INTERVIEW
マチルダ
2024.08.30UPDATE
2024年08月号掲載
Member:喰(Vo) 一檎 ジャム(Gt) ヰ瞑 うに(Gt) 時雨 環(Ba) 米田 米(Dr)
Interviewer:杉江 由紀
本気でぶつかっていって好きになってもらう、ということを今回もやっていきたい
-個人的には、この「エコテロリスト」の詞には共感するところが多かったです。昨今はSDGsという言葉がもてはやされていたりもして、外食業界ではプラストローが紙ストローに替わったりもしていますけれど、それでいて飲料のカップや蓋はプラのままのことも多いですよね。まるでトイレット・ペーパーの芯のような質感の紙ストローを咥えさせられることになるたび、この矛盾だらけなエコ姿勢はただのファション的なアピールでしかないのでは?? と地味に怒りを感じていたりします(笑)。
喰:分かります、分かります。その通りなんですよ。ストローだけ変えたところでなんなのっていう(笑)。もっと他にも変えるとこあるだろ! ってなりますよねぇ。
-恐らく売上と直結する"映え"を優先しているのでしょうけれど、大人たちの思惑がまさにあのプラカッブ越しに透けて見えてしまいます。
喰:それこそ、ああいうのもエゴテロリズムの一種だと思いますよ。あとやっぱり、守りたいものを守るのは人それぞれにとっての自由だとしても、何かの主張を振りかざして他を攻撃したり、特定の何かを排除したりしなくてもいいんじゃないですかね。環境を守るっていうことに関しても、そうしたい人は自分が頑張ればいいだけの話で、他の誰かに対して"それは間違ってる!"なんてわざわざ言う必要ないんですよ。
-ごもっともです。
喰:人間関係で言えば、人の足を引っ張って自分のステータスを一方的に上げようとするみたいなね。個人的にああいう感覚はちょっとよく分かんないで、結果的に「エコテロリスト」はこういう歌詞になりました(笑)。
-その「エコテロリスト」から始まって、ここまでには「ホワイト革命」、「ハロハロ」、「ポリティカル・コレクトネス」の4曲が発表されておりますが、曲調は見事なほどにバラバラです。この振り幅の広さもマチルダの持ち味と言えそうですね。
喰:マチルダはいい意味で多様性のあるバンドなんです。最近だと、多様性って悪い意味とか言い訳の言葉として使われたりすることもありますけど。マチルダには本当の意味での多様性があって、こういうコード進行でこういうリフがマチルダの典型的なパターンだよね、みたいなものもないんですよ。多種多様な曲があって、今回みたいに毎月カラーの違う曲を出してもお客さんたちは全く戸惑わないですから。毎回ちゃんとついてきてくれるんで、そういう流れを作りながら活動することができてるのはバンドとしてとてもいいことだなと感じてますね。マチルダってこういうバンド、みたいに決めつけられるほうが俺はイヤなんです。あといろんなタイプの曲があると、そのときによってライヴの雰囲気をガラッと変えられるのも、マチルダの他にはないところだと思います。イベントの内容とかも踏まえつつ、場合によってはバンド名も魔散堕っていう表記にして、衣装も特攻服でバチバチな暴れ曲ばっかりやったりとかもしますし(笑)。
米田:1本のライヴの中でいろんなタイプの曲をやるときは、やってるほうも感情ジェットコースターですよ。ワーッて盛り上がったと思ったら、いきなりバラードでめっちゃカッコつけたりして、その後はさらにバーン! とハジけるとか(笑)。
一檎:昔はキラキラ系な曲とか苦手だったし、ARCH ENEMYとかCHILDREN OF BODOMみたいな激しい音とか、コテコテな曲のほうが好きでよく聴いてましたけど、マチルダを始めてからは"こういうのがやりたい"みたいな感覚は全然ないんですよ。逆に、これだけいろんな曲がやれるっていうのは自分の性格にも合ってるなって思います。
-となると、9月30日のマチルダ主催イベント"エゴテロリズム"でも恐らくマチルダの多様性を感じさせていただけることになりそうですね。さらに、参加アーティストも興味深いメンツで電脳ヒメカ、ヤミテラ、ZOMBIE、そしてスペシャル・ゲストとしてDaizyStripperまで出演されるのだとか。
喰:ZOMBIEとは前にツーマンをしたことがあるし、昨年のZepp Shinjukuにも出ていただいたことがあるバンドさんですね。ヤミテラと電脳ヒメカも普段からわりと対バンの機会が多いし、プライベートで仲のいいメンバーがそれぞれいたりもするから、マチルダとの親和性はもともと高いんですよ。DaizyStripperさんに関してはゲスト枠なので今までの絡みはなかったっすけど、俺らからしたら完全なるパイセンです。
時雨:テレビで観たことある人たちだもん(笑)。
米田:僕、中学生のときに好きで聴いてました!
