MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

難波章浩

2012.09.05UPDATE

2012年09月号掲載

難波章浩

Member:難波 章浩

Interviewer:荒金 良介

-昨夜(8月16日)は自身のツイッターでGREEN DAYのBilly Joe (Vo/Gt)、Mike Dirnt(Ba/Cho)と一緒に映った写真をアップしてましたね。渋谷AX公演には観に行かれたんですか?

うん、ライヴやばかったなあ~。ほんとにかっこ良かった! GREEN DAYの作品は聴いてるけど、ライヴはサポート・メンバーが増えてて、ハイスタで対バンしたときはシンプルな3ピースだったから、ものすごく進化してる感じがした。パフォーマンスも衰えてないし、サウンドも半端なくて、ずっと続けていたらこうなるんだと思って。ちょっと感動したというか、ショックを受けた。で、昨日の写真はライヴ後に裏で待ってて、“やばかったよー!”って声をかけてね。だから、会った印象は友達というよりも、神がかったロックの先輩だと思った。彼ら自身も今がいちばんいいんだって。楽しくてしょうがないみたいだよ。

-そうだったんですね。で、早速今作の話をしたいんですが、まず作り終えた難波さんの率直な感想から聞かせてもらえますか?

自分で言うのもなんだけど、仕上がりは最高だね。ハイスタや自分のソロ作を含め、いつも最高傑作をリリースしているつもりではいるけど……自分の耳も進化しているし、比べることはできないかもしれないけど、いままで自分が作ってきた中で最高傑作だと思う。音、楽曲、メッセージ性の面で、今やれることを全部込められたから、大満足してる。この音源がみんなにとって刺激になればいいなと思って。あとは、ライヴでこの音源を再現して、昨日のGREEN DAYに負けないとんでもないパフォーマンスをしたいなって。

-自分の口から、はっきりと最高傑作と言えるポイントは?

何だろうね……。今この瞬間までハイスタが継続していたら、また違う人生になっていたわけじゃない? だけど、活動休止して、そこで一旦自分の中でバンドが止まったんだよね。それを言葉にすると、ブランクだろうね。ハイスタではあれだけのことができていたけど、バンドがないから、パンク・ロックができなかった。去年はパンク・ロック解禁と謳った作品(『PUNK ROCK THROUGH THE NIGHT』)を出したけど、全然まだまだだと自分で分かっていたし、でもあれが自分ができる精一杯だった。で、今回の作品では、そのブランクを埋めることができたんだよ。自分なりに新しいものを打ち出すことができた。それは難波章浩というバンドなのか、アーティストなのか分からないけど、個性を持ったスタイルが確立された気がして。

-ああ、なるほど。

それはハイスタとは違うんだよね。ハイスタは復活することができたし、ハイスタはハイスタでまたやればいいわけで。同じパンク・ロックだし、同じヴォーカルなんだけど、何か違うんだよね。ブランクを挽回できたというか、逆転できたんだよね。

-なぜ、今作から逆転できたんでしょうね?

いろんなことがあったからねえ。その中には震災もあったし……悲しい出来事もあったわけでしょ。そこで音楽をやる意味を考えたし、パンク・ロックをやる意味を考えたし、ラウドロックって何? 何ででかい音を出すんだろうと。そこで俺が行き着いたのは……届けようってことだった。なぜ自分はでかい声で歌うのか、なぜでかい音を出すのかと言ったら、届けたいからなんだよ。

-その気持ちに気付いたことが大きいんですよね。今作は怒りで始まって希望で終わる、ものすごくドラマチックな作品に仕上がりで、胸を打たれました。

とにかく、怒りの部分を含めて純粋に言いたかった。パンクには怒りがなきゃいけないし、怒りから生まれるものだと思うし、そこから出るポジティヴなものが好きだから。ハイスタのときは怒りをダイレクトに表現してなかったんだよね。だけど、去年震災が起きて、これはダイレクトに言うべきだなと思って。自分が純粋でいればいるほど、怒らなきゃいけない。怒ることで、それがメッセージとなって、みんなに何か伝わればいいなと。実際、俺も小さい頃にパンク・ロックを聴いてて、怒りを代弁してくれることで、スッキリしていたところがあったんだよね。俺はほんとパンク・ロックが教科書で、姿勢や考え方や生き方も教わったから。もし今回の音を聴いて、社会のことを考えてみようとか思ってくれたら、すごく有り難いことだね。

-今作は社会性、時代性、政治性を帯びた作品という意味で、特別な1枚になりましたね。

そこに目覚めたんだね。俺はソロとして自分の名前でやる以上、黙ってるわけにはいかなくなった。震災が起きて、それについて友達同士で話すことはあったけど、直接表現することはあまりなかったからね。直接的なことを言うことがパンク・ロックだと思っていたけど、ハイスタでポジティヴなことばかり言っていいのか、悩んだこともあったしね。ハイスタはそこを消化して、ネガティヴなことを言わないことが強さだと思ってて。でも変わったんだよね。今、パンク・ロックが何も言えないのは、まずいんじゃないかと思って。あと、以前は音に声を乗せて、社会に対して何か言っても、変わらないだろうなと思っていたのかも。