DISC REVIEW
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厭世の念が破壊力というかたちで具現化された表題曲「BAD!!」は、ザクザクズクズクの轟音でいて響くビートは豪快でもあり痛快。サビメロには爽快感さえもが漂い、良き意味で破綻しているところが実に素晴らしい。ミクスチャー・ロックやラウドロックの要素をコドモドラゴン流に踏襲しながら、そこにはっちゃけたメロディ・センスを持ち込み、世に蔓延る人間の愚かさを嘲笑ってみせる「ENEMY」も、ある種の悲喜劇としてかなり秀逸だ。グランジ・ロックの音像に、R&Bのリズムとソウルフルなメロディ・ラインをミックスアップさせ、やるせない諦念と葛藤の果てに"儚い幻想"にすがることになる、自らの様を描き出すミドル・チューン「僕ラ#」に込められたリアリティも、生々しいことこの上ない。現実とは至って残酷なり。杉江 由紀