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INTERVIEW

THREE DAYS GRACE

2022.05.06UPDATE

2022年05月号掲載

THREE DAYS GRACE

メンバー:Matt Walst(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

カナダ出身のオルタナティヴ・ロック・バンド、THREE DAYS GRACE(以下:TDG)が通算7作目のアルバム『Explosions』を完成! 第1弾シングルとして2021年11月に発表した「So Called Life」は、彼らにとって実に16曲目となる米ビルボードのメインストリーム・ロック・ソング・チャートでの1位を獲得。俄然注目の高まる本作は、感情の爆発をモチーフに、爆発的なリフがうなるヘヴィ・チューンからエモーショナルなバラード、さらにラテン・ビートをフィーチャーした楽曲まで、実にバリエーション豊かな作品に仕上がっている。そんなアルバムの制作過程や楽曲について、フロントマンのMatt Walstに話を訊いた。


この数年間いろんなものが積み重なって、時々"爆発"したくなることってあると思うんだ。感情の爆発だね


-ニュー・アルバム『Explosions』の完成おめでとうございます。先行シングル「So Called Life」では早くもビルボードのメインストリーム・ロック・ソング・チャートで1位を獲得していますが、ファンからの反応はいかがでしょうか?

ものすごく良くて、俺たちもこれ以上ないくらいハッピーだよ。これまで出した曲をみんな楽しんでくれているみたいだ。みんながハッピーだとこっちの気分も最高だよね。

-本作は2020年から2021年にかけて制作されたとのことですが、制作時期はパンデミック前からスケジュールされていたのでしょうか?

パンデミック前に断片的なものはできていたから始めたのはコロナ禍が始まる前だったけど、本格的に集中してやったのはロックダウンが始まった直後だったね。今みたいにZoomを使ってアルバムの大半を書いたんだ。デモもこれで作った。みんな自宅にロックダウンされていたからZoomでやらないといけなかったんだ。

-ということは、もともとは2021年に出せればと思っていたのでしょうか。

そうだね。理想としてはそうしたかったけど、やっぱりアルバムを引っ提げてツアーしたいしね。ツアーに合わせて曲をラジオでかけてもらったりしてさ。だからツアーができないとわかって保留することにしたんだ。

出られるようになったらリリースしようってことで。

-パンデミックの中ではどのように過ごしていましたか?

そうだな......"ジップ・ライン"を作ったよ。ジップ・ラインってなんだかわかる? つかまるところがあるんだ。とても高さがあって、張ったワイヤー・ロープをファスナー(ジップ)を動かすように動くやつさ。それから、2021年の3月10日に長男が生まれたんだ。今1歳1ヶ月だね。

-息子さんが遊べるようにジップ・ラインを作ったりして準備していたんですね。

そんな感じだね。

-レコーディングではオンライン・ミーティングなども活用されたとのことですが、こういったことはパンデミック以前からしていたのでしょうか。

そうだね。こういうのを取り入れる必要があった。ひとつの部屋に集まる機会がなかったからね。いろんなテクノロジーを使ったよ。Pro ToolsやLogic Proのセッションにアドオンできるアプリがあって、それを使うとみんなで音を聴くことができるんだ。その名も"Listento"って言うんだけどさ。例えばドラマーのNeil(Sanderson)がセッションをオープンにしておけば、他のメンバーがそれを一緒に聴くことができる。俺は自宅でヴォーカルをレコーディングして、それをあいつに送って、その場でそれをセッションに投入してもらう。Barry(Stock)もギターを弾いてあいつに送って......と作業してできたものを聴きながらみんなで話し合う。"こうしたらいいんじゃないか?"(※ギターを弾く真似)という感じに作って、なんとかうまくやったよ。

-それは初めての試みだったのでしょうか。

初めてだったよ。

-そういう意味でも実験的な作品になったのですね。

そうせざるを得なかったからね。

-制作プロセスにおいて新たな発見などはありましたか?

あったと思うね。作業が速くなったし。例えば、まだギターのパートに手を入れている途中だったとする。あるいはZoomで特定のパートについて話し合っているとか。それと同時進行で俺がヴォーカルをレコーディングして、Neilに送っている間にBarryのところで新しいギター・パートができていたりするからね。とても効率的だったよ。

-同じ場所で作業できなかったことは難点だったかもしれないですね。

そうだね。同じ部屋で曲を書いているときならではのマジックっていうのはあるからね。でもZoomでできるだけそれに近いことはできたから、同じ部屋にいるような感覚になれたよ。

-たしかにアルバムはライヴ感たっぷりの仕上がりになっていますね。本作のプロデューサーには、前作『Outsider』(2018年リリースの6thアルバム)に引き続きHoward Bensonが起用されていますが、それが大きな手助けになったのでしょうか。

そうだね、それは確かだ。ヴォーカルは半分くらい、彼が同じ部屋にいなくてZoomで繋がっている状態でやったんだ。俺のヴォーカルを聴いて、それを録って、LAにいながら作業してくれていたよ。俺たちはカナダにいたけどね。

-新作に取り掛かった当初から、Howardと組むことは決めていたんですか?

もちろんさ! 俺たちみんなHowardのことが好きになったんだ。とにかく仕事ができるしね。人柄的にも仕事がしやすいし、また一緒にやろうって決めたんだ。彼のスタッフも素晴らしいから、検討する間もないって感じだった。

-なるほど。また本作では、ミキシングにBRING ME THE HORIZONなどを手掛けたDan Lancasterを迎えています。彼を起用した理由や、実際のミックスを聴いての感想をうかがえますか?

