MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

難波章浩

2012.09.05UPDATE

2012年09月号掲載

難波章浩

Member:難波 章浩

Interviewer:荒金 良介

-そこで3人の私的な感情を後ろに置いて、ハイスタ復活を可能にした。

自分たちでもハイスタの影響力の大きさはわかっているからね。そのパワーをまだ使えるのに、震災が起きて、そのパワーを使わないのは“違うんじゃないか!?”ってメンバーみんな思ったんじゃないかな。ハイスタを通して、みんなに希望をあげよう、光りをあげようと思ったんだよね。みんなのために、日本のために、ライヴをやろうと思ったんだよ。

-勝手な意見かもしれませんが、今の復活したハイスタは、90年代とは同じ活動はできないかもしれない。だけど、もう完全にストップすることはないし、またいつかどこかでハイスタを観ることができる、という妙な安心感があるんですよ。

それはあるかもしれないね。ただ、東北のAIR JAMをやってみてだね。00年に活動を休止したときも、プライベートな感情ではなかったんだよね……それはハイスタの運命というか。あのとき俺が感じたのは、ハイスタがでかくなりすぎて、思うようにライヴができなかったんだよね。当時俺はハイスタがでかくなることで、ファンと垣根ができることがすごく嫌だったのよ。

-身近な存在でいられなくなった?

身近な存在でいられなくなったし、コントロールの効かないことが多くなって。ハイスタみたいなバンドが青田買いされて、ヘンな方向にどんどん進んで、世の中の流れに対して、少し嫌気が差してきて。あとは、健君の体調の問題もあったんだけど。それを全部含めて、当時のハイスタは止まるべきじゃないかなと思ったんだよね。俺はハイスタが止まるなんて思ってなかったけど、止まるのもハイスタなんだろうな、人生なんだろうなって。で、今はハイスタが復活できて嬉しいし、自分の活動もいい感じでやれているし、GREEN DAYじゃないけど、実は今がいちばん楽しくてね。

-今作に収録されてる「Eternal Gold」は、曲名や曲調も「Stay Gold」に似た雰囲気がありますよね。歌詞でも昨年のAIR JAMのことを歌ってませんか?

そうだね。それを比喩的に使っているんだろうね。

-「オレ達が手に入れたのは 永遠の“絆”」という歌詞のラインは、ハイスタが手に入れた“絆”そのものであり、それをステージで見せてくれたことで多くの人が熱狂したわけで。

自分のことを比喩的に例えながら、日本中の人がその絆を手に入れてくれたらいいなと思って。東北の復興、原発の問題、政治はあのままでいいのか、そこが大切な要素なわけで。俺らの世代でクリアにならないかもしれないけど、その絆が繋がって、いつか平和を手に入れようよって。俺が高校の頃は“日本最高!”、東京出て来たときは“東京最高!”と思ってた(笑)。全然ネガティヴなこと考えなかったもん。みんながまたそう思えるようになったらいいよね。今、若い人もよく夢がないとか言うじゃない? 悲しいよね。だから、“絆”なんだよ。結局ハイスタが復活したのも、今ケンカしてる場合じゃないなと思ったんだよね(苦笑)。俺らも乗り越えられたから、みんなも仲良くなってねって。もうハイスタはいい感じだし、もう仲が悪くなることはないし、完全にコミュニケーションが取れてるんだよ。今の時代、みんな仲良くやって、いいシステムや環境を作っていこうよって。だって、1人ひとりの心は変えられるからね。1人ひとりの集まりが社会なんだから。政治家だって、俺らと同じ人間なんだからさ。これからも頑張りますよ。

-今作のレコ発ツアーは、東北から始まりますしね。

そう。今、日本は困難な状況だと思うけど……困難だからと言ってたら、どんどん下がるじゃん。そこで元気をあげるのが音楽の役割だと思うし、人に寄り添うのも音楽だと思うから。パンク・ロックはこういう時代だからこそ、重要なんじゃないかな。