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INTERVIEW

HEAVEN SHALL BURN

2020.03.31UPDATE

2020年04月号掲載

HEAVEN SHALL BURN

Member:Maik Weichert(Gt)

Interviewer:菅谷 透

-ファンが視野を広げることにバンドの存在が役立っているんですね。楽曲の話を続けますと、収録曲の中でも一番驚いたのが「La Résistance」でした。これまでにもエレクトロ/インダストリアルのサウンドを取り入れた楽曲をリリースしたり、KILLING JOKEの楽曲をカバーしたりと、バンドの中にそういった要素があることは認識していましたが、ここまで振り切った楽曲は初めてなのではないでしょうか。この曲を制作した経緯を教えていただけますか?

ほら、ドイツ人はテクノ・サウンドに弱いからね(笑)。俺たちもたまにやってみたくなるんだ。それから自分たちが影響を受けたものを取り入れたいというのもあった。あの曲は特に計画してやったわけじゃなくて、ただサウンドの実験をしていただけだったんだ。ところがAlexが急にギター・リフの下にテクノのビートを入れ始めてさ。"なかなかブルータルじゃないか!"と思ったよ。ダンサブルなビートだけど、モッシュもできるというか。たしかにこのアルバムの中では一番異様な曲だよね。まったく同意するよ。でも、カラフルでいいスポットだと思うし、いいドライヴ感があると思うね。

-たしかにテクノがこんなにブルータルに、インダストリアルがこんなにダンサブルなものになるとは思いませんでした(笑)。また「Tirpitz」はタイトルやサンプリング音声から察するに、ナチス・ドイツの戦艦"ティルピッツ"について歌っている楽曲ですね。この曲についても教えていただけますか?

"ティルピッツ"は日本で言ったら"ムサシ"や"ヤマト"みたいに巨大な戦艦なんだ。曲はノルウェーのレジスタンスについて歌っている。ナチスと闘って、最終的に戦艦を撃沈することに成功したんだ。ナチスのデカい戦艦が沈むというのは、ドイツ国やヒトラーにとって大きな出来事だったんだ。巨大な殺戮マシンが撃沈されて、その後国も沈没したからね。ナチスの末路のシンボルみたいな感じなんだ。

-この曲は、ナチスのやったようなことは勝者となるべきものではなく、最後は自由が勝つとかそういった感じの象徴なのでしょうか。

そうだね。俺たちドイツ人はナチスのトピックに対して敏感で、ああいうことが二度と起こらないようにと意識している人がとても多いんだ。だからこの曲はアンチ・ナチの曲と言えるね。

-なるほど。ノルウェー側の視点に立った曲なんですね。

そうだ。同時にあの戦艦についての物語でもある。華々しいデビューから最終的に撃沈されるまで。曲はノルウェーのレジスタンスたちに捧げたものなんだ。ブックレットを読んでもらえればもう少し書いてあるよ。

-今作にはNUCLEAR ASSAULTの「Critical Mass」のカバーが収録されていますよね。この曲を選んだのはなぜでしょうか?

NUCLEAR ASSAULTは最高にクールなバンドで、俺たちも昔から好きだったんだ。スラッシュ・メタルだけどすごくパンク色が強いところがね。カオスなヴァイブがあるところとか。そもそも音楽的に大好きなバンドだけど、あの曲に関して言えば自然保護とか、環境問題について歌っているんだ。30年近く前の曲だけどね。俺たちから若手のファンに、"こんなにクールな曲が30年も前にあったんだぞ"と教えたかったんだ。

-なるほど。ところでHSBのアルバムにはカバー曲が収録されるのが恒例となっていますよね。その理由を教えていただけますか?

カバーをするのが昔から好きなんだよ。ソングライティングやレコーディングを始めるときは、たいていウォームアップとして1、2曲カバーを演奏することから入るんだ。作業の軌道に乗るためにもね。たまにその段階でものすごくいいのができるとアルバム用にキープする。そのバンドや曲が好きすぎてリフを盗みたくなることもあるけど(笑)、盗むことはできないから、だったらカバーしたほうがいいからね。そのほうがリスペクトにもなるし。

-たしかに、カバーはHSB自体のルーツや、今まで知らなかったバンドを知るきっかけになりますよね。おっしゃるとおり、若いファンにはNUCLEAR ASSAULTを知らない人もいるでしょうし。

そうだね。例えば俺たちはEDGE OF SANITYの「Black Tears」をカバーした(2008年リリースのアルバム『Iconoclast (Part 1: The Final Resistance)』収録)けど、あまりにライヴで人気が出たからライヴで毎回やらずにはいられないんだ。みんな大好きだからね。オリジナル曲より有名になったんじゃないかな。

-たしかに人気の高い楽曲ですよね。さて、アルバムはもうすぐリリースされます(※取材は3月7日に実施)が、それに先駆けて全独ツアーが始まるんですよね(※取材後に新型コロナウイルスを巡るヨーロッパの情勢が変化し、延期が発表された)。

そうだね。

-全独ツアーのあとは、ヨーロッパでフェス出演がいくつも控えています。他の地域もツアーするのでしょうか。

来週メキシコに飛んでフェス("Hell & Heaven Festival")に出るんだ(※新型コロナウイルス感染拡大の影響により出演キャンセルとなった)。その後はヨーロッパでのフェスに全力投球して、秋には他の地域に行きたいと思っている。どこに行って何をやるのかはまだ話し合いの途中だけど、南米、オーストラリア、アジアに行きたいと思っているよ。

-日本でのライヴは2014年が最後なので、ぜひ観たいと思っています。

『Veto』のころだね。かなり前だな。クールな大手のレーベルがアルバムを出してくれるなんてビッグ・チャンスに恵まれたわけだし、日本には友達もたくさんいるからね。LOYAL TO THE GRAVEやCrystal Lakeなんかとは長年の付き合いだからもちろんまた会いたいし、一緒にクールなショーもやってみたい。フェスにも参戦してみたいしね。いろいろ実現することを願うよ。今はコロナウイルスの件もあるから、どうなるかわからないけど......。

-ツアーに影響がないといいですよね。

ああ、ないことを願っているよ。

-新作は壮大ですし、セットリストもだいぶ変わりそうですね。

ライヴでどの曲をやるか、まさに話し合っているところなんだ。通常フェスに出るときは、どの曲が一番知られているかネットでリサーチする。つまりリスナーに委ねているということだね。

-フェスでは初めての人もいるから、ということでしょうか。

それもあるし、みんなが聴きたいものを聴かせてやりたいからね。リサーチすることが彼らのニーズに応えるための近道なんだ。

-日本に来るころには新作からの曲も増えているかもしれませんね。みんなで盛り上がれることを楽しみにしています。

早く行きたいね!

-最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

日本になんとか行けるようにしたいと思っているよ。みんなにはこの新作にチャンスを与えてほしい。アートワークも素晴らしいからぜひ手に取ってみてくれ。俺たち自身すごく誇りに思っている作品だから、みんながこれを聴いて俺たちのことを誇りに思ってくれることを願っているよ。