INTERVIEW
ZOMBIE POWDER × hiromitsu
2018.10.09UPDATE
2018年10月号掲載
ZOMBIE POWDER:Kaho Kureha Rua Kikuno
プロデューサー:GERU-C閣下
サウンド・プロデューサー:hiromitsu(deadbites/AIR SWELL)
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by ゆうばひかり
-実際にZOMBIE POWDERに会ってみて、印象は変わりました?
hiromitsu:失礼な話なんだけど、レコーディングとかして"意外とものすごい能力を持ってるんだな"って思って。アイドルってもっと歌えなかったり、できなかったりするものだと思っていたんですけど、そこは問題がなかった。だから曲作りに集中できましたし、オーダーを出してもしっかりこなしてくれることに関しては正直ビックリしましたね。
-ZOMBIE POWDERのみなさんはhiromitsuさんがサウンド・プロデュースを手掛ける前のグループって、どんな状態だったと思いますか?
Kaho:ポップなかわいらしい曲もあるし、ラップとかかっこいい曲もあって幅広くやっていたので、自分たち的にもお客さん的にも"どういうのがやりたいんだろう"っていう感じの雰囲気がずっとありました。さまよっているような感じがあったんですけど、hiromitsuさんが関わってくださるようになってからは集中できるようになったというか、みんなで一致団結できるようになりましたね。
-hiromitsuさんが関わって、具体的にはどういう変化がありましたか?
Kikuno:衣装もそうですけど、楽曲が一番変化しているので、音楽に対してもっと触れるようになりましたね。今まで聴いてきたのはJ-POP寄りだったんですけど、ロックを聴くようになって、日常生活とか考え方まで変わるようになりました。
Rua:私も聴く曲は変わりましたね。もともとVOCALOIDの曲が好きで、恋愛系の曲をよく聴いていたんですけど、ロックって暗いイメージがあったので、そういう暗い系の曲を聴くようになりました。
hiromitsu:僕らがやっているようなダウン・チューニングの重たい曲って、実はアニソンとかいろんなところにあるじゃないですか? そういう曲として彼女たちの耳に入っていた音楽だとは思うんですよ。それをZOMBIE POWDERで突き詰めるというか、"深いところまでやっていこうぜ"っていうのが今回のアルバムなのかなって思います。
-今作は1stシングル『nightmare』(2017年リリース)をはじめ、これまでの曲から音楽性がガラリと変わりましたよね。これはグループとして方向性を変えていったのか、もしくは本作がコンセプチュアルなものなのか、どちらですか?
GERU-C閣下:結局、僕の設計図どおりにみんなが動いてこうなったわけです(笑)。というのは半分冗談ですけど、僕はトータル的なコンセプトだけプロデュースしていて、特にサウンド面についてはそのときの作家さんと話をして進めていたんです。そうしてポップなものからミクスチャー的なものまで幅広くやってしまったがために、彼女たちもファンとライヴを通してどう接していいのかわからなくなるような時期があったんですね。そのなかでhiromitsu君と会って悩みを相談していました。地下アイドル・シーンは成熟してきていて、地上との差が近くなってきているとここ数年で思っていて、そこに一矢報いるならば、この子たちを育てて、現役の彼(hiromitsu)を取り込むことでグループを活性化させられるのではないか、というのが狙いでしたね。でもhiromitsu君を抜擢するということはこっちも覚悟するしかなくて......。
一同:(笑)
GERU-C閣下:"ZOMBIE POWDER"って名付けたことがお互いを引き寄せたきっかけにもなっているんですよね。彼はホラー・マニアだということもあって、楽曲に"ZOMBIE POWDER"っていうテイストを凝縮していった。それが今までの作家とはまったく違ったんですよ。歌詞の世界観だったりメッセージだったり、加えてサウンド面でハードなミクスチャーのテイストを入れていったということが、今のZOMBIE POWDERとしての核になっている。これからこの2組(ZOMBIE POWDERとhiromitsu)が暴走しながらもいろんなパフォーマンス、表現をしていくのがすごく楽しみだなって思っています。
-そういった変化について、メンバーのみなさんはどう受け止めました?
Kaho:やりやすくなったっていうか、役になり切ろうって思いました。ホラー映画がもともと好きだったのもあったんですけど、歌詞に入り込むことができるようになって、感情表現が豊かになりましたね。
hiromitsu:GERU-C閣下と知り合ってから、映画のこととかカルチャー的な話をすることが多かったので、"ZOMBIE POWDER"っていう名前だったこともあって、歌詞にもすごくこだわりましたね。ラヴ・ストーリーにしてもダークな世界観とか悲しい世界観とか、自分がこういう状況に置かれたら嫌だなっていう、いわゆるゾンビ・ハザードのなかでの話とか、俺たちが感じたことがあるようなものを歌詞に落とし込んでいくのが楽しかったかな。
-歌詞はhiromitsuさんがすべて手掛けているんですか?
hiromitsu:だいたい僕ですね。曲によっては作家とふたりで投げ合いながら作詞してますけど、全部僕が絡んでいます。
-メンバーのみなさんも歌詞に関わった部分はありますか?
Kikuno:歌詞変更とかはないですけど、歌い方の提案とかはよくしてました。
GERU-C閣下:通常のアイドルさんだと、アレンジも含めてヴォーカルができあがっているものを受け取ってレコーディングに臨むんですけど、今回はメンバーがhiromitsu君とプリプロから参加したということが新鮮でしたね。
Kaho:だいぶ貴重な経験をしました。
GERU-C閣下:まぁ、そのぶん悩みましたけど(笑)。
-プロデューサーとメンバーというか、ひとつのチーム感みたいなものがありますね。
hiromitsu:僕は引退したわけではないので、ライバルだと思っている部分もあるけど、基本的には同じチームとしてやらせてもらっていることが、やりがいというか自分のミュージシャン人生においての大きな挑戦ですね。
-すべての収録曲についてすでにライヴで披露されているかと思いますが、ファンからの反応はいかがですか?
Kaho:2パターンに分かれちゃって、"すごい良くなった"って言ってくれる人もいれば、"わかりやすいポップな方が良かった"っていう人もいます。そういうふうに言わせたくないので、最近はライヴでの煽りとかで巻き込むようにしたら"こっちの方が良くなってきた。新曲が楽しみ"って言ってくれるようになったので、いいことなのかなと思います。
hiromitsu:今までは自分がやるための曲作りだったんですけど、初めて人に曲を書いてみて喜びに感じたのが、"やったことが自分の手から離れて、それが3割増になって返ってきたこと"なんですよ。いい意味で予想していなかったかっこ良さが返ってくることもあったし、自分の狙いどおりになったこともあって。そういうキャッチボールがあって、音楽をやってて良かったなって思いました。