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INTERVIEW

マチルダ

2024.08.30UPDATE

2024年08月号掲載

マチルダ

Member:喰(Vo) 一檎 ジャム(Gt) ヰ瞑 うに(Gt) 時雨 環(Ba) 米田 米(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

飛ぶ鳥を落とすというよりは、飛ぶ鳥を獲って喰う勢いでこのところ活動を激化させているのがマチルダだ。今春の「エコテロリスト」(2024年4月)以降は連続リリースをした上、来る9月30日にはマチルダ主催イベント"エゴテロリズム"を自身最大キャパとなるZepp DiverCity(TOKYO)にて開催するという。曲ごとに異なる世界を展開してみせるマチルダの強みとは、つまり多様性の具現化にあると言えるが、ここからの彼等はその武器をより強化していくことになるに違いない。

-マチルダは4月のデジタル・シングル「エコテロリスト」から5ヶ月連続リリースを開始されている上、現在はそれに伴ったワンマン・ツアー"エゴ的芸術至上主義"を絶賛遂行中です。そして、9月30日には主催イベント"エゴテロリズム"をZepp DiverCityにて開催されることも決定していらっしゃるそうですね。

喰:ここまでマチルダとして活動を続けてきたなかで、毎年ちょっとずつキャパもデカくなってきていて、去年はZepp Shinjuku (TOKYO)で主催イベント("龍頭-ryu zu-")を打ったんですね。そして、今年はZepp DiverCityというさらに大きいハコで主催をやることになっちゃったんで(笑)、今はそれに向けて、5ヶ月連続リリースをしてるところなんです。

-感覚的には"やることになっちゃった"なのですか??

喰:もちろん、"頑張らんとな!"っていう気持ちは強いですよ。ありがたいことに去年よりデカいところでやらせてもらえることに"なっちゃった"とはいえ(笑)、自分たちにとってはこのイベントがいい転機にもなっていくんじゃないかと思ってます。

米田:それに、Zepp DiverCityといえばお台場ですからね。外にユニコーンガンダムがいるじゃないですか。俺としてはユニコーン(ガンダム)のデカさを超えるくらいの気持ちで今度のイベントをやっていこう! と思ってますね。

ヰ瞑:僕はまだ"ほんとにやるんだー"みたいな気持ちかなぁ。

米田:あんまり現実味がないってこと?

ヰ瞑:うん、それ。全然まだ現実味がない。俺の場合、これまでの周年ライヴとかもギリギリまで実感が湧かない感じで、前日くらいになって急に"ヤバ! ドキドキしてきた!!"とかなってたから(笑)、今回もまたそういうふうになるかも。

一檎:Zepp DiverCityっていうと、俺はしこたまフライヤー配りに行ってたんで、今のところはそのイメージが強いですね(笑)。そして、正直ちょっと怖いっす。

喰:あー、俺も怖いは怖い。友達のバンドのライヴとかをZepp DiverCityで観たことありますけど、実際"うわー、あそこでやるのか......"っていう気持ちはありますもん。それこそ、さっきうにが言ってたみたいに実感はまだ湧いてないし、自分があのステージに立ってる想像はできてません。

時雨:その点、俺はマチルダではなかったですけど、昔Zepp DiverCityでやったことはあるんですよ。当時は喰とうにがいない今の楽器隊3人だったし、とある企画イベントで出たから、全然自分たちの力で出たわけじゃなく、ほぼモブ状態だったんですね。それで、そのときに3人で"いつか自分たちのライヴで出たいね"っていう話をしてたことを考えると、あれから思ってたよりは早めにマチルダ主催のイベントをやれるようになったんだな、という感覚を自分としては持ってますね。

喰:なんだよ、俺が知らないときの話かよ(笑)。

時雨:いやだから、今度はこの5人であの場所に立てるのがすごく嬉しいな! っていうことなんだってば(笑)。

喰:俺は俺で"いつか俺がお前らをまたZepp DiverCityに立たせてやるよ!"って、半分冗談で言ったりしてましたからね(笑)。それが叶うのはマジで嬉しいっす(笑)。

-ちなみに、9月30日の主催イベントには"エゴテロリズム"というタイトルが冠せられておりまして、4月に発表された5ヶ月連続リリース第1弾デジタル・シングルには"エコテロリスト"というタイトルが付いておりました。つまり、濁点の有無により意味合いとしては全く違う言葉が並んでいることになりますよね。この両者の相関関係について、少し解説をいただくことはできますでしょうか。

喰:順番としては、まず曲の「エコテロリスト」のほうが先にできたんですよ。で、その歌詞の中で"エゴテロリズム"っていう言葉を使ってたんで、イベントのタイトルにはそれを付けたっていう流れでしたね。

-では、ここで第1弾デジタル・シングル「エコテロリスト」についてのおさらいを少しさせてください。この曲からは2000年代初頭あたりの香りといいますか、当時の邦ロック界隈で流行っていたギター・ロックの雰囲気を感じまして、マチルダとしては新しい領域に踏み込んだような印象があるのです。バンド側としてもその意識はありますか?

