LIVE REPORT
SHUT THE FxxK UP!!! Vol.2
2012.12.27 @恵比寿LIQUIDROOM
Writer 山本 真由
PUNK ROCK解禁宣言から約2年。アグレッシヴなパンク・ロック・スタイルを取り戻したミニ・アルバム『PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT』をリリースし、その直後には震災があり、Hi-STANDARDを再結成し、AIR JAMを復活させ......紆余曲折を乗り越え、ファイティング・スピリッツが今まさに最高潮に盛り上がっている難波章浩が、2012年、というかこの2年間を総括するような素晴らしい企画を届けてくれた。
ハイスタとはまた違った側面から、パンク・シーンに、そしてこの世の中に喝を入れる"難波章浩そのもの"の思いが詰まった"SHUT THE FxxK UP!!!"。AIR JAMよりコアなメンツ、そして偶然にも大阪から2バンド、CrossfaithとHEY-SMITHという異色のメンツが揃ったこの日、最高にヘヴィでパワー漲る3バンドの共演で、年末のLIQUIDROOMをアツく燃え上がらせた。
最初に登場したのは、Crossfaith。初っ端から「Monolith」でウォール・オブ・デスを巻き起こし、フロアを混沌に導いた。欧州ツアーを行い、KERRANG!やMetal Hammerで特集される等、国際的な評価をも高める活躍で2012年大いに躍進を遂げた彼らの堂々たるライヴ・パフォーマンスは、この日も流石の一言。スーパー・ドラマー、Tatsuyaの超人的なソロも会場を沸かせ、記憶に残る一夜に華を添えた。2013年は、元旦から海外レコーディング、新年一発目のライヴも海外で行うことを発表した彼ら。今年は益々、精力的な活動が期待できそうだ。
そして、一気に酸素が薄くなった汗だくの会場に、とどめを刺すかの如く登場したのは、HEY-SMITH。このバンドは本当にCDで聴くよりも、ライヴの攻撃力が強すぎる!サウンドのみならず、まさに全身全霊のアクションを伴ったプレイ・スタイルは唯一無二の魅力。"YouTubeで見るだけじゃわからない生の感動を受け取って欲しい"という彼らのメッセージは、この日会場に居た全員にガッツリ届いた筈だ。ヘヴィな中にもスカ特有の抜け感を活かした、暴れて踊れる絶妙なバランス。そしていつもの、ユルいMCを何だかんだきっちり真面目にまとめるとこも、最後はショート・チューンで走り去るようにドタバタで仕上げるとこも、ライヴの起承転結がバッチリ決まっていて上手い。
CrossfaithとHEY-SMITHが、それぞれ非常に"らしい"ステージでキメてくれた絶好調のLIQUIDROOMに、DAFT PUNKの「One More Time」と共にノリノリで登場したのは勿論、真打・難波章浩。そしてポップな登場から一転、最新作『WAKE UP!!!』より「SURVIVE」、激しい幕開けでライヴはスタート。今作で、さらにバンド・サウンドのまとまりとラウドな一面を強化させた彼らの真骨頂が垣間見える。ソロとしてのPUNK ROCK解禁後、ハイスタでは無い独自のパンク・スタイルを模索した難波章浩が、『WAKE UP!!!』で、確固たる自身のパンク・ロックを展開することが出来たのを証明するかのような、のびのびとしたパフォーマンスは、確かにハイスタとは全く別物に見えた。
そして、オリジナル曲の個性が確立されてこそ、その魅力を発揮させることが出来る名カヴァーも。Hi-STANDARDのカヴァーでお馴染みのTHE MAMAS & THE PAPASの哀愁漂う名曲「California dreamin'」や、お馴染みの"ワン・モア・モッシュ"、「One More Time」カヴァーも、激しくフロアを掻き回した。
さらには、「MY WAY」や「PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT」、さらに「WILD AT HEART」といったキャッチーな楽曲では、元祖国産メロディック・パンク職人たるメロディ・メーカーとしての資質を存分に発揮し、数多のライヴ・ハウスを左回りに巻き上げてきたベテランならではの実力を見せつけてくれた。
充実のライヴも佳境に差し掛かったところで、本来トリとしてアンコールを行うところを時間の関係もあってか(この日ライヴは20分以上予定時間をおしていた)、一旦引き揚げること無くそのままプレイするというサプライズが。若いバンドでも結構きついに違いない、全力でアグレッシヴなライヴを見せてくれていただけに、これには驚いた。曲を減らすのではなく、間の時間を省略することでオーディエンスに全てを届けたいという思いが伝わって、感動5割増し!反原発を訴える「STOP THE 54」を合唱し、待ってました!の「STAY GOLD」も飛び出した。ラストは、ファンとの団結を「YOU ARE THE ONE」で確認し、まさに2012年を象徴する"金"という言葉がぴったりの色褪せない輝きと希望に溢れた未来を感じさせてくれる、ハッピーなイベントは幕を閉じた。
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