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FEATURE

キバオブアキバ

2012.03.06UPDATE

2012年03月号掲載

アイドルとヲタクがメタル・フィールドでガチンコ・バトル!? 攻めに攻めまくった衝撃スプリットCDが完成!

Writer MAY-E

海外からA SKYLIT DRIVE、WE CAME AS ROMANS、DREAM ON,DREAMERを召集して開催されたメタルコア~スクリーモの祭典SCREAM OUT FEST 2012に出演し、会場となった渋谷クアトロの客席に見事巨大なヲッシュ(※ヲタ芸×モッシュ)を巻き起こしたことも記憶に新しい京都発ヲタイリッシュ・デス・ポップ・バンド、キバオブアキバ。激ロックの読者には既にお馴染みの存在であろうこの6人組が、この度、なんとアイドルとのスプリットCDをリリースする運びとなった!

タイトルは、『BABYMETAL×キバオブアキバ』。

そう、BABYMETALなるアイドル・ユニットが、キバオブアキバのスプリットCDのお相手となっている。スプリットCDの内容に触れる前に、まずはこのBABYMETALを紹介させて頂こう。
キバオブアキバが"ヲタク×スクリーモ"というテーマを掲げているが、BABYMETALが掲げるテーマはズバリ"アイドルとメタルの融合"。アイドルとメタルなんていうまさかの組み合わせだが、ご想像の通り、BABYMETALはメタルに合わせて歌って踊るアイドルなのである(!)。メロディ・ラインだけ聴けば、これぞアイドル・ソング。だが、単なる"楽器を持ったアイドル・バンド"という訳ではない。メイン・ヴォーカルのSU-METALをフロントに平均年齢13歳という3人の少女が、次世代型メタル・サウンドに合わせてキレの良いダンスを披露するというニュー・タイプのアイドル・グループなのだ。
正直、これまでに私はアイドルという文化にそれほど興味を持てなかったのだけれど、BABYMETALの尖った感覚と抜群のエンターテインメント性に、すっかり惚れ込んでしまった。しかしまあ、往年のメタル・ファンを敵にまわしそうなことをこれほど大胆にやってくれたもんだ(笑)。

今作のリリースにあたり、BABYMETALが所属している重音部RECORDS顧問のKOBAMETAL氏にお話しを伺うことが出来たのだが、BABYMETALの仕掛け人であるKOBAMETAL氏自身が、もともとはガチのメタル・キッズであったというバック・グラウンドを持ち、さらに現代のスクリーモ・シーンにも強い興味を持っていたリスナーの1人であったそうだ。挑戦的なテーマを掲げるBABYMETALが、私のような次世代型メタル~スクリーモのファンの目と耳に反応する理由は、ここにある。

KOBAMETAL「BABYMETALは"アイドルとメタルの融合"って言っていますけど、既存のアイドルやメタルの枠からはみ出たい、BABYMETALにしかできない"なんじゃこりゃぁあ!!"っていうストレンジ感を大切にしたい気持ちもあって。"メタルで踊る"。それをやりたかったんですよ。一部のガチメタラーの人には、まずは"ごめんなさい"と謝らねばならないですね(笑)。メタルって、例えるならば様式美系とかの"守りのメタル"とメタルコアとかスクリーモとかどんどん変化していく"攻めのメタル"が常にガチガチしあっている文化だと自分は思うんです。BABYMETALは"守りのメタル"が好きだった頃の昔の自分にとっては非常に腹立たしいものなんだろうなぁと思います、"メタルかメタルじゃないか"と自問自答しながら(笑)。メタルに対する"愛"はあるんです。褒められたいし、叱られたい。欲張りなんですね(笑)。」

確かに、往年のメタル・ファンにしたらBABYMETALという存在は"メタルかメタルじゃないか"の論争を呼ぶ恰好のネタになるだろう。実際、日本のみならず海外からも"賛"と"否"しかないという両極端なリアクションが寄せられているという(笑)。
BABYMETALはメタルか否か......その判断はリスナー個人の耳に委ねるとして、まずはスプリットCDに収録されるBABYMETALの新曲「いいね!」を見て、聴いて欲しい。ハイブリッドなメタル・サウンドからゆる~いヒップホップのクランクへと流れ、"キツネだお♪"を合図に咆哮&ブレイクダウンへと展開するという前代未聞のアイドル・ソングだ。とにかく、全てがあまりに衝撃的。ライヴ・トレイラー・ムービーが既に先行公開されているが、coldrainの「To Be Alive」をはじめラウド系バンドのビデオ・クリップを多数制作しているMaxillaが制作を担当している。よって、アイドルなのに(といったら失礼ですが)、抜群にかっこいい動画に仕上がっている。
BABYMETALの新曲「いいね!」に続いて収録されるのは、待ってましたーっ! 我らがキバオブアキバの新曲「Party@The BBS」。"BBSでパーティーしようぜ"なんていう、ステージ上でもお客さんの目を見て話せない6人らしいインターネットが舞台のヘヴィ・チューン。"ここで待っているよ、君を待っているよ"なんてフレーズが切ないメロディで歌われていて、ちょっと恋愛ソングぽくも思える仕上がりがまたニクイ。
新曲に続いては、お互いのカヴァー曲を1曲ずつ収録。まずはBABYMETALによるキバオブアキバの人気曲「Animation With You」のカヴァー「君とアニメが見たい~Answer for Animation With You」。Answer for~となっている通りに、ただのカヴァーではなく女の子視点の歌詞に変わっているというアイドルらしい仕掛け付きだ。女の子から"アニメが見た~い!"とおねだりされるという、ヲタの人にとっては夢のような世界が繰り広げられているのだが、果たしてそのストーリーの結末やいかに......。女子の心は移ろいやすいと言いますからねぇ(笑)。今後、ライヴで「Animation With You」をプレイする度にオーディエンスからこの合いの手が入るようになったら最高だなぁ(笑)。
キバオブアキバによるBABYMETALの「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のカヴァーも、当然ただのカヴァーなどではなく、これでもかとキバ流のアレンジが加えられたパンチの効いた1曲だ。極限まで上げられたBPMを刻むブリブリのビート、その空間を埋め尽くすようにシンセ・サウンドが鳴り響く。ヴォーカル・アプローチも多彩で面白い。キバオブアキバ制作委員会に制作時のエピソードを伺ったところ、"今まで見たことのない世界のものを触らせてもらいました。実際、制作作業は新鮮だったと思いますし、笑いの絶えないスタジオでしたね。"とのこと。うんうん、メンバー自身が目一杯楽しみながらカヴァーに挑んでいる姿が想像できる。

キバオブアキバ制作委員会「混ぜるな危険......をあえて混ぜたという感じですね。このコラボを聴いた人から、さらに新しい発想が生まれて来るのが楽しみですね。」

KOBAMETAL「一部のアイドルヲタの人の夢を壊しちゃうことは重々承知しております。笑顔でキラキラしているアイドルが好きな方がいらっしゃるのも分かっております。メンバーに罪はない。悪いのは、ぜんぶ大人です!(笑)。メンバーは"メタルってなんだろう?"と考えながらも一生懸命に楽しみながら頑張っているので、温かく見守って頂けたらと思います。」

メタル・ファン、アイドル・ファン、ヲタの人......全ての音楽ファンへ。誰も出会ったことのないニュー・ミュージックがここにある。新しい扉、一緒に開いてみませんか?

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