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FEATURE

DEVIL NO ID

2018.10.10UPDATE

2018年10月号掲載

未来のポップ・スタンダードと成り得るか――DEVIL NO IDの進化する攻撃性の秘密に迫る

ライター:TAISHI IWAMI

karin(Vo)、hana(Vo)、mion(Rap)の3人から成る沖縄発のガールズ・ダンス・クルー、DEVIL NO IDが2016年9月にリリースしたデビュー・シングル「EVE -革命前夜-」は、そのグループ名と曲のタイトルが示すとおりの衝撃的な1曲だった。

プロデューサーはダンス・ミュージックの先端をポップに落とし込むスキルにおいて、飛び抜けたセンスを持つTeddyLoid。おそらく彼が持てる攻撃性を全力で注ぎ込んだのだろう。惜しげもなくガンガン響く低音、EDMの高揚感、ベース・ミュージックやトラップにある覚醒要素といった、現在進行形の様々な音楽的リファレンスとともに、今を描くラップのフロウとクールなヴォーカルのマッチングが光る。そして、例えば若々しくフレッシュなルックスにフォーカスするのではなく、怪しげなメイクや暗闇に光る蛍光ペイントを施した3人のストイックなパフォーマンスとアニメーションで構成された、顔を隠しているわけではないが匿名性を感じさせるミュージック・ビデオもまた刺激的。アイドルでもない、既存の国内ポップ・シーンの真ん中を狙うガールズ・グループでもない。新たなポップのスタイルを世に叩きつけるようなセンセーションがそこにあった。


DEVIL NO IDの作品リリースにおけるネクスト・ステージはその半年後となる2017年。"出会いと別れ"というシンプルなテーマに呼応するように、素朴なメロディとシンプルなEDMサウンドが煌めく2ndシングル『Sweet Escape』、そして同曲の流れを汲みつつ、よりキャッチーなフックを持った3rdシングル『シグナル』をそれぞれ4月と9月にリリース。また「シグナル」のカップリングである「まよいのもり」は、ダンス・ホールのエッセンスを取り入れたEDMやトラップ以降の世界を見据えた曲。10月にはあのDIPLOも注目する国内の音楽制作プロジェクト KiWiとタッグを組んで、ハロウィンの季節ならではの摩訶不思議な遊び心をバウンシーなダンス・ホールのビートに乗せた「かしましサバト」をデジタル・リリースした。そんな1年をざっくりと振り返ると、スマホ対応推奨でSNSでのやりとりなどをアップした「シグナル」や、パジャマ姿で踊る「まよいのもり」のミュージック・ビデオにもあるように、前年のあまりに斬新な衝撃とはまた違った、どこか謎めいてはいながらも生活に寄り添ったイメージとともに、ストレートにポップの今を映し出したことで、生身のパフォーマンスそのものの幅広さや懐の深さをアピールすることができた年だったのではないだろうか。


そして迎えた2018年。DEVIL NO IDは再び激しさを伴った攻めに入る。10月10日にリリースするシングル『BEAUTIFUL BEAST』の表題曲の曲提供とプロデュースを手掛けるのは、AA=の上田剛士。これまでのダンス・ミュージックやヒップホップ畑出身のクリエイターと異なる点は、彼のルーツがハードコアやラウドロックにあるということ。AA=の前はTHE MAD CAPSULE MARKETSの司令塔として活躍。ロックやヘヴィ・メタルの持つダイナミズムやパンクにある生々しい緊張感とデジタル・サウンドの融合を図り、オルタナティヴ・ロックやヘヴィ・ロック・ファンを主体に、世界中の人々から注目される唯一の存在だ。その上田剛士のソロ・プロジェクトとして2008年に立ち上がったAA=は、彼のパーソナリティがさらに鋭く研ぎ澄まされるとともに、自由に躍動。一度聴けば誰もが"上田のサウンド"と認識できるほどの太くてサディスティックなヘヴィ・サウンドは、曲単位で見るとトレンドというエッセンスももちろん昇華されているが、もはやそういった概念は超越した独自の進化を遂げ続けている。


上田が若い女性グループに提供した曲と言えば、BiSの「STUPiG」とBABYMETALの「ギミチョコ!!」が世に広く知られている。「STUPiG」は、BiSの破天荒でエクストリームな存在感と上田の個性による化学反応が魅力的だった。「ギミチョコ!!」は本格派の泥臭いヘヴィ・メタルとキュートな女の子たちのパフォーマンスというミスマッチに上田の色が加わることで、よりそのコントラストが際立ち、BABYMETALが世界を股にかけて活躍するきっかけとなった。

そこで、世界のポップやダンス・ミュージックの流れと共鳴してきたDEVIL NO IDのサウンドがどう転ぶのか。それを3人はそれをどう乗りこなしたのか。まず曲そのものは、EDMやベース・ミュージックの要素から成るという意味では、これまでのイメージを覆すものではない。そのなかで、ビートレスで瑞々しいシンセにくっきりした四つ打ち、ボトムが低くて重いビート、それらを強引に塗り替えるかのように入ってくる、破裂寸前の心音のような上田オリジナルの歪んだ低音がめくるめく展開を見せる。天国から地獄へ急転直下するかのような凄まじくスリリングなグルーヴが病みつきになる。4拍×8小節というダンス・ミュージックのタームはキープしながら、そこにある明快な踊りやすさを壊し、さらに向こう側にある狂気へと誘う。酩酊感という意味ではベース・ミュージック/トラップの要素もそうではあるが、ここにある破壊力は上田が持つパンクやインダストリアルの血があってこそ。

そしてサウンドが強烈でビートの揺さぶりも激しいぶん、3人の歌やダンスにもそれに負けない強さが求められるのだが、ダンスのキレと対応力はさすが。karinとhanaのヴォーカルとハーモニーはよりエモーショナルな表現力を増し、mionのラップはリズム感がより洗練されたことで声と言葉の力が強くなっている。

デビューから気鋭のクリエイターたちと共に歩んできたDEVIL NO ID。その目指す先は、最初から既存のマーケットでシェアを獲得することではなく、新たな世界を自ら切り拓き世に伝えることであったように思えると同時に、それは並大抵のことではないと本人たちも重々理解したうえでのスタートだったのではないだろうか。周囲に惑わされずブレずに前へ。ガラパゴス化したユース・カルチャーが真ん中にあるこの日本で、世界を照準にオリジナリティを追求していく。今回は、その姿勢を想像以上の形で上書きしてくれた。次はライヴ会場で、その現在と未来を感じてみたい。


LIVE PHOTO GALLERY

Photo by 杉野晃一
(2018年2月24日(土)ワンマンライブ「dip it in the D.N.I sauce」@下北沢SHELTERより)


SPECIAL COMMENT

最新のダンスミュージックを取り入れたDEVIL NO IDという少女達。
その彼女たちのサウンドに凶暴さと歪みを加えました。
DNIとディストーションビートの融合はまさに
BEAUTIFUL BEAST!

―― 上田剛士(AA=)


▼リリース情報
DEVIL NO ID
4thシングル
『BEAUTIFUL BEAST』

NOW ON SALE!!
VPCC-82350/¥1,000(税別)
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※初回生産分はTVアニメ"バキ"描き下ろし巻帯ジャケット仕様

1. BEAUTIFUL BEAST
※TVアニメ「バキ」2クールエンディングテーマ
※日本テレビ系「バズリズム02」10月エンディングテーマ
2. チープ・シック
3. BEAUTIFUL BEAST -Instrumental-
4. チープ・シック -Instrumental-

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