INTERVIEW
黑猫
2025.10.06UPDATE
2025年10月号掲載
Member:或花(Vo) ヒナタ(Gt) おーる。(Ba) haku(Dr)
Interviewer:山口 哲生
現在ヴィジュアル系シーンの中で注目を集めている黑猫。始動は2023年7月、平均年齢21歳というフレッシュな彼等だが、始動1年で、リーダーのヒナタ以外のメンバーが全員脱退する(第0期)という苦境を経験しているバンドでもある。激ロック初登場となる今回は、現メンバーによる第1期始動に至るまでの話や、先日リリースされたフル・アルバム『少女の悪夢 濫觴 (改訂版)』と、現在制作中の音源、そして12月1日に渋谷近未来会館で開催される"黑猫一周年記念単独公演"について語ってもらった。
黑猫を続けることで見返せると思った
-今日はバンドの成り立ちからお聞きできればと思います。2023年7月に第0期がスタートしたわけですが、ヒナタさんとしてはどういうバンドを始めようと考えていたんですか?
ヒナタ:音楽を聴いたら、ライヴに来たら日頃の鬱憤を晴らせるようなバンドにしたくて。なので、最初は"痛み"というコンセプトでやっていました。
-そこから活動をスタートさせつつも、ヒナタさん以外の全メンバーが脱退するという状況になっていて。当時はどんな心境でしたか?
ヒナタ:怒ってましたね。これからやるぞ! っていうときにやめていっちゃったので。だからほとんど怒り任せに続けた感じでした。
-怒りが原動力になっていたと。
ヒナタ:そうですね。
-例えばですけど、名前を変えて再始動するとか、そういうパターンもあると思うんですが、それはあまり考えなかったんですか?
ヒナタ:むしろ黑猫を続けることで見返せると思ったんですよ。他のバンドさんも名前を変えるのはよくやってますけど、黑猫という名前で続けていくことで、やめていったメンバーやいなくなったお客さんに、"あぁ、やっておけば良かったな"とか"通っておけば良かったな"って言わせたくて。そのために黑猫を守ってきたというか、やってきました。
-そこから足を止めることなくサポート・メンバーを入れてライヴ活動を続けていくなかで、最初に声を掛けたのが或花さんだったと。以前から知り合いだったんですか?
ヒナタ:全然知らない人でした(笑)。X見たらかっこ良かったし、ヘッダーがイケてたんですよ。それでDMを送りました。
或花:もともと黑猫のことは知っていて。ちゃんと活動を追っていたわけではないんですけど、「流血ドアスコープ」(2023年7月リリースの1stミニ・アルバム『少女の悪夢-始まり-』収録曲)のMVがたまたまTwitter(現X)で流れてきて、かっこいいバンドだなと思って。声を掛けてもらったときは、自分はバンドとかもやっていなくて、いわゆるセッションみたいなものを始めてすぐぐらいの頃だったんですけど、周りで同じぐらいのセッションをやっている人たちの、モチベーションが正直あんまり高くなかったので、早くここから抜け出さないとって考えていたんです。そこから何回かヒナタさんと会って、話して、ライヴを観に行ったりして、入ることを決めました。
-どんな感じで誘われました? 結構グイグイ来たのか。
或花:どうでしたっけ?
ヒナタ:そんなにグイグイではなかったと思いますね。"やりませんか? どうですか?"みたいな。
或花:うん。強引な感じではなかったです。こんなバンドでというのと、どんなスタンスでやっているのかを話してもらって、俺からちょっと質問もして、まぁ判断は任せるよみたいな感じだったと思います。
-そこからいきなり加入みたいな感じだったんですか?
ヒナタ:最初は一回様子を見てみたいな感じでした。
-そのときどうでした?
ヒナタ:めっっちゃ良かったですね!
或花:そんなことはない(笑)。
ヒナタ:イメージ通りと言えばイメージ通りでしたね。来たな! って。
或花:でも、決まった段階でサポートとしてやったのは1回だけだったんですよ。だから様子見というよりは......。
ヒナタ:そうか。本メンバーだけどサポートっていう期間が長かった?
