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LIVE REPORT

Bimi

2024.04.19 @LIQUIDROOM ebisu

Writer : 山口 哲生 Photographer:Yusuke Baba(Beyond the Lenz)

今年3月にメジャー1st EP『心色相環』をリリースしたBimi。作品コンセプトに"喜怒哀楽"を掲げ、ヒップホップ、ラウドロック、R&B、演歌、歌謡曲など、様々なジャンルをブレンドした自身の音楽性を爆発させた快作となった。東京と愛知で開催された同作のリリース・パーティーは瞬く間に完売。それを受け、今回レポートを行ったLIQUIDROOM ebisuでの追加公演が急遽決定したのだが、本公演もソールド・アウトと、凄まじい勢いで注目を集めている。

攻撃的なブロステップが場内に轟くなか、サポートを務めるDJ dipのあとに、Bimiが登場。"俺の名前を叫べ!"とフロアへマイクを向け、大歓声を上げるオーディエンスの熱気をさらに高めると、「軽トラで轢く」からライヴ・スタート。『心色相環』の収録曲ではなく、演歌をフィーチャーした大胆なアレンジの楽曲をオープニングに持ってきたところに、彼の自由奔放なスタイルがよく表れている。日本情緒たっぷりな旋律をBimiが朗々と歌い上げれば、超満員のオーディエンスが"馬鹿 ボケ"と歌詞を叫ぶと、途中からビートがトラップに切り替わり、Bimiはラップを畳み掛けていく。そのまま和楽器を散りばめたオリエンタルな「博徒街道」へ。強烈な重低音が鳴り響くなか、ステージ上を縦横無尽に歩き回りながら、自身のアティテュードを刻みつけた言葉を叩きつけていった。

多種多様な音楽をミックスさせたBimiサウンドが矢継ぎ早に繰り出されていく。重厚なメタル・サウンドで席巻する「怒鈍器」やドラッギーな「Tai」でエモーショナルなスクリームを放てば、"ここからはダンス・パートだから。俺が踊るんじゃなくてお前らがな!"というBimiのひと言からなだれ込んだ中盤では、高揚を煽る強烈なビートの上で、「selfy」で感傷的なメロディを紡ぐ。また、シンセウェーヴな「Popstar」では、"君のためとか人のため都合良く使う/偽善者死ね"と鋭利な言葉を吐き出すと、"俺のために歌ってくれるか!?"と、歌詞を変えて叫び、フロアの大合唱を煽る。アンコールでは、ダンサー・チームが突如登場。"こいつらに負けんなよ!"とフロアを焚きつけ、マネー・ガンで自身がプリントされた紙幣をバラまくなど、常に最高潮を更新し続けていくステージを繰り広げていた。

スキルフルなラップはもちろんのこと、大きな月が浮かぶ映像を背負って歌った「虫の音」のファルセットや、ダークでシリアスな空気を帯びた「Safe Haven」で響かせたガナり声のロング・トーンなど、メロディもしっかり歌い上げられるところは、間違いなく彼の強み。また、Bimiは廣野凌大として俳優活動も行っていて、それがライヴ・パフォーマンスに生きているところもあるだろう。例えば、サイバーパンクと呪術宗教を掛け合わせたような「Anubis」では、怪しいオレンジ色の照明がステージを照らすなか、祈りを捧げるようなパフォーマンスで魅了。アーティストとして、俳優として、舞台に立つことはそれぞれまったくの別モノではあるのだが、舞台上で聴衆を魅了するということに関しての才覚が凄まじく、ここからステージに立ち続けることでさらに磨き上げられていきそうだ。

Bimiは、7月15日には品川プリンスホテル ステラボールでワンマン・ライヴ"Bimi Live Galley #03 -cosmic-"を開催することと、8月28日にEP『Snack Box』をリリースすることを発表。"俺はもう止まれないので。俺に可能性を感じられないと思ったら自然と離れたらいい。でも、増えているものが多かったら、俺はもっと上に行きます"と、この日のMCで話していたのだが、彼のステージングやオーディエンスの熱狂を見るに、圧倒的なまでの可能性しか感じない強烈なライヴだった。


[Setlist]
1. 軽トラで轢く
2. 博徒街道
3. 怒鈍器
4. Tai
5. 熱気
6. Anubis
7. selfy
8. funky night
9. Popstar
10. Frog
11. 虫の音
12. インベーダーインバイト
13. Safe Haven
En1. LOVE
En2. 輪 -味変-
En3. ミツ蜂

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