DISC REVIEW
-
最近、名盤リリース◯◯周年記念ツアーなど、最も輝いていた時代に焦点を当てたライヴを多く見掛ける気がするが、BORN OF OSIRISはそんな過去の栄光にただすがるような生ぬるさをあいにく持ち合わせていなかった。デビュー作の10周年記念ツアーを発表したかと思えば、その正体はそれを再構築した新作をリリースし、ツアーを行うというもの。さらに見逃すわけにいかないのが、そこに収録された未発表の新曲「Glorious Day」。2分半という短さの中に詰めに詰め込まれた変拍子の数々を手数多めにこなすドラミング、そしてメロディアスでテクニカルなシンセとギターによるスリリングな展開は過去と現在の彼らを行き来する絶妙な仕上がりだ。荒々しく青臭さをも感じさせる当時の魅力を見事に昇華し、現代のサウンドに落とし込んだ今作を聴けば、これが過去の栄光にすがる中途半端な企画盤ではないことがよくわかる。6月の来日までにじっくり聴き込むことを推奨したい。 今谷 重治