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INTERVIEW

RIZE

2012.10.16UPDATE

2012年10月号掲載

RIZE

Member:JESSE (Vo)

Interviewer:ムラオカ

-聴かせていただきましたが、非常にアッパーでアグレッシヴなトラックですね。17枚目のシングルの中でも一二を争うヘヴィなトラックになったのではないでしょうか?移籍第1弾ということで勝手にポップでキャッチーな曲がリリースされると予想していましたが予想が外れました(笑)。こういうような曲調のものをあえて1発目に選んだ理由を教えてください。

元々は「THE SUN」という新曲を最近のライヴで1曲目にやっていて、それをシングルにしようってずっと思っていたんです。今回はガムの「ストライド」がタイアップに付いていて、大抵タイアップが付くと“こういうことを歌ってくれ”とか“こうしてくれ”とか“この言葉は使うな”とか結構大変なんですよ。なので今回もそういった制限は予想していたんですけど、「ストライド」が持っているモットーじゃないけど、“Never Give Up”、“諦めなければいずれ辿り着く”というようなポリシーだって教えてもらって、“ヤバい、俺「ストライド」から刺激を受けた”って思ったんですよ。“Never Give Up.”って当たり前な言葉なんだけど、“カリスマ”とか“ピース・サイン”と一緒ぐらい使い過ぎて薄まっちゃってると思うんだよね。でも、今は谷にいるかもしれないけど、乗り越えたその先に頂上は必ずあるわけで。ずっと平地だったら頂上も何もないって思うけど、1番下にいたら上を見上げれば頂上があって、頑張ればそこに行ける訳じゃん。その「ストライド」の乗り越えた人だけが味わえる感覚とか、モットーに対して刺激を受けられたのは良かったな。

-最近のラウド系バンドとは一味違うプロデュース過多になっていない荒々しいサウンドが魅力的だと思いました。どういった環境で制作されたのでしょうか?また他に新しい試み、チャレンジがありましたら教えてください。

出来るならデカいスタジオでドラムとベースとギター全員で“せーの”で一気に録りたいんですね。でも、俺にもあっくんにも自分のスタジオがあるから、まずうちのスタジオでV-Drumsに合わせてギターを録って、あっくんに送って、そしてスタジオで生ドラムを録って、さらにあっくんが叩き直したのを一緒に聴いて、“ここをこういう風にギターを録り直していこう”っていう今までやったことがない制作スタイルでしたね。あとはなるべくその時の1発目に出した音を大事にしましたね。何度も録れば上手く弾けちゃうんだけど、ちょっとぐらいズレても、のってたからいいやとか、そういうところはあえてそのままにしてます。今回は俺らもやったことがない新しいやり方をしてますね。今の時代はすごく簡単に“うるさいっぽく”録れちゃうし、俺らもそういうところで頭を抱えたこともあったんですよ。でもそれって、例えばiPadで絵を描くのと、筆で絵を描くのとでは、もちろん筆で絵を描いた方がいいんだけど、iPadで描いたものだって言わないで、人に見せて“素晴らしい絵だね”って思ってもらえたら俺は結果的にいい作品だって言えると思う。みんなそれぞれ1人1人のシチュエーションがあって、NEVE(※音響機器メーカー)の卓を使ってバーッとやれる金持ちもいれば、Mboxで何回もバウンスしてちょいちょい進めて行く人もいるけど、結局は相手に届くか届かないかだからさ。今回は俺たちも新しいやり方をして、メンバー内で心に響くようなプレイをお互いに投げ合って出来たからこういう録り方をしたけど、アルバムについてはまた1曲ずつ違った録り方をしていくと思う。“せーの”でやるのもあれば、ドラムとベースだけ一緒に録ってギターは後で録るとか。

-サウンドについてはいかがでしょうか?

最近のラウド系の音源は、完成度は高いように聴こえるんだけど、なんか薄っぺらいというのはすごく分かるね。今の若いヤツは高度なテクニックはあるけど、いろいろ細かく詰め込むよりも、本当はどれだけ感情を音に入れられるかなんだってすげぇ思うんだよね。今の子たちはMac持ってればみんなプロじゃん。ある程度良く聴こえるし、オートチューンを掛ければ誰でも音痴じゃなくなるし。でも小細工が出来ない時代にやっていた俺たちみたいバンドが1番ロックだなって思うから、いくらPro ToolsがあるとしてもPro Toolsは録音機材であってトラックを制作する機材ではないと思ってる。そこが1番の違いだと思う。演奏するのは俺たちであって、Pro Tools上でするものではないし、楽器をそこで鳴らすものではないと思ってるんだよね。そこが俺たちにはちゃんとあるから、どんな状態でもRIZEの音が出せるんですよ。例えば「LOCAL DEFENSE ORGANIZATION」のイントロの部分はあえてアコギで歪ませていて、それをPro Toolsに入れるんだけど、それもマイクでアコギを録りつつ、薄くしていて、人には全然聴こえないし、普通だったら直でやってエフェクトを掛ければいいんだけど、そういうところにアナログ感を求めたりしてますね。どんなにデジタル化していっても、その中にアナログ感を入れられるかは大切だと思う。

-日本のバンドは得てしてラヴ・ソングなどの当たり障りのない歌詞が多かったと思うんです。3.11以降そういう流れが少しずつ変わってきた気がしますが。

78年ぐらいから親父たち、もしくはその前のフォーリーブスとかどんどん遡って行っても、ロック・ミュージシャンは根強くちゃんといたのに、後を継ぐ人たちがどんどん減っているわけじゃないですか。でも、ここでバンドマンたちが立ち上がらないと“ダイイング・ブリード(死に絶えた種族)”になっちゃう、絶滅しちゃうと思う。例えば激ロックマガジンをさっき見たけど、いいバンドをピックアップしてるなって思うし、いいバンドはいっぱいいるんだけど、やっぱり2012年になってもロックというのは日本ではまだこんなに寂しいのかなって思っちゃうところもあるんだよね。でもそんなこと気にしているより“やるしかねぇ”って思うんだ。この間AIR JAMを観て本当にバンドやってて良かったって思ったし、これを観た子たちがどういう刺激を受けるのかって考えたら1つ1つのライヴを本気でやらねぇとなって思ったよ。今日はどこどこのフェスだからさらっとやろうとかじゃなくて、誰がどこで観ているか分からない中で、本気でロックしていかないといけないと思う。