INTERVIEW
SONS OF APOLLO
2017.10.18UPDATE
2017年10月号掲載
Member:Derek Sherinian(Key)
Interviewer:KAORU
ドラムにMike Portnoy、キーボードにDerek Sherinianという、プログレ・マニア悶絶の元DREAM THEATERによるコンビ。そして、ヴォーカルに元JOURNEYのJeff Scott Soto、ギターに元GUNS N' ROSESのRon "Bumblefoot" Thal、ベースにBilly Sheehan(MR.BIG)という、泣く子も黙るスーパー・プレイヤーが集結したバンド、それがSONS OF APOLLOだ。今回のインタビューではDerekが質問に答えてくれ、その本気の度合が発言からひしひしと伝わってくるだろう。"2018年はSONS OF APOLLOの年になる"という言葉が実現すればとてもエキサイティングだし、それはすなわち多くの後続のバンドに"曲のプロダクションとはどうあるべきか、バンドマンである前に演奏者としてどうあるべきか"というお手本を示す絶好の機会にもなるのではないだろうか。
-はじめまして。インタビューできて光栄です。SONS OF APOLLOの構想は、Mike、Derek、Billyによるインストゥルメンタル・バンド、PSMSでのツアーを回っていたときに浮かんだそうですが、なぜバンド編成にしたいと思ったのですか?
Mike Portnoyと俺が、ワンランク上のことをやりたいと思ったんだ。PSMSを通じて素晴らしい化学反応が生まれたし、Billy Sheehanのプレイも大好きだからね。でも、もっとたくさんの人々に届くものをやりたいと考えた。そのためにはヴォーカルを足すというのがとても重要になってくるんだ。あと、本物のロック・ギター・ヒーローを入れたいとも思ってね。Ron "Bumblefoot" ThalとJeff Scott Sotoは、このバンドを完成させるのにはまさに理想の逸材なんだ。
-ヴォーカルにJeff Scott Soto、ギターにBumblefootを誘った理由を教えてください。
そもそもMikeと俺は、まずは"自分たちのルーツであるプログレッシヴ・メタルに戻りたい"という目的があったんだ。なおかつ、もっとたくさんの人々に音を届けるために、ロックの影響を入れたいと思った。それで浮かんだのが、Jeff Scott Sotoが素晴らしいロック・シンガーだということ。プログレッシヴ・メタルのシンガーの多くは、オペラみたいな奴(※ここでDerekがオペラの歌真似をする。わざと少し調子を外して歌う)とか、妙に息継ぎが多い奴(※息を切らしたような声を出す)とか、妙にアグレッシヴな奴とかがいるけど、そういうプログレ・メタルにありがちな、陳腐な歌声は排除したかった。ロックであることを保ちながら、巨匠のようなハイ・クオリティを保てる声が欲しかったんだよね。Bumblefootについては、Mikeが以前にBumblefootと一緒にやったことがあって、あいつならこのバンドにぴったりだって確信していたんだ。俺も、彼とスタジオに入ったら素晴らしいことになるだろうなって思ったよ。俺たちはこのラインナップにものすごく満足しているんだ。テクニックとフィーリングの完璧なハイブリッドだよ。それに、全員がひとつのバンドの中でスーパー・ヒーローみたいな役割を果たすことができる。このバンドはメンバーの経歴がとにかく素晴らしいしね。こんなバンドは他にいないよ。
-まったくです。正真正銘のスーパー・グループですね。スタジオにこの5人がいる図を想像するだけでも驚異的です。スタジオで初めて5人揃って音を出したのはいつごろでしたか?
3月1日。その日はMikeとBumblefootと俺の3人だった。4日後にBilly Sheehanが合流したんだ。まずそのメンツで全部曲を書いて、曲作りの次の段階のときにMikeと俺とJeffが一緒に作業した。それでヴォーカルを録ったんだ。
-ということは、曲作りの段階では、5人一緒になったことはなかったということでしょうか。
もちろん一緒にもやったよ。ただ、先に曲を書き上げてしまいたかったからね。
-スタジオで音を出してすぐに"このバンドはいいぞ!"という感触を感じましたか?
曲作りの段階から、何か"スペシャルなものを作っている"という強い実感があったんだ。とにかく自分たちのできる限り最高のアルバムを作りたいという気持ちでいっぱいだったし、はっきり言ってマスターピース(名盤)が完成したと自負している。一刻も早くみんなの前でプレイしたいね。ステージで爆発したいんだ!
-おっしゃるとおり、まさにプログレ・メタルの名盤として残る作品だと思います。その確信を持ったのは、具体的にどういうとき、どんな曲/セッションをやっているときだったかのか、覚えていたら教えてください。
Mikeからこのプロジェクトに声を掛けてもらってから、俺は速攻で曲書きモードに入って、考え得るベストなアイディアを録音し始めた。そのアイディアの多くがこのアルバムには入っている。そのひとつがアルバムの1曲目の「God Of The Sun」なんだけど、Mikeにデモを聴かせたらすぐに気に入ってくれて、"これ以上手を加えない方がいい、これで最高だ"って言ってくれた。すごく嬉しかったよ。俺の作ったものをとても気に入ってくれて、しかもオープニングに使いたいなんて言ってくれたんだからさ。
-あなたは百戦錬磨のプレイヤーですから、これはいい曲になると確信する"勘"があるのではないでしょうか? ピンとこないときもあるんですか?
なぜかわかるんだよね。自分のフィーリングに耳を傾けるようにしてるし、そのフィーリングが強いときは先に進む。そうでないときも一応録音してみて、あとで聴き返してみるんだ。振り返って聴いてみることはとても大事だね。最初はピンとこなかったものも、魅力が隠れているだけって場合もあるから。違う角度から曲を見てみることだね。自分のプレイはできるだけすべて録音するようにしているんだ。
-つまり、第一印象が悪くても、あとで聴き返してみたら実はすばらしい曲だったなんてことがあるのですね。
そのとおり。でも大概は第一印象が正しいけどね。
-そして今回の収録曲の第一印象はものすごく正しかったわけですね。
ものすごく正しかったんだ(笑)。
-長い間キャリアを築き続けているあなたたちですが、"続けている"ということは、ずっと音楽にエキサイトしているということではないでしょうか? 最近のご自身の演奏に影響をもたらすようなインスピレーションを受けた音楽、ミュージシャンがいたら教えてください。
いつも歴史に残るすごいバンドばかりに影響を受けているわけじゃないんだけどね。最近ではないんだけど、LED ZEPPELIN、VAN HALEN、AEROSMITH、バッハ、ベートーヴェン、そういう偉大な人たちの影響は大きいね。俺はいつも新しい曲を書いているから、常に何かを聴いてインスピレーションを見いだそうとしているよ。そういう探索には終わりがないんだ。VAN HALENの影響は間違いない。他にもElton John、QUEEN......そういうバンドからもね。