの壮大さを残しつつ、ニュー・ウェイヴとSFTSの融合に成功した曲だと思います。
-Track.5にはSFTSの代表曲「Parallel Lines」が、FAT PROPのRinda氏(Key / Vo)をアレンジャーに迎えて生まれ変わったピアノ・バージョンが収録されていますね。ヴォーカルのSeshiroX君の声の魅力がより引き立って聴こえます。Rinda氏のアレンジには満足していますか?
SeshiroX:Rindaさんと何度も打ち合わせをして、スタジオですり合わせていく中で、相当議論を重ねたんですよ。お互いがやっぱり納得行くものにしたいのもそうなんですけど、今回こういう形で世に出ることで、どういうふうにリスナーに受け取ってほしいかってことをしっかりと共有できたからこそ、ここまでのものに仕上がったと思ってて。コードもかなり変えてるんですけど、ピアノだとギターでは表現しづらいオン・コードとかの展開ができるので、エモーショナルさと切なさとちょっぴりの優しさとか、「Parallel Lines」が持っている複雑な感情を、ある意味でバンド・アレンジ以上に精細に描くことができたと思ってます。