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INTERVIEW

コドモドラゴン

2022.04.04UPDATE

2022年04月号掲載

コドモドラゴン

Member:ハヤト(Vo) ゆめ(Gt) meN-meN(Ba) チャム(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

誰はばかることなく"「ほらね、俺らの音楽ってすごいでしょ!」って言えちゃう"音楽を堂々と生み出し続けているコドモドラゴンは、なんと激ロック初登場ながらすでに始動から約12年のキャリアを誇る、シーンにおける永遠の風雲児だと言えよう。このたび20thマキシ・シングルとして発表される『蛾』は、充分すぎるほどのラウドな要素やヘヴィな音像を持った仕上がりになっている一方で、斬新且つトリッキーなアプローチも組み込んだ、彼らいわく実験的音楽としての存在感も打ち出すものとなっているようだ。4月から始まり5月5日"コドモ"の日まで続く、全国ワンマン・ツアー"コドモドラゴン ONEMAN TOUR 「復讐劇」"も含めて、コドモドラゴンの放つリアルなロックをご堪能あれ!


"ほらね、俺らの音楽ってすごいでしょ!"って言えちゃうものになってます(笑)


-このたび20thマキシ・シングル『蛾』を発表されたコドモドラゴンは、激ロックへの登場こそ初となるものの、キャリアとしてはもう今年で12年目に入られるそうですね。そんなコドモドラゴンのバンド・サウンドを言葉で表すとするなら、その持ち味の特徴はどのようなところにあるとみなさんは自覚していらっしゃいますか?

ハヤト:おおまかに言えば、ラウドとかミクスチャーっぽいという表現を使うのが便利なのかなとは思います。ただ、ゴリっとしたサウンドの中にもお洒落な要素や、ポップスの感覚があるのもうちのバンドの特色ではあるでしょうね。というのも、僕は曲を作るときに、"どんなにハードな曲でも、最後は絶対にポップスとして落とし込む"ことを常に意識してるんですよ。

-そこを常に意識されている理由はなんなのでしょう。

ハヤト:日本人だからですよ。自分としては日本人として日本国内でまずは認められたいという気持ちが先にありますし、80年代あたりから今日に至るまでずっと続いてきている日本のポップス・カルチャーや、日本だからこそのメロディが個人的にとても好きなんです。別に他を否定するわけではいですけど、洋メロに関してはどうしても僕からすれば言葉がわからないこともあって、歌も楽器として聴こえちゃうところがあるというか。その点、日本語の抑揚を日本ならではのポップスにあてはめていく文化というのは、特別なものだと感じてますし、それがとても好きだから、自分たちの場合はラウドなものをやるにしても洋楽に対する憧れだけで、すべてをそれっぽくまとめちゃう、ということはしません。コドモドラゴンの曲については、どれも最終的に日本のポップスの文化を持ったものに仕上げるようにしていくことを、大事にしてるんです。

-楽器隊の各パートからすると、コドモドラゴンの音楽を作っていくうえで特に重視されているのはどのようなことですか?

チャム:音としてはラウドとかミクスチャーの要素を持ったヘヴィなロックなんですけど、ドラマーである自分としても一番大事にしているのはやっぱりメロディですね。基本的にメロディとリズムはリンクしているものだと思いますし、コドモドラゴンの曲は1曲の中でかなり多くの場面展開をしていくことになるんですが、そこに出てくるいろんなリズム・パターンは、どれもメロディを際立たせるためのものになっているんです。

-そもそも、個人的にはコドモドラゴンに対して"ハネのリズムに強いバンド"であるという印象を昔から持っておりまして。そこはきっと、チャムさんとmeN-meNさんの醸し出されている、リズム・コンビネーションによるところが相当に大きいのでしょうね。

ハヤト:たしかに、縦のノリがすごく好きなバンドではあります(笑)。

meN-meN:それと同時に、ハネだけじゃなくてリズムそのものに対しての突き詰めは、ここまでの12年でだいぶやってきたバンドだと思います。振り返ってみると、もうやってないタイプのリズムってあんまりないんじゃないか? というくらい、いろいろやり尽くしてきてる感はありますね。曲を作ってくるハヤト君がドラム大好きな人間だから、毎回何かしらはリズム的に新しい要素の入ったものを作ってくるし、1曲の中にいくつも展開が入ってるんで、気づいたらすごくたくさんのパターンに手を出してきたことになってました。まぁ、結局は"今までにないものを作りたい"という気持ちが、自分たちの中ではデカいんでしょうね。普通に前と同じようなことはしたくないし、新曲を作るからには前を超えたい! って必ずなるんですよ。おかげで、新曲の制作期間は毎回死にます(苦笑)。

ハヤト:コドモドラゴンって、要は自分自身の限界を試してるだけのバンドですからね。これはメンバーにも前々から言葉で伝えてあることで、僕は自分の中の音楽の"底"を見てみたいんですよ。その気持ちをもとにひとつのプロジェクトとしてやってるバンドだから、次はこのリズムが流行るだろうとかそういうことはまったく考えてないんです。

