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INTERVIEW

PRAISE

2019.07.02UPDATE

2019年07月号掲載

PRAISE

Member:Yuta Kobayashi(Vo) YU(Ba) jorge(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり

"最新が最強"というのを、バンドの内側に入っていきなり思い知らされた


-そして第2弾が「蒼炎」です。こちらは高速ビートからスタートするハードコアな曲ですね。

jorge:これが4曲の中では最初にできたかな。

YU:俺が加入して、"次レコーディングするから"って言って最初に渡された曲が、ほぼ完成されたこの曲でしたね。

Yuta:形はできてたね。

jorge:一番攻めている感じの曲でした。

-この泣きのある歌、メロディの感じっていうのは得意とするところですかね。

jorge:あぁ、どうなんでしょうね。でも、世界観としては「続きの今日」(2018年リリースのミニ・アルバム『ENEMY IS ME』収録)曲と近いものはあるかな。哀愁系というか。

-ラップ・パートは語り掛けるようであり、泣きのメロをラストに畳み掛けていく。グッと聴かせますね。

Yuta:これは、スピード感のある2ビートに言葉が詰まっているところと、そのあとにラップがちゃんと乗るパートと、歌のパートを、1曲の中でどれだけ詰められるかというのをやってみた曲でもありますね。歌詞としてはちょっと暗いんですけど。

-サウンドともマッチしてますね。

Yuta:今回の4曲では一番闇の部分かもしれないですね。そのときはそういう気持ちだったと思うんです。サビにあることはそのままですね。俺、普段間違いをいっぱいするんですよ。それで、あーあとなるんですけど、このコーラス部分の"あー、あー、あー"はどちらかというとため息の"あーあ"です。

-YUさんは、この曲を貰ったときはどういう印象でしたか?

YU:俺が今まで外から見ていたPRAISEとはなんとなく違う感じできたなと思って。これから変わっていくというか、前作の『ENEMY IS ME』でも言っていた"最新が最強"というのを、バンドの内側に入っていきなり思い知らされた感じでしたね。どんどんいくぞっていう。俺も負けていられないなっていう気持ちにもなりましたね。

-そして3曲目となるのがバンド・サウンドというよりトラック的な「スロウダンス」です。

Yuta:それをあえて狙って作りました。

-どうサウンドメイクしていったんですか?

Yuta:最初にこれを作り始めたのが去年の夏くらいで。みんなでスタジオに入ったとき、ドラムのjorgeが遅刻してきたんです。スタジオだとドラムがいてみんなでバーンと音を出さないとできないことも結構あるんですけど、遅刻するって言うから、じゃあ何しようかっていうので僕がスタジオの小さい鍵盤を借りて、適当に遊んでいたんですよ。それに合わせてAoriがギターのコードを鳴らしていって、という感じで。サビに入っている鍵盤がその感じですね。そういう遊びから作ったトラックが、ずっと素材として残っていて。いつかちゃんと曲にしたいねっていうのがあったんです。それで今回、あの曲を作ってみようかとなったんですよ。

-アクシデントが生んだ曲だったんですね。

jorge:俺のおかげかな(笑)。

YU:たしか最初に聴かせてもらったのは、iPhoneのボイスメモだった気がする。

Yuta:そうだ。ふたりで飲んでいたときに"これカッコ良くない?"、"曲にしない?"って聴かせていたんですよね。

-こういうタイミングだからこそリリースしようとなった曲ですか?

jorge:そうですね。あとはYutaが、こういうメロウなタイプの曲がもう1曲くらい欲しいなとはずっと言っていたんですよ。

Yuta:この数年は、俺はこの手の曲を聴く割合が多いですね。ヒップホップだったりR&B寄りの音楽だったりとか。YUもAoriもそういう音楽を聴くことが多いから、完全にラウドなところじゃない音楽を、自分たちでやったらどうなるかっていう感じですね。

