LIVE REPORT
Bimi
2024.10.16 @Zepp Shinjuku (TOKYO)
Writer : 山口 哲生 Photographer:Yusuke Baba(Beyond the Lenz)
同時リリースしたEP『Snack Box』、『Refresh』を掲げ、東名阪ツアーを開催したBimi。そのツアー・ファイナルは、彼がメジャー・デビュー1周年を迎える前日の10月16日に、インディーズ時代に様々な理由で会場を押さえることができなかったZepp Shinjuku (TOKYO)にて行われた。
サポートを務めたDJ dipが、笙をはじめとした和楽器と凶暴な重低音が絡み合うシャーマニック且つスペクタクル感たっぷりのSEを轟かせるなか、Bimiが登場。"みんな明日休みにしといて、疲れちゃうから"と、ソールド・アウトで超満員のフロアを煽ると、ライヴは「Miso Soup」からスタート。極悪ドリル・ビートに乗せたユニークながらも熱いリリックを凄まじい勢いで叩き付けると、"元気玉作ろうぜ!"と「You Gotta Power」へ。
歌い、踊り、飛び跳ねるオーディエンスをさらに焚き付けるように、がなり気味にメロディを叫び上げると、序盤にもかかわらず場内はとてつもない熱気に包まれた。MCもほどほどに"次の曲は撮影OK!"の一言で歓喜に沸くフロアに投下したのは「ミツ蜂」。右肩上がりで増幅していくフロアの熱狂を止めたくなかったのだろう、"この曲で撮影終わりのつもりだったけどいいや! そのままやれ!"と間髪入れずに「Hurry feat.福澤 侑」へなだれ込んでいった。
バラエティ豊かな『Snack Box』と、メランコリックな『Refresh』という異なる側面をプッシュした作品だったこともあり、ライヴでもBimiの様々な表情を堪能することができた。艶やかなサウンドで魅せた「月と太陽 feat.SUIMMIN」や、鬼気迫るラップと壮絶なシャウトを轟かせた「Safe Haven」、フューチャー・ベース系のポップなサウンドが郷愁を高める「Good-by」に、オレンジ色のスポットライトを浴びながら内省的なラップと叙情的なメロディを届けた「OIL」等、矢継ぎ早に曲を畳み掛けていく。
また、この日のライヴには2人のゲスト・アーティストが招かれていた。1人目はカノエラナ。アップテンポな「イロドリ」を力強く伸びやかに届けた後、Bimiがステージイン。『Refresh』収録の「夕立 feat.カノエラナ」を披露した。ピアノの音色が心の柔らかい部分に触れる、美しくも儚げなサウンドに綴られた言葉たちを、2人は情感豊かに歌い上げていた。2人目のゲストである阿部顕嵐とは、Bimiがインディーズ時代に制作した「衝動」で共演。ハード・ロッキンなサウンドとパワフル且つ息の合ったステージングでフロアを沸かせていた。
スキルフルなラップと華のあるパフォーマンスで魅了していたが、中でも印象的だったのはライヴ終盤で披露された「飼ふ -味変-」。以前行ったインタビュー(※2024年9月号掲載)で、この曲は現状に対する"焦り"を歌ったものだと彼は話していたが、この日披露されたこの曲は、暗闇の中でもがく切迫感のようなものは少なく、自身の胸中をフロアに柔らかく語り掛けているような印象を受けた。
焦りを抱えて必死に駆け抜けてきたなかで出会った様々な人たちとの縁や、メジャー・デビュー1周年を迎える前日に、インディーズ時代には立つことのできなかったステージでライヴができていること、そして"今日の熱気はマジですごい"と讃えていたフロアとの関係等、着実に前へ進めていることで少しずつ気持ちが開けているところもあるのだろう。とはいえ、"まだ悔しい気持ちはある"と話していた通り、ここで止まる気は1ミリもない。アンコールでは"オトナの皆様、僕に1回ベットしてください。人の金で打つギャンブル、めっちゃ強いんで!"という彼らしい宣言から「博徒街道」へ。2025年も凄まじい勢いで駆け上がっていくことを確信させられる一夜だった。
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