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LIVE REPORT

TWILIGHT RECORDS TOUR 2012

2012.10.18 @代官山UNIT

Writer 山口 智男

THE CAB

トップバッターはTHE CAB。来日直前までMAROON5とアジア、オーストラリアをツアーしていたという。演奏は今年7月に日本でリリースされた2作目のアルバム『Symphony Soldier』からの「Temporary Bliss」でスタート。2曲目に披露したデビュー・アルバム『Whisper War』からの「Take My Hand」ではファンの間から自然に手拍子が起こり、3曲目の「Bad」ではキャーという黄色い歓声が彼らの人気を印象づけた。その後もBruno Marsと共作した「Endlessly」、デビュー・アルバムの人気曲「Bounce」など、R&Bの影響が色濃いダンサブルなポップ・ソングの数々を披露。ファンもそれに応え、ライヴはかなり盛り上がったものの、機材の調子が悪かったのか、終始、ベースが爆音で鳴り続けていたため、5人の熱演とは裏腹に楽曲の魅力がパーフェクトな形で伝わってこなかったのがちょっと残念だった。

QUIETDRIVE

"物販を買ってくれたファンには頬にキスするよ"というAlex Deleon(Vo)のMCが効いたのか、THE CABの演奏が終わると、フロアーにいたお客さんが女子のグループから男子に入れ替わったのには驚かされたが、ステージに現れたKevin Truckenmiller(Vo)ら、QUIETDRIVEの5人はもちろん、そんなことを気にするわけもなく、SEが流れる中、演奏に突入。これまで何度も来日しているだけに、いきなり1曲目の「Believe」からコール&レスポンスが起こるなど、ファンの反応は上々だ。 3曲目の「Maybe Misery」が終わったところで、KevinがWill Caesar(Gt / Vo)に白縁のサングラスを渡すと、それをかけたWillが"『Deliverance』をリリースした08年頃のKevinみたいだろ(笑)"とか何とかジョークを飛ばす。リード・ギターは新加入のBrady Trudeau(Gt)に任せ、ほぼリズム・ギターに徹しているこのWill。今回のライヴでは、ひょうきんなキャラクターがすいぶんと立ちはじめ、これまでKevin以外、どちらかと言うと、地味目だったバンドの佇まいに華やかさを加える役目を果たしていた。

女性ファンをステージに上げ、タンバリンを叩かせる「Birthday」では演奏が終わると、Kevinが女性ファンをステージから追い出すという定番のジョークももちろん披露。Kevinのセリフも7月のNO BLUR CIRCUITから"出てけ"と日本語にバージョン・アップ(笑)。Kevinはどうやらこの"出てけ"という日本語の響きがかなり気に入っているようだ。
それにしてもだ。QUIETDRIVEのライヴは、(たぶん)来日するたびに観てきたが、彼らのブレイクのきっかけになったCindy Lauperの「Time After Time」のカヴァーも含め、緩急をつけながら演奏するレパートリーの数々を聴き、今回、改めてすごくいいバンドだなぁ(思わず溜息)と実感。Kevinが情熱的に歌いあげるメロディだけで展開していく彼らの曲にはディスコ・ビートもエグいシンセ・サウンドもスクリームも過剰な泣きもないけれど、それでもこれだけ胸を打つんだから、何とも頼もしいではないか。
もちろん、ディスコ・ビートやエグいシンセ・サウンドを使っているバンドがダメだというわけではない。しかし、てらいのないギター・サウンドと歌だけで勝負しているQUIETDRIVEのようなバンドがこうして度々、日本にやってきて、少なくない数の熱烈なファンに大歓迎されているなんて、とても素晴らしいことではないか。彼らのファンからは今さら何を言ってやがると言われるかもしれないが、これまででベストと言える彼らのライヴを目の当たりにした僕は、その事実がなんだかやけにうれしかったのだ。

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