INTERVIEW
黑猫
2025.10.06UPDATE
2025年10月号掲載
Member:或花(Vo) ヒナタ(Gt) おーる。(Ba) haku(Dr)
Interviewer:山口 哲生
-おーる。さんのルーツや好きな音楽というと?
おーる。:小さい頃に和楽器バンドが好きで。ベースの亜沙さんがイケメンすぎて、ベースかっこいい! っていうのがきっかけで、ベースを始めました。そこから中学ぐらいのときにコロナが流行って、YouTubeをめっちゃ観てたら己龍がチャンネルを開いていて、利き手と左右反対で弾いてみるっていう企画を観て、面白! と思って、そこからヴィジュアル系にどんどんハマっていきましたね。
-そもそも和楽器バンドが好きになったのってどんな理由だったんです?
おーる。:幼稚園のときからボカロが好きだったので。
或花:幼稚園から!?
おーる。:姉がいるのでその影響ですね。「千本桜」のMVを観て、かっこいいなと思って。それでオリジナル曲とかカバー曲とかを聴いて、和楽器バンド全体にハマって。その後に亜沙さんかっこいい、ソロ活動もしてるんだって知って、曲もどんどん好きになってみたいな感じでしたね。亜沙さんのファンでした。
-或花さんのルーツや好きな音楽というと?
或花:いろいろ好きなので話すと長くなっちゃうんですけど......(笑)。
-大丈夫ですよ。
或花:もともと小さい頃から歌うことが好きで、いきものがかりとかアニソンとか、流行りのJ-POPをよくカラオケで歌っていたんですけど、小5のときにラジオの"SCHOOL OF LOCK!"ってあるじゃないですか。あれをたまたま聴いて、そこから邦ロックに目覚めて、凛として時雨、サカナクション、クリープハイプとかをめっちゃ聴いていて。中学生になってスマホを買ってもらってからディグりが進むようになって、もっと激しいのが聴きたいと思って、日本のパンクやラウドを聴き始めました。SiMとかを聴いて"DEAD POP(FESTiVAL)"にも行ってたし、ヒステリックパニックとa crowd of rebellionがめちゃめちゃ好きでしたね。 そこから高校生になって海外のバンドも聴いてたんですけど、たまたま流れてきたthe GazettEの「Falling」のMVを観たときに、めちゃめちゃ衝撃を受けて。最近のthe GazettEって結構モダン・メタル寄りなサウンドだけど、LUNA SEAとかの系譜の美しさみたいなものがあって、見た目でそういう表現をしているところにも惹かれて、ヴィジュアル系をやりたいなって思いましたね。
-なるほど。
或花:それと並行してボカロだったり、アニソンだったり、あと最近だとヴィジュアル系的なアイドルって多いじゃないですか。最近亡くなられてしまったんですが、Yo-ShiT(ex- xTRiPx/Vo/Yoshito Abe)さんが曲を書いているマーキュロとかもすごく聴いていて。その辺のサブカル的なルーツもあるんで、いろいろ聴きます(笑)。
-音楽の道を志し始めたのはいつ頃でした?
或花:本当に小さい頃から歌うことが好きだったので、ガチで小さい頃はシンガー・ソングライター的なことをやりたいなと思ったし、小5でバンドにハマったときは、ロック・バンドでギター・ヴォーカルをやりたいなと思ったし、ラウドにハマったときはSiMのMAH(Vo)さんみたいになりたいと思って。で、the GazettEに出会ってヴィジュアル系のヴォーカルをやりたいなと思って、今ですね。
-じゃあもう小さい頃からずっと。
或花:そうですね。それ以外にあんまり得意なことがなかったから、歌で生きていきたいなっていうのは小さいときからなんとなく思ってましたね。
-ヒナタさんのルーツというと?
ヒナタ:僕がヴィジュアル系に入ったのは、兄貴に誘われたのがきっかけだったんですよ。中学生のときにギターを始めたんですけど、それも兄貴に"やれ"って言われて。そんなに興味なかったんですけどね。そもそも"音楽って人間がやってるんだ"くらいの感じだったんで。でも特に趣味もなかったから、これを趣味にしちゃおうと。で、兄貴のためにギターをやるってことは、今後兄貴がやるジャンルに合わせて俺はギターをやらなきゃいけないって思って。
-そこまで思ってたんですか!?
ヒナタ:そうなんですよ。それで自分が中学生で兄貴が高校生のときに、"どのジャンルに行くの?"って聞いたら"ヴィジュアル系"って言うからヴィジュアル系を聴き出して、"なるほど、こういう感じか"と。だからやるぞ! って決めたのは中学生のときでしたね。でも、時間がないわけですよ。
-というと?
ヒナタ:地元が鳥取なんですけど、兄貴が先に東京に出ちゃったから、すぐに追いつかないといけないと思って。それで普通の高校に行きながら専門も同時に行って。本当はダメなんですけど、先生にお願いして行って卒業して、東京に出てきたんです。高校時代も東京に通いながら兄貴の手伝いをしていたので、そこからぬるっとヴィジュアル系に入りました。
-ぬるっと入る前がすごすぎます(笑)。ちなみにお兄さんは今もバンド活動をされてるんですか?
ヒナタ:そうですね。鐘ト銃声でドラム(詠真)やってます。
-へぇー! あ、じゃあツーマン・ライヴの"兄弟喧嘩"って......。
ヒナタ:あぁ。そうですね。
-ガチの兄弟なんですね(笑)。ヴィジュアル系の中でもどんなバンドが好きでした?
