DISC REVIEW
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30年以上にわたり西海岸パンク・シーンを牽引してきたRANCIDが、記念すべき10作目のアルバムをリリース! 周囲のバンドと比べ多作とは言えない彼らだが、ひとつの作品に込めるこだわりは知られているだろう。また、バンドのマイブームや気分が投影されることが多く、作品によってガラリとテイストが変わることがあるのも特徴だ。今作も、そんな彼らの"今"が投影された内容となっている。中でも特に注目すべき点は、ほぼ2分以内のトラックが16曲、30分足らず(+ボートラ)という、まさに駆け抜けるようなスピード感である。しかも、激しいだけの畳み掛けるようなテイストではなく、弾むようなリズム感で、ワンコーラス聴けばノリがわかるキャッチーさもあり、ただただ勢いに乗って"楽しめる"作品となっている。ここ数年、メンバー個々のプロジェクトが注目されていたが、RANCIDはメンバーにとっていつでも帰れる表現の場として、今も健在だということを証明してくれた。 山本 真由