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INTERVIEW

HIBRIA

2018.03.12UPDATE

2018年03月号掲載

HIBRIA

Member:Abel Camargo(Gt)

Interviewer:山本 真由

ブラジルが誇る正統派パワー・メタル・バンド HIBRIAが、ニュー・アルバム『Moving Ground』をリリースした。原点回帰とも言える攻撃性と直球なメタル・サウンドに、グルーヴ感、仏教的精神世界という要素も加わり、バンドの更なる進化を感じさせる作品だ。"LOUD PARK"出演を始め、数多くの来日経験を持ち、そのライヴ・パフォーマンスにも定評のある彼らだけに、思い入れのあるメタル・ファンはここ日本にも多いだろう。しかし、そんな彼らは今、バンドとして転機を迎えている。素晴らしい新作を完成させたにもかかわらず、今作を最後にAbel Camargo(Gt)以外のメンバーが全員脱退してしまったのだ。今回のインタビューでは、新作についてはもちろん、そんなバンドの今後やこれまでのメンバーに対する想いなど、唯一のオリジナル・メンバーとなったAbelに詳しく語ってもらった。

-まずはニュー・アルバム『Moving Ground』の完成、おめでとうございます。できあがっての率直な感想を聞かせてください。

どうもありがとう! まず、日本で日本のファンと触れあうのは俺にとってとても嬉しいことなんだ。日本のオーディエンスが、俺と同じく『Moving Ground』を気に入ってくれることを望んでいるよ。HIBRIAのキャリアの中でも素晴らしい作品になるよう、このアルバムで俺たちはやれるだけのことをやったし、そうなったとも思っているんだ。

-今作は、非常にアグレッシヴで勢いのある作品に仕上がっていますが、残念ながら今回のメンバーでのリリースは最後となってしまうんですよね。メンバー脱退の経緯について、詳しく教えていただけますか?

そのとおり。『Moving Ground』はエネルギーでいっぱいの非常に攻撃的なアルバムだ。脱退するメンバーにはそれぞれ理由がある......そして俺は、彼らの決めたことを尊重することにしたんだ。Iuri(Sanson/Vo)は2017年の頭に、個人的な事情、それからビジネス上の都合でバンドをやめると宣言したが、その年の終わりまでは一緒にいるとも言ったんだ。そして、同じく2017年の中ごろに、Eduardo Baldo(Dr)が、ロサンゼルスの音楽学校で勉強するためにアメリカに引っ越す、だからHIBRIAもやめると話してきた。それから、Ivan Beck(Ba)は、ポルトガルの大学でジャズの修士号を得るために、脱退するメンバーに加わった。最後にチームを去ると宣言したのはRenato Osorio(Gt)で、彼は音楽プロデュースに集中したがっていたし、ソロ・プロジェクトの作業もしていたんだ。俺については、残された唯一のオリジナル・メンバー(もともとベーシストだったMarco Panichiと俺がHIBRIAを結成したんだ)として、フレッシュで新しいラインナップでこのままロックを続けていきたいと願っている。というのは、HIBRIAには世界中のメタル・ファンに提示できるものがまだまだたくさんあると信じているからね。

-メンバーの脱退は、アルバム制作を開始する段階で決まっていたことなのでしょうか?

今作『Moving Ground』の作曲を始めてからバンドを脱退すると明かしたんだ。


人生を支配することはできない。俺たちはそれが続く限りその出来事を楽しみ、もしそれがなくなっても、感謝して、微笑んで、前進し続けるんだ


-今作は作品全体を通して、怒りや攻撃性が感じられる一方、哀愁を漂わせたようなパートもありますが、今作にはどのようなテーマやメッセージがあるのでしょうか?

『Moving Ground』は、仏教の基本的な3つの教義のひとつ、"諸行無常"をテーマとしている。地面が常に動いているように、俺たちもいつも動いている。人生を支配することはできない。最善は尽くせるが、俺たちの目標が達成するかどうかはわからない。俺たちは何か出来事が続く限りその出来事を楽しみ、もしそれがなくなっても、感謝して、微笑んで、前進し続けるんだ。

-また、今作は原点回帰とも言えるような、ストレートで疾走感のあるパワー・メタルを主軸としながらも、多彩なアレンジでそれぞれのプレイヤーの技巧が光る作品となっていますね。リスナーにはどんなふうにこの作品を楽しんでもらいたいと思っていますか?

深呼吸をして音楽を楽しんでほしい。新鮮な新しい道として、音の、メロディのひとつひとつに耳を傾けてほしい。

-Track.1「Moving Ground」から、非常に存在感のあるベースをプレイしているIvanにとっては、初めて参加するHIBRIAのフル・アルバムになりますが、彼の存在は作品にどのような影響を与えましたか?

Ivanの音楽的背景はジャズなんだ。彼は曲にクールなジャズのアレンジを加えたし、ベース・ラインはスウィングでいっぱいだ。

-また、今作もテクニカルなギター・パートが実に華やかですが、あなたとRenatoはどのように役割を分担しているのでしょうか?

ギター・チームに代わってお礼を言うよ! 作曲を始めたギタリストが曲のコンセプトをまとめ、もうひとりのギタリストがさらに作曲のうえで必要なものを提供するんだ。

以前のインタビュー(※2009年12月公開)で、オリジナル・メンバーのIuri SansonやDiego Kasper(Gt)が、"ライヴでのインプロバイズ(即興)はしない。レコーディングの演奏や歌唱を忠実に再現するように心掛けている"というような話をしてくれました。今作の演奏で特に難しかったところや、ライヴでの表現を意識した点などはありますか?

たくさん研究する必要がある高速トラックやテクニカルなパートはあるが、"苦は楽の種"ということだ。俺たちはエネルギーと情熱でいっぱいのCDをリリースできてとても嬉しく思っている。俺たちにとってはこれが一番大切なことだ。俺たちの曲はライヴで演奏するために作曲されている。だから俺たちがやることのすべてがこのライヴ感覚に基づいているんだ。

-今作の日本盤ボーナス・トラック「Reset My Brain」は、タイトルからも今後への希望を感じさせる楽曲ですね。ライヴの盛り上がりどころを集めたような高揚感のある楽曲ですが、この楽曲をボーナス・トラックに選んだ理由は?

この曲だけでなく、アルバムを通じて未来への希望があるんだ。でもこの曲は、他の曲とはムードが異なる。トラック・リストに入れるよりも、ボーナス・トラックとした方がうまくいくと思ったんだ。

-そして、アルバムのタイトル・トラックでもある「Moving Ground」のミュージック・ビデオが公開されましたが、不思議な儀式を描いたあの映像は、どなたのアイディアですか?

このアイディアは、若返りに関係するこの曲の歌詞に基づいた、ミュージック・ビデオの監督によるものだ。俺たちが若かったころは、望みはただ前進することだけだった。だからこの感覚を保つことは、頭に入れておくととてもクールなものなんだ。