INTERVIEW
PRAISE
2019.07.02UPDATE
2019年07月号掲載
Member:Yuta Kobayashi(Vo) YU(Ba) jorge(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
東京発の5ピース・ミクスチャー・ロック・バンド PRAISEが、6月より4週連続で新曲の配信リリース中だ。新メンバーとしてベーシスト、YUが加入し、新体制となったところで切っていく4曲は、これぞPRAISEたるアグレッシヴなラップと重厚なアンサンブルで、重戦車のような轟音で突き進んでいく曲から、ファストな2ビートでシャープに切り込む曲やメロウなR&B的トラックの曲など、自由で多面性を持つPRAISEサウンドの、一曲一曲違った角度でスポットライトを当てた曲が揃った。前作のミニ・アルバム『ENEMY IS ME』は"最新が最強"をテーマに作り上げたが、それを普遍的なバンドのテーマに、常に進化を続ける。そのワクワクとした鼓動が聞こえる今。メンバー3人に近況や新曲について話を訊いた。
-まずは新ベーシストとしてYUさんが加入しましたが、もともとPRAISEとはどういった関係性があって加入することになったんですか?
YU:もともとは、俺が前のバンドにいたときからPRAISEとは知り合いで、対バンもしていたんです。声を掛けてもらったときは、ちょうど自分がやっていたバンドがどうなるかというタイミングだったので、これは何かの縁だし加入すべきだなと思って。
-PRAISEというバンドについてはどう見ていましたか。
YU:対バンしていたときからめっちゃかっこいいバンドと思っていましたね。それはずっとYuta君にも言っていたんです。
Yuta:そのときはそれ以降の会話は特になかったんだけどね(笑)。"あぁ、うん、ありがと~"くらいで終わっていたんですけど。
YU:それくらいの仲だったんです(笑)。
Yuta:でも俺は、YUがやっていたバンドを対バンじゃなくても何度か観る機会があって。魅力的なベーシストだなと思っていたので誘ったんです。
-メンバー交代はあったけれど、活動を止めることなくきていましたね。
jorge:そうですね。3月23日に渋谷THE GAMEで前任ベースでの最後のワンマン"-ALL SONGS ONE MAN LIVE-"をやって、その翌週にレーベルメイトのツアーがあったんですけど、もう出てたもんね。行っちゃおうぜっていう感じで。
YU:いきなり青森にライヴに行くという。
jorge:無理矢理にでも動いたほうが、いいかなと思うんです。ずっとスタジオだけでやっていても掴めないんじゃないかなって。
-YUさんがPRAISEにもたらしてくれたものは、なんでしたか?
jorge:今まで開けなかった扉が、開けた感じはあります。この間"DEAD POP FESTiVAL 2019"に出演したとき、それが"いける!"という確信に変わりましたね。ファンキーなんですよ。スラップとか、今までPRAISEの曲では入らなかったようなベースを入れてくれるので。
YU:ベースを始めたのは、RED HOT CHILI PEPPERSがきっかけで、そこからファンクを聴いたりとか、日本のバンドだとRIZEやDragon Ashとか、ミクスチャー・ロックをずっと聴いたりしていたんです。
-それで横のノリも出せるっていう。
Yuta:そうですね。そこはYUが前のバンドをやっていたときから、縦のノリも横のノリも両方いけるタイプのベースだろうなとは感じていましたね。PRAISEの楽曲も激しい曲だけっていうわけではないので、ちょっと横ノリの曲もあると考えたとき、YUはバッチリやってくれるだろうなと。あとはプレイ面だけではなくて、曲作りの段階からいろんな意見をくれるんですよね。だから、作っていて楽しいんですよ。
-本当に新しい風が入ってきたという感じで、それが今回の曲にも出ていますが。まず今回このタイミングで4週にわたって連続配信するということは、どういうところからの案だったんですか?
