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INTERVIEW

湾岸の羊~Sheep living on the edge~

2023.03.01UPDATE

2023年03月号掲載

湾岸の羊~Sheep living on the edge~

Member:HIRØ(Vo) REDZ(Vo/Gt) TATSU(Gt) Ryota(Ba) CHARGEEEEEE(Dr)

Interviewer:フジジュン

僕が一貫して言ってるのは"生きろ"ってこと


-3月1日には、第1弾となる「REBORN」をリリース。まさに静と動を表現したハードコアなサウンドと痛烈なメッセージが心に刺さる曲ですが、この曲を最初にリリースする理由は?

HIRØ:一番ハードな曲だったので、"湾岸の羊とは?"って指針として、"ハードコアだよ"というのを出したかったんです。僕はずっと、六本木の街で活動をしていて。世界中からお客さんが来るクラブで、レッチリ(RED HOT CHILI PEPPERS)がかかってガンズ(GUNS N' ROSES)がかかって、いきなりRISING SUNがかかるみたいな、六本木ってそういう街なんです(笑)。だから、あの街ではロック・スターだったし、悪さをする不良外国人たちを世直しするグループをやっていて。僕自身、高校からアメリカに行ってたというのもあって、1曲目は英語を使いたかったんです。2001年にRISING SUNで出した、『ATTITUDE』というアルバムがあって。その頃はアティテュードだけで走ってたんですけど、今こうやってリヴァイヴァルできることになったとき、ただ英語で歌ってるだけじゃなくて、魂の入ったリリックがこの曲だったらできると思ったし、日本語詞の部分には、日本語じゃなきゃ伝わらないメッセージがあるんです。僕が一貫して言ってるのは"生きろ"ってことで、特に年末年始は自殺する人が凄く多いんですよ。人間が1年生きるのってすごく大変で、年末が来て年が明けると、また新たな1年が始まる。"この1年生きていけんのかな? しんどいな"と思う人も多いだろうし、僕もそういう時期があったんで、気持ちはすごくわかります。あとはいじめとかで自殺しても、"死んでリセットしたら次の人生が始まるなんてことはないんだよ"ってことを、特に若い子や子どもたちに伝えたいんです。それと逆説なんですけど、どんな悪いやつでもいろんなことしてきたやつでも、もう駄目なのかと言ったらそうじゃない。次の日から生まれ変わって、生きて罪を償ってやり直せるというのも、自分の伝えたいメッセージで。自分のためだけにやってたら、きりがなくて、やはり家族のためだったり、応援してくれる人だったり、誰かのためなら人って変われることを僕自身が身を持って知っているので、"REBORN"というのは、そのダブル・ミーニングなんです。「REBORN」に込めたのは、そんな想いでした。

-そんなHIRØさんの最も伝えたいことや、歌声に込めた感情にメンバーみなさんが同調して。サウンドがしっかり寄り添っているから、より強く心に響く曲になっています。

HIRØ:この曲は湾岸の羊のサポート・メンバーで、RISING SUNの初期オリジナル・メンバーであるJODYが昔、作ったリフだったんです。

TATSU:僕は原曲を聴いて、自分のできることをやっただけですが、歌と同時進行に近かったので、リモートでやりとりしながら、HIRØの歌に準じて進めていきました。

REDZ:「REBORN」はすごくハードに始まって、最初に聴いたときは度肝を抜かれたんですけど、クライマックスで動から静になって、TATSUのギターとHIRØの日本語詞でどんどん落ちていくじゃないですか。そこで僕は"フェイクを入れてほしい"って言われて、"女性の声のスキャットとかが合うのかな?"と考えたりしたんですが、"REDZで入れてほしい"って言われたので、気持ちを入れて2、3テイクくらい録りました。結果としては、すごく良かったと思います。

