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FEATURE

RIZING 2 END

2012.11.07UPDATE

デビュー作にして“進化”と名付けた、入魂の1枚が完成

Writer 吉羽 さおり

大阪アメ村を拠点に精力的な活動を行なっている4ピース・バンド、RIZING 2 ENDが1stミニ・アルバム『evolution』をリリースする。結成から6年、現在のHERO-KI(Vo)、naohisa(Gt)、kzy(Ba)、Aki(Dr)の布陣になってから2年という中での、待望の作品だ。
これまで、ライヴを軸に――それも、ライヴハウスにスケートランプを設置したり、BMXショーなども盛り込んだ“Field of EXTREME”や“CHILL THE PUNK”といった企画、イベントのホストとして、多くのライヴ猛者やパフォーマーを呼び寄せ、ステージで凌ぎを削ってきたRIZING 2 END。『evolution』にパッケージされたのは、その高い機動力、発信力、磨きあげてきたサウンドのエネルギーである。“evolution=進化”というタイトルに込めたのは、そうしたバンドの軌跡への自負であり、あるいは掲げて続けてきたゆるぎないヴィジョンだろう。
エレクトロな「Introduction」から、強靭なビートで幕あける「Let me down」へ。ライヴで鍛え上げた筋力でアグレッシヴに攻めるギター、がっしりとアンサンブルの重心を担いつつキレのあるフックでリスナーの興奮を加速させるベース&ドラム。この主張の強いサウンドをまとめて、さらなる高みへともっていくのが高揚感たっぷりのメロディでありHERO-KIのヴォーカルだ。伸びやかなメロディが冴えるこの「Let me down」では、エモーショナルで力強いHERO-KIの歌声の存在が光る。スケールのデカさで掴んでいく、オープニングに相応しい曲だ。また、続く「No wonder」は、ライヴでモッシュやダイヴ必至のキャッチーなメロディック・チューン。爽快で、フィジカルなノリだけで走り抜けずに、ライヴ会場の一体感をグッと増すような熱いシンガロング・パートも展開する。共有感が高い1曲になっている。このあたりにもライヴ・バンドとしての感覚や、イベントのオーガナイザーとしての嗅覚の高さみたいなものが活かされているだろう。
また、ヘヴィなギター・リフとダークな色合いを含んだメロディによる「Heroes」は、やるせないドラマを感じさせ、「The nuclear threat is over」は現在起きている問題にコミットする。怒りと焦燥感とがカオティックな音を生みだして、その轟音を突き破っていくようなヴォーカルの咆哮が響きわたる。アルバムのラストに収められた「Pray for」では、今感じている、憂いや怒りやもどかしさ、葛藤をサウンドへと昇華。全力で奏でる祈りの音は、どこまでも激しい。
全編が英語詞のなかで、「Calling」はサビで日本語詞を用いている。バンドが渾身のパワーでかき鳴らすサウンド、音に託した4人の姿勢/精神、これは届いているのだろうか。問いかけとも自問自答とも言えそうなその思いが、日本語詞で綴られた。ラウドなアンサンブルのなかから、ふっと聴こえてくる歌、言葉に自ずと耳が引き寄せられる。彼らにとって1つのチャレンジとも思える曲であり、これからの曲作りや楽曲の幅の布石となるものでもあるのかもしれないが、“1st”ミニ・アルバムという力の入った、バンドの名刺代わりとなる作品の中では、自然と馴染んでいる。
エモ、ハードコア、メロディックをベースとしたアグレッシヴなサウンドと、スケートやBMXカルチャーのクロスオーヴァーは、なにも今に始まったわけではないけれど、それを自分たちのライヴ・イベントとして具体化して、仲間たちと楽しむ環境/ベースを作り上げているRIZING 2 END。彼ら自身が、音楽シーンのなかで存在感を増していくことが、同時に今ある環境を盛りたてていくことにもなる。引っ張っていく気概とか、そんな大げさなものではないかもしれないが、音楽もストリート・スポーツも、もっと気軽に楽しめたり、あるいは観てもらえることができる場が少しでも大きくなればという思いはあるだろう。この1stミニ・アルバム『evolution』は、そんな志を持ったバンドの高らかな第1声だ。

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