Yuta:まず、配信でのリリースをしたかったんです。今は作ったものをすぐに聴いてもらえる環境ですからね。俺らもそういうスピード感は、重視したかったんです。ただ普通に4曲入りとかで出すのでは今までと同じになってしまうのかなと思って、出し方にもこだわりたいということで、1週間に1曲ずつ曲を出していくというのをやったら面白いんじゃないかってなりました。例えば、"週刊少年ジャンプ"を毎週楽しみにしたり、連続ドラマで次の週の話を楽しみにしたりするような感覚で1曲ずつ聴いていって、トータルで1ヶ月経ったときに"あぁ、こういうことだったんだな"って聴いた人が完結できたら面白いかなっていう。
−となると、どの曲をどういう順番で出していくかも大事になりそうです。
jorge:4曲の中では「No.19」が一番押し出したい曲だったから、必然的にそれが最初だったのかな。
Yuta:全部がリード・トラックだという感覚なんですけどね。ただ「No.19」が、今の5人で作ったという感じが一番強かったんですよ。今までは、Aori(Gt/Vo)が作ってきたデモにヴォーカル部分を入れていくという作業がほとんどだったのが、今回はヴォーカル部分を作っている最中にも曲の構成を組み替えたり、YUが入ってからベースのラインにも変化があったりするので。この曲は、イントロとかも何度も改良していっているんです。
YU:最初は全然違うリフだったんですよね。
Yuta:構成も違いましたしね。リハでやりながらみんなで作っていったという感じで。
jorge:一番ディスカッションをした曲かな。
-ラディカルでサビの高揚感があって、アンサンブルの面白さも詰まっているPRAISEらしさを強調した曲だなと思います。この"No.19"というタイトルは、どういう意味合いですか。
Yuta:これは後付けでしたけど、いろんな意味を込めましたね。もともと曲のタイトルというものにそこまでこだわりがないんです。曲がすべて仕上がったときにメンバーに"こんなタイトルどう?"っていう感じで聞いたり、何も浮かばないときは"どんなのがいいと思う?って聞くんですけど。で、この曲はリハーサル後のスタジオで、数字だけのタイトルにしようかっていうのを話していたんです。と言っても2019年だから"2019"っていうのも普通すぎるし。
jorge:ちょうどリリース作品をすべて演奏するワンマン"-ALL SONGS ONE MAN LIVE-"後で、曲を数えてみたら次にリリースする曲が19曲目だったので、これだなと。
YU:わりと早かったですよね(笑)。
Yuta:じゃあ"19"にしようと思ったけど、それだとふたり組ユニットの19の方が出てきちゃうかなっていうので。"No.19"はどうだろうとなったんです。2019年で、19曲目で、これも後付けですけどこの曲でいくぞっていう気持ちも込めて、"19=いく"という(笑)。それで、"これだ!"ってなったんです。その場のノリも強かったんですけど、そういうノリとか一瞬のひらめきって意外と大事だったりするんですよね。
−もともとどういう曲を目指していたんですか?
Yuta:ザ・ミクスチャーな曲でありつつ、途中で入ってくるヒップホップのトラックっぽい感じのところは、トラップが入っていて。
YU:ベーシックなミクスチャーって言われるものと、最近の新しいものとがうまくミックスできたんじゃないかなって思います。
-Aoriさんのデモもそんな感じで?
jorge:途中のトラップ・パートはデモ段階でもあったかな。
Yuta:そこから俺とAoriでまず構成を組んでいくんですけど、そのやりとりだけでも20回以上してたかな。
-だいぶラリーがあったんですね。そのくらい力が入っていたというか、もっといけるんじゃないかというのがあったと。
Yuta:そうですね。詰め込みすぎてしまっているところを削ぎ落とすという作業もしました。
jorge:引き算はしましたね。
Yuta:俺とAoriのデモの段階でも引き算をしたし、5人で作り上げていくときも、どうやってシンプル且つちゃんと届けられる曲を作るかというのはあった。どうしてもやっている側って欲張りで、あれもやろう、これもやろうってなっちゃったり、方向を見失ってしまったりするので、そこはうまく自分たちでバランスを見ながらやっていった感じでしたね。サビのギターのリフとかも、いかにシンプル且つ飛び跳ねられるような、手が上がるような音にできるかはみんなで話し合っていきました。
-ライヴの画が見えるサウンドです。そこにバンドの決意表明のような歌詞が乗る強い曲ですね。歌詞については、第1弾として出す気持ちがかなり前のめりに出た感触ですか?
Yuta:PRAISEの新体制一発目の音源だと考えたとき、また新たにPRAISEとして頑張ってやっていくぞというこの気持ちが強く出た歌詞かなと思いますね。ただ曲を書いたときの気持ちとかって、そのときの自分にしかわからないものがあるんです。それは、そのときの気持ちが強く出たものだったということで、いいのかなと思ってますね。