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FEATURE

SAND

2015.10.06UPDATE

2015年10月号掲載

さらに純度を高めたSAND流ハードコアが炸裂!

Writer 荒金 良介

ハードコア・シーンの雄、SANDは前作『Spit on authority』(2013年リリースの3rdアルバム)からレーベル"PIZZA OF DEATH RECORDS"から衝撃のデビューを果たした。そのレコ発ツアーは大盛況で、アメリカのポピュラー・ソングであり、John Denverがオリジナルの「Country Road」(※前作にボーナス・トラックとして収録)のカバーもライヴで異様な盛り上がりを呈していた。そう、ちょっとコワモテなイメージがあるかもしれないが、実にファニーな側面を持ち合わせているのだ。フロントマンのMakoto(Vo)とは取材を通して何度か会っているが、語り口も簡潔でウソがなく、ストレートな物言いが実に気持ちいい。それはSANDの歌詞や音楽性にも直結しているように感じる。
 
そして、前作から約2年ぶりになる4枚目のニュー・アルバム『DEATH TO SHEEPLE』が届いた。音像的には前作の延長線上にあるシンプルさを貫いているものの、今作は不穏なフレーズで幕を開けるTrack.1「The March Of Cruelty」(MVもアップ済みなのでぜひ観て欲しい!)に象徴されるように、さらにドス黒くて破壊力みなぎるハードコア・サウンドを叩きつけている。Makotoのヴォーカルは苦味が効き、重心がさらに低くなったサウンドはカオティックな闇を深めた印象だ。前作以上に戦慄を覚える凶暴化したヴォーカルと演奏に、背筋をビシッと正される思いだ。
前作以降、ヨーロッパ/アメリカ・ツアーを回った経験も今作には反映されているようだ。海外でのライヴは必ずしも設備が整った場所でやるとは限らない。どんな環境下であっても音を鳴らさなければいけないため、バンドはタフにならざるを得ない。こじんまりしたアプローチでは、眼前のオーディエンスを熱狂させることは不可能なのだ。それが音のパンチ感や衝撃力に拍車をかけた要因だろう。楽曲に目を移すと、Track.3「Treatment feat.ANARCHY」では前作に引き続き、ヒップホップとハードコアのクロスオーバーで、強力無比のタッグを見せつけている。これは説明不要のかっこよさで、お互いの良さが際立っている。また、ザクザク刻むリフが強烈なTrack.6「Paint It Black」は、今作の中でもとりわけヘヴィ且つダークでロウな音像を刻みつけている。聴いているだけで、全身が身震いする曲調と言えるだろう。そして、個人的に気に入っているのがTrack.10「Straw Man」だ。BLACK SABBATH並みの重量感に加え、トグロを巻くグルーヴ感に引きずり込まれる強力ナンバーに仕上がっている。
 
なお、アルバムのトータル性を意識した3曲のインタールードを挿入しているのも今作の特徴だろう。Makotoの音楽的嗜好を反映させ、ド迫力のハードコアとは一線を画すオシャレなサウンドは、一服の清涼剤のような役割を果たしている。ずっと怒りっぱなしの人間なんていないわけで、そういう意味でもSANDの人間味や平熱感もきちんと伝わる内容になっている。
歌詞に関しては、さらに歯に衣着せぬ強烈なリリックがずらっと並んでいる。ここで細かな解説はしないが、音が凶暴化した要因は内面の怒りや不満が高まったことも大きいのかもしれない。臭いものに蓋をするのではなく、世の中をガラス張りにした状態で、己の感情をどストレートにぶつけてくるリリックには横っ面をぶん殴られるような気分に駆られてしまう。様々なことが規制される社会の中で、そこに牙を剥け、中指を立てるピュアなマインドはより一層純度を高める方向にシフトした。目も意識もパキッと覚醒する、凄まじいエモーションが今作には渦巻いている。今作のレコ発ツアーもとんでもないことになりそうだ。今から楽しみで仕方がない。

 


SAND
『DEATH TO SHEEPLE』
[PIZZA OF DEATH RECORDS]
2015.10.07 ON SALE!!
PZCA-74 ¥2,190(税別)
amazon | TOWER RECORDS | HMV
 
1. The March Of Cruelty
2. Lalalala
3. Treatment feat.ANARCHY
4. Drowsy (interlude)
5. Vapid
6. Paint It Black
7. Breezy (interlude)
8. Off The Table
9. Hazy (interlude)
10. Straw Man
11. Intro

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