INTERVIEW
THREE DAYS GRACE
2018.05.17UPDATE
2018年05月号掲載
Member:Neil Sanderson(Dr)
Interviewer:村岡 俊介(DJ ムラオカ)
-ふたりが一度に同じ場所にいたことはあるんですか。
終盤はあったね。全体の過程からすると初期がGavinで、後半にHowardが入ってきたというのはあるけど。それに、フレッシュな観点から、俺たちがそれまで取り組んできたアイディアを見てもらえるのはいいことだからね。アーティスティックなアイディアに近すぎると、自分の中でバイアスが生まれてしまうから。だから、全体像に近い存在ではなくて、まだ何も聴いていない人を連れてくれば、ベストな要素を生み出す手助けをしてくれるんだ。"木を見て森を見ず"じゃない人が必要だってことだね。
-なるほど、よくわかります。セカンド・オピニオンみたいなものですね。
そう、そういうことだね。
-今話してくださったように、今回はあなたの農場やBrad(Walst/Ba)のガレージといった、かなりチルアウトした環境下で制作したようですね。以前の作品ではトロントで作業することが多かったと思うので、かなり違った環境だったと思います。このアイディアはどこから生まれたのでしょうか?
俺たち全員森の中の出身だからね。そこにホームタウンがあるんだ。だから、そこが俺たちにとっては自然な環境なんだよね。焚き火を囲んだり、泥団子をぶつけて遊んだり......カナダの小さな町の人々ってところだね。トロントはいろんな意味で俺たちにとっては形がきちっとできていて堅苦しいというか、隔離された感がある。ラッシュ・アワーのなか車を走らせて、トロントのダウンタウンのスタジオに行くのは気が萎えることもあるよ。そういうのを振り払ってクリエイティヴなことに専念したかったんだ。スタジオに着いたころにはイライラしすぎて曲も書けないなんてこともあるからね(笑)。もうひとつの理由は、去年の夏に大規模なワールド・ツアーを終えて帰ってきたんだけど......残念ながらそのときは日本に行けなかったんだよな......。でもロシア、ルーマニア、ブルガリアなんかを回ったんだ。とても移動の多いツアーだったよ。だから自分を解放できる時間が欲しかったっていうのもあった。静かなところで、いろんな負担から逃避できるような時間をね。そういうこともあって、自分たちを隔離したかったんだ。結局そうしたことでアルバム全体のトーンやタイトルが決まったよ。"Outsider"。自分たちを取り巻くカオスから逃避したかったってことで、アルバム全体の主なテーマのひとつになったんだ。
-たくさん旅したあとで、チルアウトした環境のなかで自分自身を取り戻したかったんですね。そしてクリエイティヴィティをリフレッシュしたといいますか。
そう、君の言うとおりだよ! それにあまりに長い間、大の男3人と密接に過ごして旅をしていると......(笑)お互い嫌いにならないように気をつけないといけないからね(笑)。あれだけ長い間一緒に過ごしたあとはやっぱりスペースが必要なんだ。命懸けで逃げないと(笑)!
-(笑)前作からレコーディングに参加しているMatt Walst(Vo/Gt)ですが、前作よりさらに多くアイディアを持ち込んでいると聞きました。実際に彼のアイディアが反映されている楽曲や歌詞がありましたら教えてください。
Mattはアルバムの至るところに登場するよ。どの曲もあいつが関わっている。歌詞とメロディは主にあいつが書いているからね。音楽的にも素晴らしいギタリストだよ。ひとつファンの間でも人気なのが「Infra-Red」という曲なんだけど、あの曲のあいつはヴォーカル的に本領を発揮していると思う。曲のエッセンスをしっかり捉えているしね。あれは"悩める愛の歌"なんだ。他人とは違ったレベルでコミュニケートできる相手にようやく出会えたのに、その相手を失っちゃうんじゃないかって心配のあまり、パラノイドになってしまう。そもそも出会えてラッキーなのにね。あの曲でのあいつのヴォーカルは心の底から歌われていると思う。だから多くの人々が惹かれるんだろうね。パフォーマンスに感情がたっぷりこもっているんだ。
-他の曲も感動的でしたけど、あの曲はたしかに心を揺さぶられるものがありますね。
だよね。......今自宅に戻ってきたばかりなんだ。ここより北の方でバンドのリハーサルをしていて、この曲をライヴでやることにしてさ。それまでやったこともなかったのに、1時間前に8回連続でやったよ(笑)。
-「Infra-Red」の世界から出てきたばかりなんですね。
うん。インフラというより耳が真っ赤だよ(笑)!