INTERVIEW
THREE DAYS GRACE
2006.06.06UPDATE
2009年10月号掲載
Interviewer:ムラオカ
-初めてインタビューさせていただきます。日本で「激ロック」というラウドミュージックのフリーペーパーを発行しています。私たちはラウドミュージックのクラブパーティーも開催ていますが、1stアルバムから「JUST LIKE YOU」をよくかけさせていただきました。
クールだね。ありがとう。
-1stアルバムは聞く人を虜にさせる傑作のアルバムだと僕は思います。 そしてカナダ出身のあなたたちが世界に認められ成功されましたが、1stアルバム発売当初、ここまで反響があると思っていましたか?成功されてから、周りの環境は変わりましたか?
ファースト・アルバムには自信があったし、それがあれだけの規模で認められたんだから、最高にエキサイトしたさ。でも、それをきっかけにより多くのファンの前でライヴが出来るようになったことが、いちばんうれしかったことさ。前作では約2年間ツアーをしたんだ。2年間だよ!どれだけオレ達がプライオリティをライヴに置いているかがわかってもらえるよね。CDのセールス的な成功は、より大勢のファンとライヴがシェアできるきっかけにすぎなかったよ。
-2年間長期間ツアーを精力的に行ったと聞いていますが、それが成功の下地作りになったと思います。そのツアーを経験したことで、得たもの、失ったもの、今回のアルバムに反映されたものがあれば、教えてください。
国境を越えて(アメリカで)成功するのはものすごい競争だからね。しかもあれだけの成功を遂げるのは楽じゃない。近道はないんだ。自分達から出向き、「これだけプレイできるんだ」ということを見せるしかなかないんだ。俺達はバンドを組んで13年になるが、ガキの頃からプレイできる機会があれば一つ残さずプレイしてきた。それが今の成功につながったと思ってる。ただ、ツアーに出て、多くの人に会えるようになった一方で、皮肉にも孤独感を感じることもあった。長いロード生活の中で、そういう思いを何度も感じたんだ。ツアーというのは、つい周りに流され、必要以上に色々なことを過剰にやり過ぎてしまうものなんだ。その結果として感じるのは世間から遮断された孤独感。本当の自分の姿なんて誰も知らない、とね。でも曲を書き始めてみたら、世の中の人もみな同じような思いを抱いているんだとわかったんだ。そういった気持ちをまとめたら、セカンド・アルバムの「ONE-X」さ。
-今回のアルバム「ONE-X」はラスト曲「ONE-X」の歌詞から推測するに、「自分は一人(ONE)のように感じるが、自分みたいな人はたくさんいる(X)」と言った意味が込められていると思います。それはジャケットのアートワークからも感じられ、この「ONE-X」という言葉にとても思い入れがあると思います。何か「ONE-X」について話していただけますか?
ああ、まさに「大勢の人の中で感じる孤独感」を意味しているんだ。どれだけ人がいても、自分がどこから来て、何を感じているか、それをわかるのは自分ひとりだけ。ロックバンドじゃなくても、都会に暮らしている人は皆そういった孤独感と隣り合わせに生きている。そういう意味で誰もが共感できると思ったのさ。アートワークもそれを意味している。一人、Xのマークがついているのはそいつがターゲットだ、ということ。群集の中でその他大勢に紛れるのではなくてね。
- 「Animal I Have Become」のPVを拝見させていただきましたが、あのPVには自分や他人の中に潜んでいる暗黒部分に怯えていると感じました。THREE DAYS GRACEの世界観には、「他人対自分」「自分対自分」の葛藤や不安や畏れがあり、それを赤裸々に書き出していると感じましたが、歌詞には重点を置いて制作していますか?
もちろん。歌詞は最も大切な要素のひとつさ。この曲は自分の中の邪悪な心の歌さ。だからビデオの中でアダムは邪悪な自分に取り付かれる役を演じてる。「Animal I Have Become」はここ数年のオレたちそのもの。バンドを結成した当初から一貫して、憂鬱な歌詞が多いと言われるけど、みんなが共感できるはず。歌詞がリアルだからさ。ネガティヴな歌詞が多いって言われるけど、そんな中にも希望を見出せるはず。このバンドは否定的な感情のはけ口なんだ。
-THREE DAYS GRACEの世界観は、歌詞とメロディーの絶妙なバランスで成り立っていると思います。サウンドはヘヴィーでありながらも、一度聞いたら忘れることが出来ない抜群のメロディーです。楽曲制作はアコースティックギターで制作したと聞いていますが、それはメロディーラインを重視していることだと私は感じました。もし、サウンド面で気を遣っていることがあれば教えてください。
その通り。アコースティックで聞いていいものは、例えヘビーにアレンジにしても曲のすばらしさは変わらない。今回のレコーディングも都会から離れて、地元のカナダに引きこもって曲作りをしたんだ。みんなでギターを弾きあって、リラックスして話しあって、うまくいったと思う。