LIVE REPORT
THE HALO EFFECT
2025.11.26 @豊洲PIT
Writer : 菅谷 透 Photographer:MASAYUKI NODA
メロディック・デス・メタルのパイオニア IN FLAMESの歴代メンバーで、スウェーデンはイェーテボリの旧友でもある5人が結成したスーパー・バンド THE HALO EFFECTが、2ndアルバム『March Of The Unheard』を引っ提げ初の日本単独公演を東京と大阪で開催した。心揺さぶるメロディとアグレッシヴなサウンドが見事に融合したライヴは、メロデスというジャンルの持つ魅力を改めて証明する記念碑的な一夜となった。
サポート・アクトとして出演したSABLE HILLSは、自らのルーツでもあるメロデスのレジェンドへの敬意を忍ばせながらも、ジャパニーズ・メタルの矜持を示す「Namu」や「Embers」等を披露。気迫に満ちた演奏で観客の心を掴んでいた。セット・チェンジを経て、『March Of The Unheard』に収録された荘厳なマーチング・サウンドのインスト・ナンバー「This Curse Of Silence」をバックにTHE HALO EFFECTのメンバーが登場。無数のメロイック・サインが掲げられ、歓喜の声が響き渡る中、最後にMikael Stanne(Vo)が姿を現し、「March Of The Unheard」でライヴの幕が上がった。Niclas Engelinと、Jesper Strömbladの代役としてツアーに参加したPatrik Jensen(THE HAUNTED)によるツイン・ギターは極上のトーンで、土台を支えるDaniel Svensson(Dr)、Peter Iwers(Ba)のリズム隊、天から降り注ぐようなMikaelのデス・ヴォイスが渾然一体となり、これぞイェーテボリ・サウンドと言うべき音像を描き出す。観客も負けじとメロディを合唱し、序盤から熱狂の渦が広がっていた。2曲目の「Feel What I Believe」を終えると、観客の盛り上がりにMikaelが驚きの表情を浮かべながら感謝を伝える。"イェーテボリ・デス・メタルを浴びる準備はできているか?"という言葉から演奏された「In Broken Trust」では、重厚なサウンドに乗せてMikaelがクリーン・ヴォーカルも披露。デス・ヴォイスとのコントラストが楽曲に深みを与えていた。
長年の音楽活動を経て、メンバーそれぞれが複数回の来日を経験しているが、THE HALO EFFECTとしてはこれが2度目の来日だ。前回の"DOWNLOAD JAPAN 2022"では午前中の出番だっただけに、今回多くのファンが集まったことにMikaelは深い感謝を述べていた。そして放たれた「The Needless End」はメランコリックなメロディと高速ビートが交錯、会場のボルテージがさらに高まっていく。アウトロではギターのメロディに合わせた大合唱が会場を包み、演奏が終わってもその声は鳴り止まなかった。メンバーはみんな感慨深げに歌声を受け止めていて、Niclasは"もう俺の出番はないね"と言わんばかりにギターを置き、ステージを去ろうとするユーモラスなジェスチャーで応えていた。勢いそのままに届けられた「Detonate」ではイントロから歓喜の声が上がり、「Conditional」や「Cruel Perception」では美麗なツイン・リードに酔いしれる観客の姿が印象的だった。
後半戦に入り、「A Truth Worth Lying For」はモダンさも備えたヘヴィなリフとMikaelのクリーン・ヴォーカルが炸裂。「Become Surrender」と「What We Become」ではデジタルなSEを取り入れつつ、ストリングスをフィーチャーした「Between Directions」ではドラマチックな展開で惹き込んでいた。メロデスの進化の歴史を踏まえつつ、クラシカルなジャンルの魅力をモダンに再構築し、王道を突き進むネオレトロなスタイルこそが、新旧のファン双方に愛される所以だろう。MCでは10代からの付き合いである仲間とバンドをスタートさせた経緯が語られ、当初は方向性を探っていたが、ある楽曲の誕生がバンドへの確信をもたらしたという。続けてプレイされた「Gateways」は、その言葉に説得力を与えるエモーショナルな熱演に。アウトロではNiclasとPeterが向かい合って息の合った演奏を披露、最後に拳を突き合わせると歓声が送られていた。ラストは1stアルバムのフィナーレを飾る「Last Of Our Kind」を経て、1stアルバムのタイトル曲「Days Of The Lost」でクライマックスを迎えた。アンコールには記念すべきデビュー・シングル「Shadowminds」が届けられ、会場は最高潮の興奮に包まれていた。その熱狂は収まることなく、エンディングに流されたインスト曲「Coda」でも手拍子と共に合唱が発生。メンバーは信じられないという顔を見せながらも、指揮を執る仕草等で応え、最後の最後まで会場との一体感を楽しんでいた。
この日のライヴは、スウェーデンの港町で若者たちが生み出したメロデスが、遠い日本の地でも長年愛されてきたことを示す証のようだった。言葉や世代といったあらゆる壁を越え、メロディのもとに一体となった一夜は、音楽の普遍的な力を改めて実感すると共に、その灯火が未来へと続いていくことも予感させてくれた。
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