INTERVIEW
アルルカン
2022.02.09UPDATE
2022年02月号掲載
Member:暁(Vo) 奈緒(Gt) 來堵(Gt) 祥平(Ba) 堕門(Dr)
Interviewer:藤谷 千明
ヒーローはちょっとしんどいじゃないですか。正しさみたいなものを常に求められている気がして
-「bash 脳 down」のヴォーカル・スタイルも、これまでにないと感じました。
暁:でも、まだ"やってみました"って感じですね。自分の中でイメージは見えていたものの、それを再現するのが大変で、追い込んでいく作業が大変でした。奈緒やYUTAROさんにも相談して、"もっと行けるかな"と追求していった結果、バンドにとって新しいアウトプットになったのかな。曲としても、ヴォーカル・ワークにしても、それを昇華できたと思うので、今後もどんどん昇華できるものを増やしていきたいです。
-今、お名前が出たYUTAROさんは、昨年8月にリリースされたシングル『世界の終わりと夜明け前』、『サイレン』からプロデューサーとして関わっています。今回のアルバムはどのような形で関わっていたのでしょうか。
奈緒:『MONSTER』は、シングルのときよりももっと深く関わってもらって、ほぼ一緒に作っていましたね。
-先程もおっしゃっていましたが、祥平さんは「いばら姫」、「旗のもとに」では作詞も担当しています。
祥平:わりと初めてくらいの感じだったので、アルルカンとしての言葉選びはすごく難しかったですね。もともと好きなセリフが出てくるマンガとかも古い作品が多いし、自然とレトロな言葉遣いになってしまうので......。
-アルルカンとしての言葉選びとは?
暁:知りた~い!
祥平:(笑)「旗のもとに」なんて、当初は軍歌みたいだったんですよね。
-レトロってそういう意味ですか。
祥平:そこからいろいろ相談して、今風に頑張って言い換えて寄せたらこうなりました!みたいな。
-アルルカンらしい言葉選び、例えば「旗のもとに」の中には"アンチヒーロー"という言葉が出てきます。
祥平:そこは最初、ただの"ヒーロー"にしていたんですけど、暁と話していて"バンドにそぐわない"と、"アンチヒーロー"になりました。
-暁さん的には、"アンチヒーロー"のほうがアルルカンらしい言葉だったと。これは初期のワンマン・ツアー・タイトルでもありますが。
暁:ヒーローはちょっとしんどいじゃないですか。正しさみたいなものを常に求められている気がして。そんなもんが当てはまらないところから強さを見いだしてきたし、コロナ禍でライヴ決めるときもそう。僕らが悪者に見える人だっているでしょう? でもやるし。俺らは俺らのスタンスでやるっていう意味合いですね。
-『MONSTER』の中で、みなさんそれぞれイチオシの曲をうかがいたいです。
堕門:僕は「証」ですね。すごく繊細ながらもパワーがある。僕はそういう曲が好きなんでしょうね。奈緒の歌詞も相まって、ドラム叩いていると泣いちゃうんじゃないかってくらい。それくらい推したい曲です。
暁:迷うなぁ......。「ブルーキャンディ」か「わかれうた」(※通常盤のみ収録)ですね。レコーディングして楽しいというか、歌っていて楽しいというか。のめり込んでいく感じがして。だからこそ、もっと表現できるようになりたいなと思いましたね。完成してからも自分でよく聴き返しています。
奈緒:僕も「わかれうた」かな。僕が影響を受けてきたヴィジュアル系バンドの雰囲気を纏った、ちょっとアンニュイだったり胸をぎゅっと掴まれたりするような曲です。そういう、初期衝動のようなヴィジュアル系の匂いがしっかり感じられる曲が欲しいと思って書いたんですけど。ずっと聴いていられる、やっぱり自分の根底にこれがあるんだと再確認できた曲ですね。
來堵:「MONSTER」ですね。そもそもデモができたのは3年前で、作りながら"バンドがこうなったらいいな"というヴィジョンのあった曲なんです。その頃とはかなりアレンジは変わって、今の形になったんですけど。アルルカンの音が、これから出していきたい部分がしっかり見えるような、リードに値する1曲に仕上がっています。
祥平:僕は「旗のもとに」ですね。歌詞も曲も明確なイメージがあって、それをその通りに完成させたことが、すごく嬉しいことで、何度も聴いているので聴いてほしいですね。
-ちなみに、アルルカンは今後もいろいろなフィールドに出ていくのだと思うのですが、共演してみたいアーティストはいますか?
奈緒:僕らって、特に初期の頃はSiMやCrossfaithのようなラウドロックのエッセンスとヴィジュアル系を掛け合わせたいと思っていたところもあって、1回"DEAD POP FESTiVAL"のオーディションにも応募したことあるんですよ(笑)。そういったバンドとも共演してみたいし、ROTTENGRAFFTYやSPYAIRみたいな熱いバンド、感覚ピエロのようなメッセージ性の強いバンド、他にもメロコアの人たちとも......本当にいろんな人と一緒にやってみたいです。
祥平:いちベーシストとしては、AA=とやってみたいですね。THE MAD CAPSULE MARKETSの頃からのファンなので。
來堵:うーん、いろいろ聴くから悩むんですけど、あえてここで言うなら、CVLTEですね。ほかには(sic)boyとかも好きですね。
暁:僕がメンバーの中で、一番音楽聴いてないんでアレなんですけど。去年イベントを観に行ったときに、PaleduskやCVLTEと一緒に我儘ラキアというアイドルもいて、自分が楽器をやっていないからかもしれないけど、あんまり(自分とやっていることが)変わらないんじゃないかと思って、交ざってみたいと思いました。(※激ロックをめくりながら)ここに載っている、オメでたい頭でなによりも気になりますね。
堕門:悩みますね。海外で活躍されているアーティストとも共演してみたいですが、邦楽で言うなら、PENGUIN RESEARCHのようなバンドとやってみたい。そのフィールドに踏み入れたら、どうなるのかなって。あとはMrs. GREEN APPLEを最近よく聴いているので、そういう方々との共演も面白そうですよね。
-この記事が出る頃には、アルバムを引っさげてのツアー("live tour 2022「MONSTER」")の直前ですね。
暁:楽しみですね。大事に作ってきたからこそ、ライヴで届くようなものにしたいです。この状況下でライヴができることもすごく嬉しい。俺はもともとステージに立って何かを発するときが、一番生きている気がするし、みんなもバンドが好きで楽器が好きでライヴをやっている。それだけですごく充実感があるんです。
堕門:この状況下でもライヴをやるからには、ひとつひとつのことを大事にして、しっかりお客さんに見せることができたらと思っています。
-ツアー・ファイナルは5月の恵比寿LIQUIDROOMです。
暁:5月(のコロナの影響によるライヴ開催状況)がどうなっているのかわからないけど、"ファイナル行こうかな"って思ってくれた人が、ぽんっとライヴに行ける状況になっていたらいいですよね。この記事を読んだ人はぜひ来てほしいです。
-冒頭の話の繰り返しになりますが、ストレートに"ぜひ来てほしい"という発言をされるようになったのは、やはり変化だな......と。
暁:前は強迫観念みたいなものがあったんかな。それはだいぶ手強かったけど、今改めて言っても言わなくてもいい場所で自発的に言うのは、今はそれだけのものが出せる自信がある、そういうタイミングなんやろなってのはありますね。