INTERVIEW
RIZE
2017.02.28UPDATE
2017年03月号掲載
Member:KenKen(Ba)
Interviewer:吉羽 さおり
-ちなみに今回、3曲収録されていますが、曲ごとにスタジオは変えているんですか。
同じ日に録ったかな。俺とあっくん(金子ノブアキ/Dr)は毎回、ほとんど1テイクくらいしかやらないので。今回のも、ドラムとベースに関してはサウンド・チェックでやった1回目のテイクなんです。ほぼ録り直しなしで、"これでいいんじゃない?"っていう(笑)。
-あっという間に終わりそうですね(笑)。
この間も6時間で、5曲くらい録れたりしてますからね。俺とあっくんはいつもそんな感じなんです。最近のバンドだと、みんな変にきれいに直しちゃったり、全部クリックに合わせちゃったりするから。個々のバンドの本当のグルーヴが、音源だとすごく見えづらいところがあるというか、みんな一緒のグルーヴになっている。そういうのって、すごくもったいないなと思っていて。よほど間違えたら直すけど、俺らはほぼ直さずに入れてます。
-「ONE SHOT」(Track.2)もそうですよね?
これも、"ワンショット(=一発録り)"で録りました(笑)。それができなかったら、ライヴでもできないってことだからね。音源が良いのに、ライヴが良くないバンドもいっぱいいるし。逆に、ライヴが良いのに音源が良くないバンドもいる。大事なのは、そこのバランスだよね。
今、誰がこういうファンキーなロックをこんだけ上手くできるかって、俺らは思っている
-「ONE SHOT」は、バラして録ったり修正してしまったりしては、このグルーヴが成り立たないという曲の最たる例です。
そうなんだよね。こういうのは十八番なので(笑)。
-まさにそうだと思いますね。RIZEならではの、90年代ミクスチャーの薫りもふんだんにある曲で、個人的にはグッときますが、きっと今は新鮮にも響く曲かもしれませんね。
この跳ね方は今、誰がこういうファンキーなロックをこんだけ上手くできるだろうっていうのも、俺らは思っているし。今、90年代の感じがまたキッズたちに戻ってきているっぽいし。この90年代あたりのノリって、やっぱり抜群にかっこいいんだよね。
-ミクスチャー黎明期の熱量や、様々なジャンル、ビートを混ぜて新しいものを生み出そうという風潮、いびつだったり、異物感があったりするものもたくさんあったころでしたね。
この5~6年、四つ打ちブームになったけど、あれは単純に踊りやすいとかわかりやすいとかっていう感じで、みんなが同じようになっちゃって。お客さんの感じも変わったなと思いますよね。フェスとかでもそうだけど、みんな同じノり方をしているというか。決まったところで決まった動きをして──"決まった何かをするっていうのがイヤだから、俺たちはロックをやっているんだけど"みたいなところで温度差がある。ミュージシャンが、ちゃんとお客さんを育てなきゃいけないと思うしね。そういうところが、すごく疎かな時期なのかな、ってこの5~6年は肌で感じていたんです。昨今は、バンドとアイドルの垣根もあまりないですしね。お互いが寄り添い合っていってる時代だと思うんですけど。俺は、ジャンルをはっきり分けろとは言わないけど、"餅は餅屋じゃん"っていうところがすごくあって。ガールズ・バンドも増えてきたけど、SUPER JUNKY MONKEYみたいなバンドが出てこないっていうかさ。
-あぁ、それはたしかにそうですね。
あれが"ギャルバン"じゃん、イメージ的にはね。最近はなんか、ちょっと楽器が上手いアイドルの子たちがやってる音楽の延長に感じるというか。かわいくないとダメみたいな見た目優先の空気がある。それって音楽なのかな、と考えることもよくあるし。もっと本質的なところを見ればいいのになって思うことも最近はある。キッズはいろんなところを見てるからね。そこで、ちゃんとしたものを拾わせてあげられる何かを出していかないとなと思ってるんです。俺らは、昔から何にも媚びずに、音楽を信じてやってきたタイプで。そういうチームが勝つ時代がまた来るんじゃないかなと思う。20周年を迎えるバンドも意外と多いし、やっぱり音楽をやめてない人たちが評価されているしね。続いている理由もあると思う。
-ここまでバンドとして何を譲らずにやってきたかを、いかに見せるかが大事になってきそうですね。
そうですね。特に俺らは、外国人に憧れて、外国人を倒すつもりでやってるバンドだったりするので。日本のバンドで痺れたのはTHE MAD CAPSULE MARKETSとか、BACK DROP BOMBとか、山嵐とかで、イケてた日本のバンドはすごく少なかったし。ちゃんとそのへんの空気を知ってる人間が、何をやるかがすごく大事な時期なのかなって思います。
-そのあたりのバンドは、いい怒りを持って音楽をやってましたしね。
ほんとに。ここまで一般的に、誰でもバンドをやれるようになるとは思ってなかったから。目の前のものにすごく憧れて、目の前の成功だけを掴んで喜ぶ感覚があるけれど、もうちょっとワールドワイドに見たらいいのになとも思うんです。もっと、攻めればいいのにと。
-そういうことって、バンド内で話すこともあるんですか。
どうだろう。たまにそういう話にもなるけど、個々にモヤモヤしてるところはあるんだろうね。
-また今回は、3曲目に「日本刀」(2001年リリースの2ndアルバム『FOREPLAY』収録曲)のSTUDIO LIVE ver.を収録しました。
お客さんがいてこその"ライヴ"なので、スタジオ・ライヴっていうのはテンション的に難しいんだけども、これも一発録りでバチッとやったものだけでいいんじゃないっていう感覚ですね。オリジナルの音源は俺がまだベースをやってないころのものだし、当時と比べるとチューニングも半音下がっているんです。もともと、再録系はいつかやりたいという話はあったんですけど。"銀魂"のタイアップが決まって、RIZEには「日本刀」って曲があるじゃないかって話になって。まだ、MVもジャケのデザインも決まってない状態だったんだけど、「日本刀」が自然とハマッたよね。
-考えてみれば、この初期の曲が今もライヴの定番曲としてあるのはすごいことですね。
やっぱり同じことやっても以前より説得力は増したというか。ふたり(JESSE、金子ノブアキ)が16~17歳のときに作った曲を未だに全力でやれるってのは、一番大事なとこがブレてないってことだからね。当時から、ちょっと子供っぽい言い回しでも、言っていることは間違いなかったりすると思うし。「カミナリ」や「Why I'm Me」(共に2000年リリースのシングル表題曲)とかも、もう20年近く経つんだなと思うと、そりゃ世の中も変わってくるよなって気がします。
-RIZEのデビュー時は衝撃的でしたね。日本にもこういうバンドがいるんだというのもそうでしたし、若さゆえの凄まじいパワーもあった。
ね。みんながラップするような時代がくるとは思ってなかった。アイドルもラップするとかね(笑)。ただ、最近はラップの概念が、一段階チープになったなと思うんです。16分で言葉の羅列で、別に韻も踏んでないけど、ラップっぽいイメージだったり、とりあえずCMでラップさせとけ、みたいな感じだったりとか。
-J-POPでラップするというのは90年代の初めによくありましたね。
そうそう(笑)。そういう感覚で、"この空気、なんか知ってるぞ"って。俺が小学校1年生くらいのときのやつだこれ、っていうか。ちょうど25年くらい前の感覚ですよね。