或花:いや、長くないです(笑)。もともとは"他のメンバーが揃うまではサポートで......"みたいな話だったんですけど、結局早く加入してほしいっていうことになって。
ヒナタ:じゃあ、或花っちだけだいぶ早く入ったってことだ。
或花:そうっすよ(笑)。(2024年)6月ぐらいに決まって、7月にサポートで1本やって、8月1日のライヴ("SPEEDDISK PRESENTS Hysteric Media Zone")で加入して。そこから3~4ヶ月くらい2人でやりながらメンバーを探して、2人(おーる。&haku)が入るのが決まって、11月からこの4人でっていう感じでしたね。
ヒナタ:そうだ。2人の期間が長かったんだ。
haku:2人だけのアー写があったもんね。
-おーる。さんが声を掛けられたのはいつ頃だったんですか?
おーる。:自分はヒナタさんからDMで誘ってもらったんですけど、気付いてなくて何ヶ月か放置しちゃっていて(苦笑)。気付いてからすぐに返信してって感じでした。
或花:俺より前から声掛かってたんでしょ?
-ということはだいぶ待ちましたね(笑)。知ったきっかけはSNS?
ヒナタ:そうですね。
おーる。:入る前に1回お話を聞きたいですって返信して、2人でカフェに行ったんですよ。そこで、こういう活動しますって決まっている日程を見せてもらったら、もう名阪に行くのも決まっていて。"どうですか?"って聞かれて、"やります! いけます!"みたいな。二つ返事で、すぐに加入したいっていう気持ちは伝えました。で、そこからスタジオで2回ぐらい合わせて、すぐにライヴでした。
-hakuさんが声を掛けられたのは?
或花:去年の夏ぐらい?
haku:うん。俺の場合はヒナタさんからじゃなくて、俺からなんですよ。俺と或花が大学が一緒で。
或花:音大に行ってたんです。
haku:俺は大学1年からバンドをやっていたんですけど、4年のときにメンバー間で揉めて、俺がやめたんですよ。クビになっちゃって。卒業したらこのバンドでやっていこうって思っていたのに、そこで3年間がパーになっちゃって。
-どんなバンドをやってたんですか?
haku:オリジナルなんですけど、ロックというよりはポップ要素強めで、アニソン系というか。そのなかでも優しめでふわっとしているような感じだったけど、じゃあそういうのが好きでやっていたかといったら、そうでもなく。本当はそれこそ今の黑猫みたいなバンドをやりたったんですよ。で、当時或花が、学外で結構ハード系のバンドをやってるっていう話を聞いて。ヴィジュアル系だったことは知らなかったんですけど、一旦メンバー探しというか、ドラムを探してるバンドはいないかなって聞いたんです。それが或花が黑猫に入ったときぐらいだよね?
或花:うん。入ってすぐ。
haku:俺が声を掛けたのが8月中旬ぐらいだったんで。
-或花さんとしては、hakuさんがどういうプレイヤーかも知っていて。
或花:そうですね。何回か一緒に演奏したこともあったし、もともと激しいのが好きっていうのも知ってたので、ちょうどいいなと思って。
haku:ただ、ドラムは俺の他にも候補がいたんですよ。だから2人よりも加入条件的には当初厳しかった(笑)。
或花:いや、そんなことはない(笑)。
haku:でも、誰になるかは分かんない的なことは言われてましたね。
或花:俺の中では100パーセントhakuでしょと思ってたんですけど。
ヒナタ:でもまぁ、やっぱり誘った手前考えないと......(苦笑)。
-たしかに(笑)。他の方にも一度声を掛けているわけですからね。hakuさんが大学時代にやっていたバンドでアニソンというワードがありましたけど、ルーツとしては激しいものが好きだったと。どのあたりが好きだったんですか?
haku:きっかけは"BanG Dream!(バンドリ!)"ですね。ドラムを始めた理由も大学に行った理由もそうなんですけど、"バンドリ!"から音楽にハマって、そこら辺の曲をひたすらカバーしていって。
-"バンドリ!"だと例えばRoseliaとか?
haku:そうですね。で、初めてツイン・ペダルを買ってコピーしようと思ったのがX JAPANの「紅」で。そこら辺から徐々に重いのが好きになっていって......みたいな感じだったので、バンドで選んでいたというよりはその曲のドラムを聴いてこれなら行けそう、これならやれそうってレベルを上げていきました。