MENU バンドTシャツ

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

ALL OFF

2016.12.20UPDATE

2016年12月号掲載

ALL OFF

Member:so-hey(Vo)

Interviewer:吉羽 さおり

"あのときこれを誰かが言ってくれたら俺、救われたよな"っていう言葉を誰かに届けてあげたい

-今、so-heyさんの中で、望むバンドの形、バンド像が変化してきているようですね。

僕らが最初にやりたかったこと、結成した当初ってどんな気持ちだったかなっていうのを思い出しましたね。最初は、何をやってもお客さんがノってくれなかったんです。それはずっとコンプレックスで。どうしたらライヴが盛り上がるんだ? っていうところから、最近までの流れがあるんですよ。でも今振り返ってみると、それだけじゃなかったよねっていう。"これ、めちゃくちゃカッコよくない?"、"これめちゃくちゃいい曲でしょ?"って、心から言えることを表現したかったんだっていうことに気づいたというか。当時は技術やソングライティングの拙さでできなかったことが、今はできる自信があるので。円を描いてもとに戻った感じではなくて、渦巻きをデカくしているような感覚なんです。昔やりたかったことが、もっとでかい円でやれるというか。

-なるほど。

どれだけ心まで届けられるんだ? というテーマがバンドの中にあるんです。

-歌詞がより重要になってきますね。そこではより自分自身と対峙するようになったんですか。

そうですね。「Yeah!!」のような"ただただ楽しい!"という感じの曲もあるんですけど、一貫しているのは、ひとりぼっちの人に寄り添っていたいなという気持ちなんです。それは、デビュー当時から変わっていないんですよね。僕は今まで、ずっと底辺というか、見返してやるみたいな感じの気持ちが常にあって。

-上ばかり見ているような?

本当はそんなことないんでしょうけどね。恵まれている部分もたくさんあるんですけど。人生経験的に、中学時代はずっといじめられていたり、昔付き合っていた人にひどい裏切りをされたり。幼少期にアメリカにいたときも、家の事情で友達の家をたらい回しにされたりして。どこかにずっと拭い去れない孤独感があったんですね。ある意味、自分を癒したいという思いを音楽に託しているというか。同じような思いをしている人や負けて落ち込んでいる人に、最後に寄り添っていられる優しい音楽でありたい。そういう気持ちでずっと音楽を作っているんですよ。歌詞に関しては、今回は自分の昔の経験をより思い出して。聴く人の本当の心のサウンドトラックみたいなものになれたらなっていう。それがどんどん広がってくれたら、一番幸せな形かなって思って歌詞を書きました。

-ヘヴィなリフやラウドな曲もあるけれど、ダークじゃないのはそこなんですかね。

そうですね。誰かを恨んだり、怒ったりと、攻撃的な感情になることが僕はほとんどないんです。かっこいいロック・バンドで、そういう感情を発散するバンドもいるじゃないですか。でも僕はそういうのではなくて、どこかいつも泣いていて。いじめられっ子の立場じゃないけど、本当はやり返したいし、言いたいことはいっぱいある、でも言えない、人を傷つけたくないみたいな。そういう弱っちい部分があるので(笑)。それが、自然に出ちゃっているのかなっていうのはありますね。

-そういう自分のヒーローみたいな曲なんでしょうね。

あのとき、誰かに言ってほしかった言葉というか。これを誰かが言ってくれたら俺、救われたよなっていう言葉を誰かに届けてあげたいという感覚ですね。

-自分が音楽を作るようになって、そういうことができるようになりましたが、それ以前の自分は、その心に寄り添うものを見つけていたんですか。

いろんな曲を聴いていましたけど、すっごく落ち込んだときに何を聴いてたかなって今思い返すと、攻撃的な曲は全然聴く気になれなくて。ひとりでずっと泣いているようなときって、どこかあったかくて、そっと側にいてくれるような曲が、僕は救われたなって思うんですよ。だから自分でやるとしたら、迷いなくそういう感じなんだろうなって思いますね。

-自分自身が、当時よく聴いていた印象深い曲はありますか。

アメリカにTHE ATARISというポップ・パンク・バンドがいるんですけど、このバンドの書く歌詞って、すごく人間味に溢れてるんですよ。他のパンク・バンドのやんちゃな感じとは違って、傷を抱えているのが目に見えるような歌詞なんですけど、すごくあったかくて。その人の曲には救われましたね。あと、ジャンルは違うんですが、LIFEHOUSEの歌詞も自分を肯定してくれるような、温もりに満ちた歌詞だったんですよ。そういうあったかさが、僕らが届けたいことのひとつですね。

-傷を知っているからこそ書ける曲ですね。それはこのアルバムで、自分たちでも形にできた実感はありますか。

そうですね。今回はサウンドも歌詞も、自分たちができるベストで結びついたかなという実感はあります。