DISC REVIEW
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夜を飛ぶ蛾の存在感と、バンドのことを重ね合わせたうえで生まれたという表題曲に漂う激烈で不穏且つ緊張感のある音像と、そこに絡んでゆく刺激的でキャッチーな旋律。全権コンポーザーとも言うべきハヤト(Vo)の生み出す楽曲を、各楽器隊メンバーが攻めの手練れたプレイで彩っていく様は痛快のひと言だ。チャム(Dr)の揺るぎないリズム・アプローチ、meN-meNの繰り出す卓越したベース・フレーズ、精緻なゆめのギター・ワークは「負け犬」や「MELP」(※Ctype(通常盤)のみ収録)といったc/w曲たちの中でもそれぞれ発揮されているが、結成12年にして未だ前のめりな彼らのアグレッシヴな姿勢は、ある意味で危なっかしくもあり、逆に言えば極めてロックで守りには入らないところに気概を感じる。癖の強さが堪らない。 杉江 由紀