-ひたすらに我が道を進んでいらっしゃるわけですね。

ゆめ:構成の多さひとつとっても、コドモドラゴンでは、いわゆるラウド・ミュージックのセオリーとは違う作り方をしていると思うんですよ。ポップスに落とし込むという前提を大事にしていくと、たとえヘヴィな音やラウド感を打ち出した曲であったとしても、目的地にたどりつくためにはそこへのいくつもの掛け橋が必要で、ギタリスト的にも使っている音色は実を言うとめちゃめちゃ多いんです。

-それは今回の20thマキシ・シングル『蛾』を制作していくうえでもそうでしたか?

ゆめ:はい。特に、カップリングの「MELP」(※Ctype(通常盤)のみ収録)はギターの音作りの面で新しい試みを多くしてます。

ハヤト:表題曲のほうも、今回はサビのコードやメロディ進行がラウドロックとして考えても、この界隈としてもまずないなというクラシカルな雰囲気になってますしね。"ほらね、俺らの音楽ってすごいでしょ!"って言えちゃうものになってます(笑)。ギリギリまで可能性を追求していったんで、レコーディング直前で転調を3つ、4つ組み込んだりもしましたよ。それも、不協和音から転調するっていう誰もやらないことやってますから。

-トリッキーなアプローチをされているわりに、聴いたときの不自然さがないのはなんだか不思議です。

ハヤト:こういう特殊な転調といい、うちがいろんなかたちでやってるリズムの切り返しといい、それをにわかなやつがやろうとすると雑な音楽になっちゃうんですよ。逆に、僕らの場合は変拍子でやってても気づかれないこともあったりしますから。ちゃんと派手に聴かせたいときは、いかにもわざとらしく変拍子をやらないと伝わりにくいんです(笑)。

-卓越した表現力を会得しているバンドだからこそのレアなお悩みですね(笑)。

ハヤト:別に、自然な転調を売りにしてます! とかそういうわけではないんですよ。純粋に曲としての良さをどんどん求めていったら、結果としてそうなりましたっていうだけのことではあるんです。ほんと、作曲に関しては常にチャレンジ精神を持って臨んでます。

-12年の長い月日を経てきてなお、未だに新しい要素を貪欲に求め続けている姿勢はとても素晴らしいですね。

ハヤト:タイミング的なものもあって、特に今回のマキシ・シングルに収録した「蛾」、「負け犬」、「MELP」の3曲はどれもコドモドラゴンにとっての実験的音楽になってるんですよ。おそらく、自分は根本的に飽き性なところがあるからいろいろ試したくなるんだとは思います。でも、だからといって着せ替えみたいな感じにはなってないと思うし、いちいち楽曲にバンドが振り回されるということもないので、僕らとしてはどんなに幅広い音楽をやろうとも最後は"あぁ、やっぱコドモドラゴンだね"って人から言われるようなものを作っている自信はありますね。

-なお、新曲制作をされていくうえでのプロセスとしては、ハヤトさんが原曲を作られた時点で、アレンジもかなり完成していることが多いのでしょうか?

ハヤト:脳から煙が出だすまで徹底的に練るんで(笑)、デモができた時点ですでに完成形ですね。というのも、うちはプリプロというものを1回もしたことがないんですよ。

-えっ! となりますと、各パートの音作りなどは――

ゆめ:レコーディングと同時進行でやっていく感じです。

ハヤト:つまり、メンバーは僕がデモで作った音を、レコーディングの現場でアナログ変換していってくれるわけですよ。ただ、ギター・パートなんかは僕が、ギターの知識がそんなにないまま勝手に作ってるものなんで、いざリアンプしていこうという段階になると"このデモの音に近づけるにはどうしたら!?"みたいなことがよく起こってしまいます。あと、ギリギリまでデモを練るんで、「負け犬」なんかはレコーディングの前々日になって曲の内容変えたもんね。めちゃめちゃ往生際が悪いんです(苦笑)。

-しかしながら、より良いものを作るためとはいえ、前々日になって曲の内容が変更になるというのは、楽器隊メンバー側からするとさぞかし痺れるのではありませんか?

ゆめ&meN-meN&チャム:(笑)

meN-meN:でも、もうそれを我々は12年やってきてるんで。前々日どころか、当日に変更なんていうのも全然あるので大丈夫です!

ハヤト:むしろ、そこは"ここにきて変更かよ!"じゃなくて俺もメンバーも"(曲が)できて良かった......やっとレコーディングできる!"ってなるもんね(笑)。

-実にポジティヴですねぇ。

ハヤト:自分たちのファンにも、メンバーにも恥をかかせるわけにはいかないから、やれるだけのことはやりたいっていうだけなんです。