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INTERVIEW

RIZE

2017.02.28UPDATE

2017年03月号掲載

RIZE

Member:KenKen(Ba)

Interviewer:吉羽 さおり

-ここで今回のシングルが出ることで、ロック・バンドがやるラップであったり、ミクスチャー・ロックというものを見せられるのでは。

「SILVER」はある種すごくシンプルというか、わりとポップな作りなので、それが入り口になってくれたらいいのかなとは思いますね。これを手に取って、「ONE SHOT」で"このグルーヴかっこいいぞ"となって、「日本刀」で斬られるっていうね。行きはヨイヨイ、帰りは怖いスタイルのCDです。

-RIZEというバンドはいい意味で変わらない部分があって、それを磨き続けている。それができるのはなぜだと思いますか。

みんなが個々で好きなことをやってるから、RIZEとして何をやるかみたいなところは、みんなの中にどんどん明確にできてきているんじゃないかなと思うんです。みんな曲が作れるし、みんなでも曲が作れるし。いいときに、適材適所な感じでやれてるんです。今回も"銀魂"が好きすぎて、ここまで話が進んだりとか。あっくんもバスケが好きすぎて、「ONE SHOT」ができたりとか。人より詳しいと仕事になる、みたいなもので。

-20周年ということで、この春と秋とでツアーが決定してますね。今年はたっぷりと活動をしようという感じですか。

そうですね。今年こんなに長いツアーをやって、来年ちゃんとライヴやるのかなっていう感じですよね(笑)。半分ずつとかにすればいいのにと思いますけど、20周年記念の活動は、ちゃんとやっておいた方がいいと思ってるので。新曲もいい感じにできあがってきているし、またいいものが出せればと思います。これを今年だけで終わらせようとせずに、新しい一歩として、どう盛り上げられるかという方向にシフトした方が、バンド的には健康的なのかなと思いますね。

-そうですね。

好きなことはソロでやればいいし、RIZEで揃ったときは、俺とあっくんとJESSEがお互いを尊重しつつ、全力でやれば勝手にRIZEらしくなると思うし。それが20年ということなんだと思います。やっと、RIZEというものの形が明確になりだしたんじゃないですかね。特に、ライヴがすごくいいので。

-今の子たちが触れて、新鮮さや衝撃を感じてくれればいいですね。

俺らにとっては普通だけど、20年という時間は1周するよね。結成した年に生まれた子が二十歳になるってことだから。今盛り上がってる音楽も、もうすぐ収束を迎えるんじゃないかっていう空気を感じてるんだけど、そのときに、演奏力もそうだけど、グルーヴがあって、ファンキーで跳ねることができて、しかもロックできる人が、どのくらい出てくるかも楽しみですし。今の10代の子たちは奔放に音楽を楽しめているから、新しいマインドの子もそろそろ出てくるんじゃないかなと思うんです。まぁ、RIZEみたいなギンギンに尖った子はもう出てこないのかなと思ってるけど。

-このハングリーさはないですかね。

ゴリゴリの感じというかね(笑)。そのころは世の中にこういう文化やサウンド自体があまり認知されていなかったし、もうちょっとストリート寄りだったからこそ、俺らは燃えたこともあるし。当時からこんなにみんながバンドをやってたら、俺らはやっていなかったかもしれないしね。ずっと、"俺らがやるしかないでしょう"くらいの空気だったから。

-KenKenさん自身としては、この20年はどういうものでしたか。

SiMは同年代だし、ONE OK ROCKも年は変わらないんだけど、俺はスタートが早かったので(笑)。そのぶんひとつ上の世代にいるから、俺はどっちに分類されるんだろう? というか。昔はYouTubeもニコ動もなかったからさ、ライヴハウスに出るってことしか、人前に出られる手段はなかったし。俺が14~15歳のときは、今みたいに10代に優しくは全然なかった。年齢だけで判断されることがすごくあったんですよね。でも、年齢で判断せずに、"演奏いいじゃん、やろうよ"って言ってくれた大人もいっぱいいて、その両極端を味わったから。

-そうだったんですね。

そういう意味では、超ハングリーだったと思う。ステージに立つために山ほどバンドやってたし。当時は、ひとりでひとつのバンドしかやっちゃいけないという謎のセオリーがあって。でも、そういうなかで、"あいつベースめっちゃいいけど、誘えばやってくれるよ"っていう新たなポジションにいたから、いろんなバンドが呼んでくれた。RIZEやDragon Ashのように、ベースがいなくなってしまって、止まりそうな空気を感じたらすぐに"やるやるやる!"って手を挙げたりね。そういう役目を持って動いたのが、俺の10代から20代だったんです。俺自身、始めたころはベース・シーンを切り拓くことしか考えてなかったからね。そのころはまず、"ベース・ヒーロー"という言葉がなかったし。小学校3年生のときにLAのロック・バンドを見て、ベース・ヒーローたちに憧れたときに、日本では見たいと思うベーシストがいなかった。YKZの田中秀基とか、山嵐武史君とか、MAD(上田)剛士君とか、ストリートの哲学でやっているかっこいい人はいたんだけど、メインストリームで、ベースを知らなくても"ベースといえばこの人"って名前が出てくるようなものをどう作っていくかを、ずっと考えて動いていたから。やっとね、今は小さい子もベースを始められるような環境になったと思うし、ベースがイケイケで攻めても、不思議に思われないところまで来たので。このために結構な時間を使ったなという感じ。やってることは、10代から変わらないんだけどね。30くらいになるまでに時間がかかっちゃったなと。今の子たちが伸び伸びやれるのはいいことだと思うし。自分が草の根を刈って、そこの広場で子供が遊べるなら素晴らしいことだと思うしね。負けないけど。

-まだ道は譲れませんよね。

うん、ぶっ潰すけどね(笑)。