DISC REVIEW
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孤独に病み、カネに惑わされ、色恋に翻弄され、酒やアレなモノに溺れ、あっさりと闇落ちしていく人々が蠢く新宿 歌舞伎町は、いつしかトー横と呼ばれる現代の渾沌を凝縮した場所となってしまったわけだが。かといって、何かに規制をかけてみたり、補助金を無駄打ちしたところで、そんなものはただの付け焼き刃でしかないということが、彼らの描くリード・チューン「新宿鮫」からは伝わってくる。KYOKUTO ROMANCEのRyuji(Ba)がコンポーザーとして参加している「トレパネーシヨン」の尖り方、ヤバい内容を派手な音で響かせる「バラバラ」、聴く者に生々しい真実を突きつけてくる「感動ポルノ」。無難にまとめることなく、あえての"食えなさ加減"を露悪的なほどに打ち出してくる彼らの煽り姿勢は野心的で面白い。 杉江 由紀