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INTERVIEW

湾岸の羊~Sheep living on the edge~

2023.07.12UPDATE

2023年07月号掲載

湾岸の羊~Sheep living on the edge~

Member:HIRØ(Vo) REDZ(Vo/Gt) TATSU(Gt) Ryo-Ta(Ba) CHARGEEEEEE…(Dr)

Interviewer:フジジュン Photographer:Kanda Yukiya

-そんなHIRØさんの命懸けのヴォーカルとREDZさんのヴォーカルのコンビネーションやせめぎ合いも、アルバムの聴きどころになっていて。「狼煙」、「#189」、「RISE UP」といった楽曲は、ツイン・ヴォーカルが楽曲にさらなる深みや奥行きを与えてくれます。

CHARGEEEEEE...:両極端というか、持っていない世界観を持つふたりなので。それをひとつのバンドで味わえるという贅沢さは湾岸の羊ならではだと思います。

HIRØ:俺はREDZにもっとヴォーカル来てほしかったんだよな(笑)。

Ryo-Ta:さらにTATSUさんも歌ってますからね。

HIRØ:そう。「狼煙」の最初、TATSUのヴォーカルから入るところはやられるよね。REDZとのヴォーカルRECは、REDZが"このリリックはどうなの?"って意見してきたり、僕が"そこ、もうちょっとシャウトできない?"とか、ちゃんと言い合ってたよね。

REDZ:そうだね。俺も本気で歌ってるし、"このワンフレーズはどういう真意で書いてるのか?"って自分なりの解釈をしたいから。わからないときはうやむやにしないで、しっかり聞いて理解して。ちゃんと納得したうえで、歌入れに挑んでたから。

HIRØ:俺も真剣だから、"もっと本気でシャウトしてくれない?"って言うんだけど......。

REDZ:俺はもともとシャウトスタイルのヴォーカルじゃないから(笑)。

HIRØ:でも結果、やればできるんです。響かせられるんです!

REDZ:それはHIRØの引き出し方が上手いんだよ。でも、僕は湾岸の羊のレコーディングのたび、ダメージを食らってますからね(笑)。もともと、湾岸の羊はラウドなサウンドにHIRØのシャウト系のヴォーカルといったスタイルなんだけど、僕は反対のスタイルのヴォーカリストだし。そもそも歌うって頭がなかったんだけど、レコーディングやってるときに"ここはREDZに歌ってほしい"って言われて、"マジ?"って。結果、渾身のシャウトを決めました。

-REDZさんの歌声が加わることで、楽曲に大きな広がりが生まれて、想像の向こう側まで誘ってくれるといった印象があります。それと一曲一曲をとことん追求しているという部分に繋がると思うのですが、「LOST CHILD」とか「都会の森」とか、楽曲の奥底まで誘ってくれる展開のすごさにも驚かされて。「RISE UP」のCHARGEEEEEE...さんのリズム展開とか、想像を遥かに超えてきました。

CHARGEEEEEE...:レコーディングは緊急事態宣言中に、ひとりでスタジオに録りに行ったりしていたので、"僕に何をどう求めているのか?"というのを自分で理解して、ディレクションがないなかでも"僕はこう表現しました"と自信満々でやることができたんですけど。

TATSU:CHARGEEEEEE...、カッコいい! 俺はセルフディレクションで不安になりながら録ってたから(笑)。

CHARGEEEEEE...:自分で判断すると不安になりますよね。でも、"みんなが求めてるCHARGEEEEEE...はこれだ"って、自信を持ってやるしかなかったので。

REDZ:ドラムのプレイ変態だったよね。"これ、どうやって叩いてるんだ...?"って思いながら聴いてたよ(笑)。

-あはは。でもお話を聞いてよくわかったのですが、強烈な個性を持っている5人が、それぞれ自分のエゴをぶつけ合うのではなくて、自分の中からメンバーに引き出されて、求められてるものを全力で放ち合うことで、まったく新しいものが生まれて。それを絶妙なバランスで楽曲という形にしているのが、湾岸の羊なんでしょうね。