-4曲で起承転結となるなら完全に"転"で驚かせる曲で。変化球として面白いし、これが出たときの反応は楽しみでもありますね。

Yuta:1曲目、2曲目が、歪んでいるし、ラウドじゃないですか。この3曲目でいきなりこっち!? ってなるような。振り切ってますしね。PRAISEは、静かな曲を作ると暗くなりがちなんですけど、静かだけどそこまで暗くない、絶妙なところを作れたなと。歌詞の内容もそうだと思うんですけどね。

jorge:ライヴでもおいしい位置に持ってきてあげたいですね。

-そして最後は「THE WORLD IS YOURS」です。これぞまさにという攻撃的なラップとソリッドなPRAISE節が炸裂するサウンドですね。

Yuta:これはもともと昔からやっていて、音源化していなかった曲なんです。

jorge:サウンド・チェックでやったりしてたんです。

YU:そう。加入する前にステージを観ていたとき、サウンド・チェックで俺の知らねぇ曲やってるぞって思ってた(笑)。

Yuta:ライヴ前のちょっとしたサウンド・チェックのときって、お客さんにも聞かれてるじゃないですか。そういうときにわざとやっていたんです。で、お客さんに"なんだこの曲!?"とさせておいた(笑)。しかも思いきりラップの曲で。

jorge:お客さんは、ずっと予告編ばっかり観させられてた感じかもしれない(笑)。

Yuta:それくらい潜在的に刷り込んでいた曲。で、今回レコーディングするとなってから、そのままではやっぱり面白くないのでアレンジを加えたりしましたね。歌詞もちょっとだけ変えたんですけど、一番アングラっぽくなったなというのはあります。もともとこの"THE WORLD IS YOURS"って、"スカーフェイス"っていうギャング映画に出てくる言葉なんです。貧しい人がギャングとなって成り上がっていく話で、映画の最後のほうに、バーンとこの"THE WORLD IS YOURS"ってワードが出てきて終わるんですよね。自分でその主人公の気持ちになってみて、わかるなこの感じっていう感覚をそのまま書いた歌詞です。

-待ってたというお客さんも多そうですね。この曲ではMV制作も面白い方法をとっていますね。

Yuta:ちょうど今制作中なんですけど、以前のライヴでお客さんに撮影を許可したことがあって、その代わりSNSとかにアップしてくれってお願いしたんです。それがいい宣伝になるなと思っていただけだったんですけど。PRAISEを観にきてくれる人たちって、すごく素直で(笑)、みんなちゃんとSNSに上げてくれたんです。家に帰って観てたらいろんな角度から撮ってる映像が出てきて、ステージがこんなふうに見えてるんだなって思って。これをそのままMVにしたら面白いんじゃないかなと。それで、みんなが撮った映像を募集したんです。それこそみんな真面目だから、これもちゃんと送ってくれて。すげぇいいやつらなんですよね。

-ファンと一緒にひとつの作品を作るっていう感覚ですね。

jorge:今だと、クラウドファンディングでお金を集めてMVを作る企画というのはいろいろありますけど、みんなから素材を貰うっていう方法で(笑)。

Yuta:でも、一緒に作れる感が出るからいいかなっていう。

jorge:"俺が撮ったものが使われてる!"ってなるしね。

Yuta:フェスとかもそうですけど、"俺この場にいたぜ"とか、"俺これに参加したぜ"っていうのはすごく大事だと思うし、それを新曲のMVでやって"この映像撮ったの俺だぜ"とか、"あの、めっちゃブレてるやつ私の"とか、そうなったらいいなと。

-今年はこういうチャレンジがどんどんあって、アイディアをより解放している感じもあって、今後も楽しみです。7月5日からの"PRAISE JAPAN 5AREA [MAKE A RIOT TOUR 2019]"も幅広い対バン相手を呼んでいて、盛り上がりそうですね。

Yuta:ミクスチャー・バンドだから呼べるバンドたちというか。みんなで意見を出し合って、こんなことをやろうというバンドだし、メンバーそれぞれルーツや好みも違うって、それが本当のミクスチャーかなって思うんですよね。だからこそ対バンもバラエティに富んでいて、PRAISEだからこそ一緒にやれるバンドを呼べるようになってきているかなと感じます。