DISC REVIEW
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幻想と妄想の世界で自由に遊ぶことができれば、現世の面倒事などは大方取るに足らなかったりもするはず。異世界ファンタジー的な壮大なる物語を描いた歌詞と、驚異のツイン・ヴァイオリンを擁する音の大洪水。それらをもってAmiliyahがここに生み出しているのは、言わば聖域とも言えるような音楽世界だと言えよう。2019年より加入したヴァイオリンを操るEschikaとMoelは、共にエルフでAmiliyahの音像に多彩な色、表情、空気感を自在に与えていくところが素晴らしく、クラシックのみならずケルト民謡などの要素も時に挿し込んでくるところがなんとも興味深い。既存曲を現体制にてリレコーディングした、ファン投票の上位を占めた全11曲。うざったい現実をしばし忘れ、幻想と妄想の世界にいざ遊ぼうではないか。 杉江 由紀