REDZ:そうですね。個性をぶつけ合いながらも新しいアイディアや発想が生まれそれを形にしていく。とてもやり甲斐を感じました。

CHARGEEEEEE...:あと、こういうバンドって勢いがすごく大事なんですけど、僕が意識したのは"どう、静を出すか?"というところで。それはHIRØさんの特徴でもあるんですけど、ウィスパーくらい小さな声での表現も魅力で。それはロック・バンドだとどうしても埋もれてしまうので、どういった音量感やアプローチで作るか? って考えて作れるのが、湾岸の羊のいいところです。

TATSU:それをベースにして、CHARGEEEEEE...の感情が乗るから良かったんだよ。

-アルバムが「LAST BAD BOY」で終わるのでなく、「都会の森」~「Sincerely」」で終わるのも湾岸の羊らしくてすごくいいし。だからこそ、HIRØさんのメッセージが痛切に響くところもあって。

Ryo-Ta:"生きろ"ってメッセージを伝えるために僕も死にかけたくらい悩んだし、気持ちが全部出せていて。だからこそ説得力があると思うし、結果すごく自分のためになってるし。バンドって人間なんだなというのをすごく思って、5人なら5人の人間関係が重要だし、アニキたちが僕が自由にやれるように気を使ってくれたり、僕の意見を尊重してくれたり。それぞれが人間らしさを生々しいくらい出せたなと思って。やっぱりバンドって、人間なんだなってすごく思いますね。

-では、それぞれアルバム収録曲で特にお気に入りの曲や、思い入れの強い曲を聞かせていただきたいのですが?

REDZ:僕は「都会の森」ですね。湾岸の羊を結成して"オリジナル曲を作ろう"とスタジオに入ったとき、「都会の森」のアルペジオから始まったという思い入れがありまして。そこからだんだんブラッシュアップされて今の形になっていくんですけど。ギター・ソロも"隣に天下のギタリスト TATSUがいて、その横で俺がソロを弾くのか!"って気持ちもあって、すごい気合入って。肋骨折るくらいの気持ちを入れたチョーキングを聴いてほしいです。

TATSU:REDZのギター・ソロは歌ってるからね、俺はあそこまではできない!

Ryo-Ta:僕は「LOST CHILD」ですね。楽曲全体だと動のイメージが強いかもしれないですけど、静の部分もしっかり出せていて。曲調は激しいですけど、歌詞はかなり深いメッセージがあって、かなり理想の形になったと思います。

TATSU:僕は「REBORN」ですね。どの曲も思い入れはあるんですけど、「REBORN」だけはちょっと違った録り方をして、個人的にも初めての経験だったので新鮮だったというのと。歌詞も、何回も死にかけてる自分の人生に当てはめてしまって、心に刺さる歌詞でした。

-TATSUさんはHIRØさんとの出会いの曲である「BAD BOY」、再会の曲である「still BAD BOY」に続く、「LAST BAD BOY」も思い入れあるんじゃないですか?

TATSU:「BAD BOY」を一緒に作ってから20年経つからね。今の形はREDZ君のギターがメインになって違った形になってるし。すごくいい曲になりましたね。

HIRØ:「LAST BAD BOY」というのは"最後の悪ガキ"という意味ではなくて。「BAD BOY」から「still BAD BOY」に続く、ピリオドを打つ終着点という意味の「LAST BAD BOY」で。

TATSU:また「なんとかBAD BOY」って次も出てきちゃうかもしれないけどね?

