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INTERVIEW

キズ

2024.05.13UPDATE

2024年05月号掲載

キズ

Member:来夢(Vo/Gt)

Interviewer:杉江 由紀

"VISUAL ROCK"だと珍しい、男くさくて泥くさいビートが満載ですね


-たしかに、今回の「鬼」では、バンドの醸し出す生々しい波動が強烈に伝わってくる音像で生み出されている印象です。

自分で曲を書いといてこんなことを言うのもアレですけど、自分じゃどうしようもないスケールの曲になっちゃったのが「鬼」なんですよ。歌については田澤孝介(Rayflower/fuzzy knot/Waive etc.)さんに相談して。それでも自分の脳味噌の中にあるものを100パーセントかたちにできたとは言えないんですが、今まで40パーセントくらいだったとしたら、今回は80パーセントくらいまでいけた気がします。あとの20パーセントは俺のこれからの努力次第ですね。でも、実際メンバーに"こういう音にしたい"って伝えるのも結構難しいんです。

-例えば、今回のレコーディングでは来夢さんからドラマー、きょうのすけさんに対してどのような言葉でオーダーを出されたのです?

めちゃくちゃいろいろ言いましたよ。ドラム・ロールとかも、強弱に関してはスティックを落とす高さからして僕が指定しました。スネアのチューニング、シンバルのインチ、どのシンバルを先に叩くか、タムの回し方も細かいことまで言ってますね。僕ドラマーだったんで。だったら最初からやっとけよっていう話ではあるんですが(笑)、今回のレコーディングではほんとにちゃんと立ち合いました。

-「鬼」のドラミングからは、ある種の血の熱さのようなものを多分に感じます。

僕、BLANKEY JET CITYが大好きなんです。特にライドが響いてる8ビートが大好きで、この曲の最後のほうで鳴ってる全力でカップ叩いてる音とかもうたまんないっすよ(笑)。"VISUAL ROCK"だと珍しい、男くさくて泥くさいビートが満載ですね。

-鍵盤などのウワモノも入ってはいますが、何しろバンドの出している音の骨格が太いですよね。

実は音数少ないんですよ。バンドの音以外はピアノくらいしか入ってなくて、もちろん音圧はあると思うんですけど、この曲は今までキズとして作ってきた曲の中でも音数が少ないかもしれません。大人になってきて、ようやく引き算ができるようになったんでしょうね。あとは、メンバーそれぞれが普通に上手くなっちゃってるっていうのもあるんだろうなと。

-当然それは喜ばしいことではありませんか。

バンドの音だけでやっていける力強さを身につけてきたっていうのは間違いなく事実ですね。

-ユエ(Ba)さんのスラップを効果的に生かしたプレイも実にエモいです。

ベースに関しては僕の"口ベース"が炸裂した結果ああなってます。ユエの家まで行って、ずっと口ベースでソロやってそれを弾いてもらうんですよ。でも、そうやって僕が無茶振りしても彼は全部ちゃんとできるんですよね。なんでもできるベーシストだし、今回は"手を火傷した!"って言いながらもしっかり弾いてくれてました(笑)。

-プレイ・スタイルもさることながら、reiki(Gt)さんは音の出し方もここでずいぶんと変わられたのではないですか?

最近やたらピカピカした似合わないギターを持ってきたんですよ。キズになってから1回くらいしか買い替えてなかったのが、ここに来てPaul Reed Smithかなんかのギターを買ったらしくて"どうしたんやろ?"と思ってたんですけど、すげーいい音を出すようになってますね。前はギターそのものに対してのこだわりとか持ってなかったし、ライヴ本番前のリハとかで"ギターの音出し、しとかなくていいの?"って聞くと"音? 出りゃいい"と言ってるタイプだったのに。

-その"音? 出りゃいい"は極めてロックなひと言ですねぇ!