時雨:俺も高校のとき聴いてた。年代バレるな(笑)。
米田:崖の上で歌ってるMVとか懐かしい。
時雨:「ダンデライオン」だ(笑)。
米田:うわー、それ聴きたい! リクエストしたいくらいです(笑)。
-そうした憧れの気持ちもありつつだとは思いますが、何しろ今回のイベント・タイトルは"エゴテロリズム"ですのでね。ここは各バンドのエゴがポジティヴな意味でぶつかり合う場になる、と解釈することもできそうです。
喰:当然そういうふうになってくと思いますよ。でも、意外と"他のバンドのお客さんを奪ってやる!"みたいなのはないかな。もともとは自分の名前も"他のバンドを喰ってやる"みたいな意味もありつつで付けたものだけど、今は純粋に観てもらって好きになってもらえたら嬉しいな、っていう感じなんですよね。お客さんの取り合いとかするよりも、今の時代は業界としても"共有"という方向で進めていかないと、拡がっていかない気がして。そこもエゴが過ぎると、結局は自分たちの首を締めちゃうと思うんです。だから、マチルダはみんなに対して本気でぶつかっていって好きになってもらう、ということを今度のイベントでもやっていきたいと思ってます。
時雨:俺はお客さんどうこうっていうことは、そんなに考えてないかもしれないですね。対バンするときは"俺、カッコいいだろ!"って見せつけたくなっちゃうほうなんです。お客さんたちが盛り上がってくれるのも嬉しいんですが、バンドマンが自分たちのステージを観てくれるとさらに燃えちゃいますね。で、終わった後に"面白かったよ"とか"カッコいいね"って言われると"いやそんな全然"とか言いながら、心の中では"そうやろな。それ見たことか!"ってドヤ顔するのが楽しいです(笑)。
ヰ瞑:俺も現場にバンドマンの友達がいたほうが、気持ち的に"負けたくないな!"って燃える。まぁ、対バンして友達になることもあるけど。面食いなんでカッコいい人が好きなんですよ。そういう人がいるときは、自分から喋り掛けちゃいます。
一檎:僕は自分よりカッコいいギタリストはいないと思ってるんで、ちょっと環と似てるとこがありますね。もちろん、僕よりギターが上手い人なんてむちゃくちゃいますし、僕より顔がいい人もいっぱいいると思いますよ。ただ、ステージングとか諸々込みで僕より表現できるギタリストはいないなって自分では思ってて。対バン相手の人とかイベンターの方に褒められたりすると"そんなことないっすよ"って言いながら、実は"そりゃそうでしょ"って考えてますね。そこも環と一緒です(笑)。あ、でもお客さんたちに対しては、僕はよく振付の誘導とかやってるんで、自分たちのお客さん以外の人からも"分かりやすく振付やってくれるからノリやすい"っていう声を貰ったりしてます。今度のイベントでも、新規で観に来てくれる人たちに向けてそういうパフォーマンスはしていきたいと思ってますね。
米田:自分はワンマンも好きなんですけど、正直イベントのほうがさらに好きだったりします。だって、僕らに興味ない人も来てるわけですからね。まずは外に出ないで観てくれてるだけでも悪くは思われてないんだろうとは思うんですけど、そこからどれだけ惹きつけていくことができるのか? っていうところで自分はすごく燃えるんです。以前、それで1曲丸々立ったままドラムやってみたり、自分自身に塗料を塗って光らせてみたり、っていうことなんかもやりました(笑)。今度のZepp DiverCityでも、セットリストが決まったら何かしらの案は用意したいなと思ってます。
-ところで。9月30日の"エゴテロリズム"の前、8月末には5ヶ月連続リリースの締めくくりとして「グレイテストウルトラスーパータマキパーフェクトレボリューション2024 夏TAMAKIVer.」なる楽曲が発表されるそうですけれども、これはいったい......??
喰:あー、それはもうバカ曲です(笑)。
時雨:見ての通り僕の歌なんですよね!
喰:2021年と2023年にも同じシリーズの曲を作ってて、これはその第3弾。
時雨:5ヶ月連続でいろいろ出してきて、最後にベーシストが歌って踊ります(笑)。ライヴでやるときもステージは僕1人です。
-えっ。その際、他のメンバーさんは??
喰:ヤですよ。一緒にいたくない(苦笑)。
-9月30日の"エゴテロリズム"では......。
時雨:どうでしょうねー。まだやるかどうかはちょっと。毎回振付も全部自分で考えてるんで、間に合うかどうかっていうのもありますし。
喰:嘘でしょ? Zepp DiverCityでコレやんの!?
-マチルダの多様性、恐るべしですね(笑)。
喰:いやー、そこはいい塩梅でやらないとですよ。いろんなことやって"マチルダ面白い!"になればいいけど、いろいろやりすぎて"マチルダよく分かんない!"ってなったら困るんで。マチルダにとっては今までで一番デカいハコでのイベントですから、まずは観たことない人たちにも"マチルダというバンドはこんなことやってますよ"ということを伝えた上で、さらにその上の領域まで踏み込みたいなと思ってます。やるからには、しっかり次に繋げないとね!
EVENT INFORMATION
"マチルダ主催イベント 『エゴテロリズム』"
9月30日(月)Zepp DiverCity(TOKYO)
OPEN 16:15 / START 17:00
出演:マチルダ / DaizyStripper(スペシャル・ゲスト) /
ZOMBIE / ヤミテラ / 電脳ヒメカ
[チケット]
前売S ¥10,000(優先入場) / 前売VIP ¥8,000(2階席) /
前売A ¥6,000(一般) / 当日 ¥7,000
■販売中
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