一檎:コードがめっちゃお洒落ですよね(笑)。音もあんま歪ませてないですし、クランチ寄りなんで、確かにマチルダとしては新しいアプローチの曲だと思います。俺としても、初めて弾いたコードが入ってるんですよ。だから最初に曲を貰ったときは難しそうだなと思ったし、今やってるツアーで弾き出したときも結構苦労はしたんですけど、だんだんライヴの本数を重ねていくうちに慣れてきて、自分がどんどん成長できてるなって今まさに日々感じてるのが「エコテロリスト」という曲ですね。

ヰ瞑:この曲やってると、音楽って難しいなーってすごい思います。どの曲も難しくて分かんないけど、これが一番イヤです(苦笑)。

米田:かれこれ6年以上マチルダやってきてますけど、この曲が一番難しいなって俺も思いますよ。

-それぞれにリアルで率直なお言葉ですね。しかしながら、この曲の特徴である疾走感溢れる感じはさぞかしライヴ映えするのではありません?

喰:いわゆる暴れ曲として盛り上がる! みたいな感じとは違いますけど、ライヴでやったときに"映える"曲になってきてる実感は自分たちとしてもあります。

一檎:しかも、これは広めのハコのほうがより"映える"曲だよね。

時雨:Zepp DiverCityなんて特にでしょ(笑)。

米田:これはドラム的に言うとキメが多い曲なんで、それがZepp DiverCityみたいな場所でビシッと決まったときは、きっとすごく気持ちいいだろうなぁって思います。

時雨:めちゃくちゃ個人的な話ではあるんですけど、実はベースの弾き方を去年の11月からピックじゃなくて指弾きに切り替えたんですよ。そして、切り替えてから初めてレコーディングしたのが「エコテロリスト」で、今、米が言ってた通りすごくキメの多い曲だから、リズム隊の2人で練習のためにスタジオに入ったりもしながら、音の粒感が揃うように気をつけて弾いたんです。そうしたらその感覚がすごい心地よかったんで、俺もZepp DiverCityでこの曲をやったときに気持ち良くなれたらいいなと思ってます。

-そんな「エコテロリスト」に関しては、音もさることながら歌詞の面でも非常に意欲的な姿勢が窺えるものに仕上がっている印象です。"エコテロリスト"あるいは"エコテロリズム"といった単語そのものは1980年代から使われ始めたとされているようなのですが、この歌詞を書かれた喰さんは今回ここで何を思いながらこの歌詞を書くことになられたのでしょうか。

喰:世の中には、国を問わず環境活動家って言われるような人たちがいるじゃないですか。そういう人たちの中には、自分たちの信念を表わすという意味で、芸術品や公共の施設を汚したり壊したりして事件を起こすケースがありますよね。

-スウェーデンの国立美術館でモネの絵画が塗料で汚されたり、イタリアのトレヴィの泉に塗料が投入されて濁ってしまったり、ということが各国で実際に起きているのはニュースになっておりましたね。2005年からは南極海でシー・シェパードが日本の捕鯨船を妨害するという事件が起きていましたし、その代表者はつい先日になってグリーンランドにて逮捕されたとの報道もありました。

喰:そういうことをやってる人たちっていうのは、自分たちの考えが正しいと思ってやってるんだと思うんですよ。でも、そういう行為に対しては"それはエゴの押しつけだ"とか"エコテロリストでしかない"っていう批判があるのも事実で、そういう実際にあったことを自分なりに噛み砕きながら、できるだけ分かりやすい言葉で書いたのが「エコテロリスト」の歌詞なんですよ。今回のフライヤーとか公式サイトの写真の中でトマト缶の中身をバーッと撒いて汚してるのは、そういうイメージを具体化したかったからなんです。

-マチルダはもともと"お食事"をコンセプトとしたバンドであったそうですし、メンバー名も喰、一檎ジャム、ヰ瞑(いくら)うに、時雨環、米田 米と皆さん何かしら"食"に関係のあるお名前でいらっしゃいますので、今回トマト缶が写真の中でアイキャッチとして使われているところには一貫したスタンスも感じます。なおかつ、この「エコテロリスト」で描かれている内容のシニカルさも実にマチルダならではですね。

喰:あぁ、僕の詞は基本的に皮肉が多いっす(笑)。

時雨:普段は愚直な人間なんですけどね。その性格を知ってると、こういう歌詞を書くってむしろ意外だなと最初のうちは思ってたんですよ。

喰:へー、そうだったんだ(笑)。