いやだから、あのひと言を聞いたときに俺は"もう音作りなんてどうでもいいや!"って思ったんですよ(笑)。本人が音なんて出ればいいって言ってる以上こっちがどうこう言う筋合いもないし、俺も"声が出りゃいい"、"ステージにいりゃいい"と思ってやってきましたけど、なんだかんだであいつも意識変わってきたんですかね。音に対する欲が出てきて、あのピカピカのギター買ったっていうことなのかな。

-そのギターの音を生かした結果なのか、今回の「鬼」でreikiさんは絶妙なギター・ソロも聴かせてくださっておりますね。

キズではあんまりギター・ソロって入れないんですけど、それも要は彼が"俺はいつでもギター・ソロ弾いてるつもりだし!"って言ってたからなんですよ。彼にとってはリフもギター・ソロであるらしくて。だから別に今回も入れなくても良かったんですけど、改めて"やる?"って言ったらあんな感じでやってくれて、僕とはまったく逆の感性で"何歳なの!?"みたいなソロを弾いてくれました。面白かったですね。

-面白いと言えば、この「鬼」では歌として聴こえてくる音と、歌詞の文面が異なっているところが部分的にありますよね。そのようなギミックを取り入れることになったのはなぜだったのですか?

ここで歌ってる"その言葉"に対して興味を持ってる人って、聴いてるだけでまず反応すると思うんですよ。でも、歌詞カードを見てみて実は真逆のことが書いてあったら"そう思って"くれるんじゃないかなと。意図したのはそれだけです。ただ純粋に、みんなに生きててもらいたいって思ってるだけですね。

-なお、こうして「鬼」を完成させることで、来夢さんの中にいた鬼たちは無事に成仏することになりました?

全然してないです(笑)。最近はライヴで行った遠征先のホテルでも夢に出てきて、うなされることが結構ありますね。逆に、家にいるときはわりと熟睡してますけど。

-近いところでは、5月18日に名古屋での"FREEDOM NAGOYA 2024 -15th Anniversary-"、そして翌19日には神戸での"COMING KOBE24"と2本のフェス参加が決まっておりますけれど、両日も鬼に惑わされることなく健闘していただきたいものです。ただ、フェスはキズにとってアウェーなところもあったりするものですか?

去年も"FREEDOM NAGOYA"には出させてもらって嬉しかったんですけど、完全にあれはアウェーすぎましたね。ステージ以前に、楽屋にいる段階から"触れちゃいけないもの扱い"なのが伝わってくるんですよ(苦笑)。俺らはバチバチに衣装も着てるし、白塗りなわけじゃないですか。"誰だあれ?"って思われてるんだろうし、珍しがられてるんだろうけど、話し掛けてくれるのはNOBUYA(ROTTENGRAFFTY/Vo)さんだけという(笑)。

-なるほど。NOBUYAさんの存在はありがたいですね。

でもね。ロットン(ROTTENGRAFFTY)が話し掛けてるからこそ、周りからすると"あれはヤベぇ"ってなってる可能性も高いですけど(笑)、今年もまたロットンと一緒です! ちなみに、翌日の"COMING KOBE24"もずっと出たかったんで、ほんとこれも嬉しいです。両日とも、"VISUAL ROCK"のバンドとしてカッコいいところを見せてきたいと思ってます。

-なおかつ、来たる6月1日には国立代々木競技場 第二体育館での"キズ 単独公演「星を踠く天邪鬼」"も控えておりますが、こちらについては、どのような空間を作っていきたいとお考えですか。

「鬼」は自分にとって遺書を残すくらいの感じで臨めた作品だし、作り終わったときに思ったのは"この作品だけは、もし僕に何かあっても残っていってくれる"っていうことだったんですけど、やるからには次のライヴでもキズにしか残せないものをしっかりと残したいです。自分はずっと地球上でもがき苦しみながら音楽をやってる感じがするし、決して星の間を悠々と渡ってる感じではないんですよ。でも、きっとこのもがき続けてることこそが、自分にとっては生きてるっていうことそのものなんだろうなと思います。

LIVE INFORMATION
"キズ 単独公演 「星を踠く天邪鬼」"

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6月1日(土)国立代々木競技場第二体育館
開場 16:00 / 開演 17:00

[チケット]
スタンド席 ¥2,800
■一般発売中
イープラス ローチケ チケットぴあ TicketTown

RELEASE INFORMATION

キズ
15thシングル
『鬼』

NOW ON SALE!!
[DAMAGE]