彼は本当にうまいよ。まだ若いしたぶんキャリアもそんなに長くないと思う。耳とサウンドが若いんだ。彼のスタッフもすごく効率良く動いてくれる。びっくりするくらいにね。「So Called Life」のミックスが返ってきたときに、"よし、残りの曲も全部彼にやってもらおう"って決めたんだ。見事な出来栄えだったよ! 俺たちみんなノックアウトされて"彼に決まりだ"とすぐに思ったね。

-今回彼を起用したのは、若手のようなエッジをサウンドに加えたかったのでしょうか。

そうだね。よりモダンにしたいと思ったんだ。

-ところで"Explosions"というアルバム・タイトルはまさに作品全体を体現している感じですが、由来を教えていただけますか?

この数年間いろんなものが積み重なって、時々"爆発"したくなることってあると思うんだ。感情の爆発だね。俺的にはそういうふうに説明するかな。

-タイトルが先に決まったのでしょうか。

いや、「Explosions」の曲のほうが先だったね。で、アルバムもそのタイトルで行こうって決めたんだ。

-それはここ数年の波乱の世情とも関係しているんでしょうか。

それはあるね......。最近は自己表現が難しくなっているような気がするんだ。だから言いたいことが瓶の中に溜まってしまうような感じになってしまって、たまにそれを開けてしまいたくなる。

-自己表現がしづらいというのは、例えばSNSなどで書いたたった1行が悪い方向に"爆発"してしまうとか、そういう恐怖もあってのことでしょうか。

そのとおりだよ。発言できなくなってしまう。反感を買うことを恐れて、言いたいことが言えないとかね。

-このアルバムはあなた方自身やファンのみんなにとって、そういう溜めていたものを出す場でもあるんですね。

それは確かだね。

-本作を聴いていくと、本当に多彩な感情を代弁しており、人生の様々な局面に寄り添うようなアルバムになっていると感じました。「Explosions」の曲を書いてからタイトルをこれに決めるにあたって、アルバムのテーマなどはありましたか?

全体的なテーマというのはなかったんだ。その日の気分で書きたいものを書くという感じだったね。"こんな感じの曲を書こう"とか"この路線をキープしよう"とかあらかじめ決めるタイプじゃないんだ。とにかく楽しみながら作るということだね。音楽はそういうものだと思うし、曲のトピックやヴァイブに関してはあまり自分自身に固定観念を作らないようにしているんだ。例えばアルバム全体がヘヴィになることはないし、全曲バラードになることもない。今回もバラードをいくつか、ロックなものをいくつか、というふうにできたと思う。多彩にするというのは、アルバムをレコーディングするときの醍醐味だよね。

-実に多彩です。ということで、いくつかの曲をピックアップしてうかがいたいと思います。オープニング・トラックの「So Called Life」は、まさに爆発的なリフとヴォーカルでノックアウトするような楽曲です。MVは散らかった住宅の中で激しいパフォーマンスが行われる内容で、タイトルの"Life"という部分に関連しているように感じました。

みんな家の中に閉じ込められていたからね(笑)。あのビデオを撮るのにパーフェクトなセッティングだと思ったよ。撮影スタッフも本当によくやってくれた。俺が歌い終わるとみんなで拍手してくれてさ。あれは嬉しかったね! 本当にオーディエンスの前で歌っているような気分にさせてくれたんだ。クールだったよ。

-オーディエンスのように見守ってくれていたんですね。

オーディエンスも同然だったね。クルーがみんなで"Yeah! Good Job!"なんて手を叩いて盛り上げてくれたんだ。そんなことは初めてだったよ。ああしてくれたおかげで俺ももっと頑張ろう、もっと振り切った感じでやろうと思えた。本当に楽しかったよ。

-バンド側とクルー側で一緒になって雰囲気作りをしていたんですね。

そう、そのとおりだよ! あれは初めての経験だったね。最高だったよ。

-ちなみにあれはメンバーの自宅ですか?

いや。LAに映画で使うようなセットがあったんだ。レトロ・ムービー用のセットだね。

-「Neurotic」ではカナダのロック・シンガー、Lukas Rossiをフィーチャーしています。彼とのデュエットはいかがでしたか?

同じ部屋では歌えなかったけどね......。Lukasとは長い付き合いなんだ。たしか"Rockstar Supernova"とかいう名前のオーディション番組で優勝したんだよね(※Tommy Lee、Jason Newsted、Gilby Clarkeによるバンドのヴォーカルを決めるオーディション番組。Lukasが優勝し、同名のバンドでアルバムを発売している)。でも俺たちはその前からの付き合いで、俺は2000年ごろ出会ったのかな? だから22年の付き合いだね。地元が一緒だから、昔はよく一緒につるんでいたんだ。あいつが今回参加してくれてとてもクールだったよ。何しろ声が素晴らしいからね。

-オリジナルはLukasとTDGのNeilのサイド・プロジェクト、KING CITYのものだそうですが、それを聴いてTDGバージョンを作ろうと思い立ったのでしょうか。

そうだね。とにかく曲が気に入ったから、俺たちらしい解釈でやってみたいと思ったんだ。もっとたくさんの人に聴いてもらいたいと思ってね。

-Lukasと組んだのは今回が初めてだったのでしょうか。

いつだったかは詳しく覚えていないけど、トロントで一緒に曲を書いて歌ってみたことはあったね。俺にとってはそれ以来だな。

-今回一緒に組んで、その時代がよみがえった感覚がありましたか。

あったね! あいつは声がとにかく素晴らしいんだ。パワフルで感情がこもっていて。

-今回はあなたがメインで彼がサイドでしたが、サイドとしての歌い方も心得ていそうな感じですね。

そうだね。独特のサウンドを持っていることは間違いない。