HIRØ:僕がインマイクで"REDZ、今20階くらいのビルの屋上のへりに立ってるから。そこで飛ぶか飛ばないか、ギリギリのところで声出してください"って伝えて。

REDZ:湾岸の羊の歌録りはヤバいんですよ。いつも喉潰すくらいまで追い込むんですけど、やるしかないですから。自分の身体に入ってるものは全部出そうと思って声を入れたし、あとでテイクを聴いたとき、刺さるものになってたから良かったです。湾岸の羊に関しては、今まで自分がやってきたこととすべてが違うから、逆に言うとそれが面白かったり、刺激的だったりで、自分がのめり込んでいくのがわかるんですよ。

CHARGEEEEEE:「REBORN」は原曲に比べて、現在のHIRØさんの人間味が出ててるんです。心から人を心配して支える心情と、『ATTITUDE』の頃よりももっとドギツいカオスな部分の超極端な両面が見せられていて。それってやっぱり、あの頃から時を経ての人間味が出てるのかなと思って、僕もレコーディングできました。ドワ~ッといくところと、ミニマムに丁寧に表現するところと、魂を込めて録音できたことが心に残ってるし、今のみんなの心がここにある曲になったなと、すごく思っています。

TATSU:そこはHIRØの生き様や正直さ、自分と正直に向き合って、自分のやるべきことを理解して、尋常じゃないパワーで向き合うという、超人的な力があるからじゃないかな。

CHARGEEEEEE:そうですね。10年前にこの曲を叩けって言われたら、叩けなかったと思うんですけど、ZIGGYや長渕 剛さんと一緒にやって、僕の中に歌心も生まれました。HIRØさんが静かに伝えたいところも理解できるようになったので、自分の成長も感じます。

Ryota:静と動や熱量をすごく感じる曲だし、もとの曲を知ってるだけに"湾岸の羊になるとこうなるんだ"って驚きもあったし、客観的に聴いたとき、聴く人によって感じ方の変わる曲だろうなと思います。サウンドもすごいし、とにかくメッセージの突き刺さる曲になっているので、ライヴでやるのが楽しみです。

-HIRØさんとバンドをやるなかで感じた、人間らしさや人としての魅力を知ったうえで、歌詞のメッセージも理解して、演奏にもしっかり魂が込められたのがよくわかりました! そしてここからさらに配信リリースが続いて、いよいよ1stアルバムがリリースされます。

HIRØ:そうなんです。全曲MVも撮っていて、MV撮影があと1曲あるだけで、あとはできあがっています。「REBORN」の次にリリースされる「LOST CHILD」はかなりハイスピードな曲になっていて。

REDZ:スピードもあってハードだけど、ある意味キャッチーで。俺も好きな曲だけど、"この曲好き"っていう人は多いと思うよ。

CHARGEEEEEE:ただのハードコアの曲じゃなくて、ロックンロール感もあるし。

HIRØ:パンク的なところもあって、いろんな要素が入ってるよね。「REBORN」はひとつの世界観があるけど、「LOST CHILD」はタイトルどおり、迷子になっちゃうようなサウンドや展開の面白さもあって、MVも一番、湾岸の羊らしさが出てると思います。

CHARGEEEEEE:湾岸の羊らしさ? あれ、裸になってましたっけ? HIRØさん、すぐに"裸になろうよ"って言うんですよ(笑)。

REDZ:ライヴでも最後、裸にさせられるんだよね。通称、男祭り(笑)。

HIRØ:あはは(笑)。そこはレッチリから来てるんですけど、男同士で裸になれるっていいじゃないですか(笑)。

-あはは(笑)。リリースに伴うライヴは予定しているんですか?

HIRØ:これをリリースしてどうなるかっていうのが、まだわからないんで。7月のアルバムまでに興味を持ってもらって、湾岸の羊の世界観が少しでも広がっていけば、もちろん妥協のないショーをお見せしたいと考えています。簡単なライヴをやりたくないので、やるなら絶対、忘れられないくらいのショーを用意したいと思いますね。