INTERVIEW
SONS OF APOLLO
2020.01.16UPDATE
2020年01月号掲載
Member:Derek Sherinian(Key)
Interviewer:山本 真由
ex-DREAM THEATERのMike PortnoyとDerek Sherinianを中心に、ヴォーカルのJeff Scott Soto(ex-JOURNEY)、ギターのRon "Bumblefoot" Thal(ex-GUNS N' ROSES)、ベースのBilly Sheehan(MR.BIG)という、泣く子も黙るラウドロック・シーンのカリスマたちが揃ったスーパー・バンド SONS OF APOLLO。デビュー・アルバム『Psychotic Symphony』に伴う長いツアーを経て、スーパー・バンドにありがちな1作のみのプロジェクト的なバンドでないことを証明した彼らは、2019年には新作への布石ともなるライヴ・アルバムをリリース。ライヴ・バンドとしての存在感を再確認させたと同時に、バンドとしての結束力を高め、SONS OF APOLLOとしての音楽がさらに洗練されたことを示す新作『MMXX』を完成させた。今回は、作曲とプロデュースの面からもバンドを支えるDerek Sherinianに、そんな新作について詳しく語ってもらった。
-SONS OF APOLLOのデビュー作となった前作『Psychotic Symphony』(2017年リリース)は、メンバーの豪華さに加え、新しいプログレッシヴ・メタルの発想にもとづくその音楽性も非常に話題となりましたね。前作について、今振り返ってみてどう思いますか?
1作目の結果についてはメンバー全員とても誇りに思っているよ。あのアルバムでは100ヶ所近くショーをやったんだ。去年1年を通じてバンドの結束もタイトになって、それが新作『MMXX(と書いて2020"Twenty Twenty"と読む)』のソングライティングに表れていると思う。『MMXX』は1作目からの自然な進化だね。よりプログレッシヴでヘヴィなものになったし、曲の質も上がったと思う。自分たち自身を超えられた気がするね。
-前作リリース後、2018年には大阪と東京で来日公演も行われました。SONS OF APOLLOとして日本でライヴをした感想は?
ものすごく楽しかったよ。ファンも熱狂的だったし、行って本当に良かった。みんなどの曲もよく知っていて、シンガロングしてくれたんだ。日本のファンは大好きだよ。
-また、前作のツアーでは83公演という、スーパー・バンドとしては異例の精力的なライヴ活動を行っていましたが、バンドを結成したときからアルバムを残すだけでなく、ツアーもしっかり行うということは決まっていたのでしょうか?
そうだね。このバンドを新しいレベルに持っていくためには、ツアーに出て人々に直接曲を届けないといけないというのはわかっていた。今回も同じようにしようと思っているよ。
-2019年9月には、ライヴ・アルバム『Live With The Plovdiv Psychotic Symphony』もリリースしています。こちらは、オリジナル曲だけでなく、SONS OF APOLLOのルーツにもなっているような、LED ZEPPELIN、Ozzy Osbourne、PINK FLOYDなどのカバーも多数収録された充実の内容ですね。このようなライヴ盤を作ろうと思ったきっかけは?
いい機会だと思ったんだよね。会場がブルガリアにあるローマ時代の野外劇場だったし、マジカルな夜になったよ。若い頃好きだった曲のカバーをやれたのも良かったけど、それより2020年はオリジナル曲がアルバム2枚分になったから、SONS OF APOLLOの曲だけでライヴをやることができる、そっちのほうが今はとても楽しみなんだ。
-1月17日に待望の2ndアルバム『MMXX』がリリースされます。たしか世界同時リリースでしたよね。
そうだね。
-今作は、これまでのSOA(SONS OF APOLLO)としてのライヴ経験が生かされた作品となっているようですが、そもそも新作を作ろうと思ったのはいつ頃だったのでしょうか?
アルバムNo.2を作ろうというのは全員の中にあったんだ。俺はいつも曲を書いているから、すぐに着手できたよ。というか、『Psychotic Symphony』のツアーの前から書いていたから、みんなで着手した時点で俺のハードディスクに曲のアイディアが山ほどあったんだ。それがスタート・ポイントになって、最終的に収録されたのものも多かったね。
-スーパー・バンドというと、どうしてもアルバム1枚出したら終わりというイメージもあります。ツアーすらしないプロジェクトも多いですが、SOAはバンドとして続いていくということで喜ばしい限りです。SOAを続けていこうと思うようになったのはなぜですか? 初めからこれは長期的なものになるという確信があったのでしょうか?
まぁ、長期的なものになるかどうかはわからないよね。でも、できた曲やみんなと一緒にやっていて楽しいことだけは確かな手応えがあった。ツアーに出たときにファンも同じように楽しんでくれていたことがわかったし、俺たちはこのバンドを信じているからね。俺たちがステージに上がるたびにみんなクレイジーになってくれることも確信できているから、続けていくことが楽しみなんだ。
-メンバー同士、そしてファンとの間に生まれたケミストリーが原動力になって続けているのでしょうね。
そうなんだよ。本当に素晴らしいケミストリーが生まれているんだ。心から楽しんでいるよ。
-今作のタイトル"MMXX"は、"2020年"というこれから始まる年を表したものですが、このシンプルなタイトルにはどんなメッセージが込められているのでしょうか?
MMXXという字面もクールだし、2020年の最初にリリースされるアルバムのひとつになるだろうから、タイトルとして使ったらクールだろうと思ったんだ。
-字面というのは"MMXX"というのがヴィジュアル的にクールだということですか?
そう、文字の並びの見かけがかっこいいと思ってね。新しい10年間の始まりだし、その10年間で最初にリリースされるアルバムのひとつだし、ということで付けたんだ。
-2020年を定義づけるものになりますね。
そうだね。
-アルバム全体を通したテーマのようなものはありますか? コンセプト・アルバムなのでしょうか。それとも曲ごとにテーマが違うとか?
唯一のコンセプトは"素晴らしい音楽"だね(笑)。
-前回のインタビュー(※2017年10月号掲載)からすると、SOAはメンバー全員がソングライティングに関わることにこだわりを持っているようでしたが、前作と比べて、今回の制作プロセスに何か変化はありましたか?
そうだね。今回は主に俺とRon(Ron "Bumblefoot" Thal/Gt/ex-GUNS N' ROSES)とMike(Mike Portnoy/Dr/ex-DREAM THEATER)で書いたんだ。歌詞はJeff(Jeff Scott Soto/Vo/ex-JOURNEY)が書いた。Billy(Billy Sheehan/Ba/MR.BIG)は今回あまり参加しなかったけど、彼のベースはものすごくフィーチャーされている。俺が今まで聴いた中でもBilly史上最高のプレイを見せてくれていると思うよ。ソロがあらゆるところに散りばめられていて、どれもファンタスティックなんだ。
-レコーディングは個別に行ったのでしょうか。それとも1ヶ所に集まって?
いや、今回は別々だったね。
-と聞いたのも、1ヶ所で録音したかのような一体感があると思ったからです。たぶん前作よりも。
そうだね......俺もプロデューサーとして、自分の作るアルバム一作一作への自信が増してきたんだ。『MMXX』では演奏だけじゃなくてプロダクション自体も楽しみながらやることができた。
-結成してしばらく経ってショーの回数も重ねてきたことで、プロデュースがやりやすくなったということはありますか?
バンドとしてのサウンドの特徴がよりついてきた気がするね。おかげで以前よりずっとやりやすくなったと思う。