HIRØ:プロレスラーの引退みたいにね(笑)。

CHARGEEEEEE...:僕は「REBORN」なんですけど。三茶のスタジオでみんなの想いを理解したうえでひとりで録音していた思い出があって。寂しくもあったんですけど、コロナ禍でどうしようもない状況もあってという、レコーディングのときの感情が思い出されるのと、この曲を録ってるときみんながスタジオにいて、いろいろ言い合いをしたりしていて。

HIRØ:うん、あの日だね。

CHARGEEEEEE...:だから個人的にドラムを録ってた思い出もあるし、みんなと音楽を通じて同じ場所、同じ時間を共有した思い出もあって、曲にすごく情が詰まってて。みんなのプレイにも同じ想いが込められてるのかな? という気持ちや、そこに乗せたHIRØさんの言葉に聴いててワッとくるものがあるし。"悔しいときもあったけど、みんなで集まってレコーディングできた"という苦しみと喜びが「REBORN」には詰まってて。自分にとってはすごくとっておきの想いのある曲ですね。

HIRØ:僕はここに出てこない曲があるとその曲がかわいそうな気持ちになるんですけど、ここはちょっと心を鬼にして(笑)。1曲挙げるなら「都会の森」ですね。あの曲はものすごく世界観もあるんですけど、思い入れもすごくあって。昔、東京の仲間で"インディアンのシャーマン"ってバンドがいて、音がどんどんなくなっていって、無音の中で"耳を澄ませ 大地の鼓動を聞け"ってフレーズがあって。それが僕の中にすごく残っていて、この曲にはオマージュ的なところもあったんですけど。東京という都会の中で街の騒音であったり、ノイズであったり、特定の人を叩く声であったり......そういったものが聞こえてくるなかで、MVの中で僕が地球の音を聴くというシーンがあるんですけど。それはジョー山中さんの「東京ナイト」という曲のビデオのラスト・シーンで、六本木交差点で立ち止まって、地面に耳を当てるシーンがあって。それのオマージュもあって、最後に渋谷の風景、現実に戻るという映像が全部見えてて、曲ができたときの目と渋谷にいるときの目がちゃんとシンクロしてるし、シャーマンやジョー山中さんといった僕のヒストリカルなことがすごく詰まった曲になっているんです。映像をよく観ると"あれ、これって?"と思うところも多々あって、そこはストップして観ないとわからないくらいの演出なんですけど。そんなギミックも含めて、映像も楽しんでいただければと思います。

-HIRØさんは楽曲と同時に画が見えてくるんですか?

HIRØ:音ができるときや曲を作っているとき、映像が見えだしてくるというか。きっと天才はそこから映像を作って、一発でOK出せちゃうと思うんですが、俺みたいな最悪なやつは、一度できあがっても"いや、やっぱりここを......"ってなっちゃうんです。でも、見えちゃうからしょうがないので。監督に電話して、修正をお願いして。監督はもう俺から電話が鳴るのが怖いんじゃないですかね(笑)? でも自分に嘘つけないし、観てくれる人に嘘をつけないので。ぜひBlu-rayも観てほしいです。

-アルバムのリリース・ライヴというのはよくありますけど、湾岸の羊はそれに加えて、スクリーンで最高の環境で映像が観れる、リリース上映会があってもいいですね。

HIRØ:いいですね。スクリーンにMV流して、そこから生ライヴをやってもいいし。せっかくアルバムが完成したから、ライヴも考えなきゃいけないですからね。

-そこはぜひ聞きたいところですが、アルバムを聴くとどうしても生でライヴが観たくなります。

CHARGEEEEEE...:年内にはライヴを投下したいですね。

HIRØ:それが東京だけなのか、ツアーなのか? ちょっと考えましょう。......なんて、本当はすでに考えてたりしてね(笑)。

LIVE INFORMATION
"STREET BLOOD 湾岸の羊
~2020 RISING SUN~"

10月13日(金)東京キネマ倶楽部
OPEN 18:00 / START 19:00
[チケット]
前売 1Fスタンディング ¥4,400(税込) / 前売 2F指定席 ¥11,000(税込)
当日 1Fスタンディング ¥5,500(税込)
■イープラス最速先行:~7月18日(火)23:59
■プレイガイド先行:7月21日(金)12:00~7月25日(火)23:59
■イープラス先着先行:7月29日(土)12:00~8月14日(月)23:59
■一般発売:8月19日(土)10:00~
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