ヒナタ:学生の頃に、鳥取のAZTiC laughsっていうライヴハウスに47都道府県ツアー("R指定十周年記念47都道府県単独公演ツアー 『CLIMAX47』")でR指定が来て。それでギターのZさんがかっこいいってなって、より好きになりました。あと、lynch.が幕張メッセ("lynch.13th ANNIVERSARY-Xlll GALLOWS- [THE FIVE BLACKEST CROWS]")でやったときに観に行って、かっこいいなって。だから最初はR指定とlynch.ですね。
-先程黑猫のコンセプトは"痛み"とおっしゃっていましたけど、ハードなサウンドが好きだからこそ、テーマもそういう感じにしようみたいな感じだったんですか?
ヒナタ:そうですね。でもまぁ"痛み"はちょっと後付けではあるんですよね。もともとハードなのが好きなのは、ヴィジュアル系からじゃなくて。LOUDNESSが好きだったので、そこからですね。
-そうだったんですね。ここからは楽曲についてお聞きしていきます。先日リリースされた『少女の悪夢 濫觴 (改訂版)』ですが、過去曲を現体制で録り直したセルフカバー・アルバムになっていて。楽曲はどれもヒナタさんが作られていますけども、曲を作るにあたってデモを結構作り込まれますか?
ヒナタ:最初の頃はそうでしたね。でも、だんだん大雑把になっていきました(笑)。
-そこはメンバーを信頼して。
ヒナタ:そうです。あとはよろしくって任せてます。
-hakuさんとしては、ヒナタさんが作ってくる楽曲であり、黑猫の音楽の魅力についてどんなことを感じていますか?
haku:かっこいいのは当たり前なんですけど、俺は音楽を心で感じるというか。音楽の楽しみ方っていろいろあると思うんですけど、俺にとっては音楽は自分を後押ししてくれる存在なんですよ。しんどいな、でも学校行かなきゃな、バイトしなきゃなっていうときに聴く。で、自分を奮い立たせてくれる。ずっとそうやって音楽を聴いてきたんで、自分も自分のドラムで、自分の曲でお客さんの背中を押してあげられるように、感情を込めて演奏するのが得意なんですよ。そこに黑猫の曲はすごくハマる。歌詞も曲調もそうだし、自分でもやっていてしっくりくるんで、こういうの向いてるなって初めて思いましたね。
-ご自身の中でこれまで一番しっくりきた曲を挙げるとどの曲ですか?
haku:「磔」っていう曲があるんですよ。わりと最近の曲なんですけど、俺が好きそうな感じ(笑)。重いし、激しいし、とにかくフロアをぶっ壊すような感じの曲ですね。
-おーる。さんが思う、ヒナタさんの作る楽曲や黑猫の音楽の魅力というと?
おーる。:自分は技術よりもパッションが大事だと思っている派なんですけど、ヒナタさんの作る曲はそれを一番引き出してくれる曲だなって本当に思いますね。ライヴをしていても、パッションで、魂で弾けるような楽曲が多くて。天才だなって思います。
-自分の熱を一番引き出された楽曲というと?
おーる。:「向精神薬」っていう曲なんですけど、さっきhakuが言った「磔」よりはちょっとゆったりしていて。結構見せる系の曲調ではあると思うんですけど、最初にベース・ソロがあって、"向精神薬"っていうタイトルだけあって、狂ったようなステージングともマッチするような曲なので、すごく好きです。
-或花さんはいかがでしょうか。
或花:一番の魅力はメロディですかね。自分は密室系的なルーツはないんですけど、それこそ初めて聴いた「流血ドアスコープ」に惹かれたのもメロディが一番大きかったし、きれいでキャッチーなので、歌っていて楽しいです。
-シャウトもありますけど、それも或花さんが?
或花:ライヴでは自分でやってるんですけど、音源はMAHONEさんにお願いしていて。前のヴォーカルがそういう歌唱方法があまり得意ではない方だったんですけど、どんな経緯でMAHONEさんにお願いしたの?
ヒナタ:普通にやってくれませんか? みたいな。
或花:そのときはMAHONEさんって気付かずに聴いて、シャウトかっけえなと思って。加入を決めたのもあの曲が大きかったんで、メロディと、あとはヘヴィなところもちゃんとルーツにあるっていうところですかね。
-歌っていて一番気持ちいいなと思うのは、それこそ「流血ドアスコープ」ですか?
或花:「流血ドアスコープ」も楽しいし、あとは「化猫」(2024年10月リリースの5thシングル)とか「滅」(2024年8月リリースの3rdシングル)とかもですね。自分が加入してすぐ3ヶ月連続で出した内の2曲なんですけど、自分がthe GazettEがルーツにあるっていうのをヒナタさんに伝えていたので、たぶんそこを意識して作ってくれたのかなっていう感じがあって。「化猫」は異端時代的なノリがあって、「滅」はどちらかというと2010年以降ぐらいのノリを、特にサビのドラム・パターンとかからすごく感じるので、そこは結構楽しいですね。
-ヒナタさん的に、実際に或花さんがおっしゃっていたイメージで作っていたんですか?
ヒナタ:全部バレてました(笑)。これは恥ずかしい。
或花:the GazettEの影響は見逃さないです(笑)。