INTERVIEW
ALL OFF
2016.12.20UPDATE
2016年12月号掲載
Member:so-hey(Vo)
Interviewer:吉羽 さおり
-まさに、アルバム作りのいいムードやノリのなかでできた曲ですね。シングル曲も、好きなことをやろうという曲も収録されましたが、1枚のアルバムとしてイメージしていた作品像はあったんですか。
シングル3曲と、『One More Chance!!』のカップリングだった「Yeah!!」(Track.4)を入れることを決めた時点で、バラエティに富んだ内容になるなと思っていたんです。それを他の曲で、無理に方向性を合わせようとするのではなく、今まで僕らがやってきた多様な音楽性を思い切り詰め込んでいこうと。その結果、最初から最後まで何度でも聴きたくなるようなアルバムにしたいと思ってました。
-「Yeah!!」はまさに、このバンドのキャッチーさや、シンガロング感が入ったライヴでテッパンとなる曲です。そして次のTrack.5「Don't Worry」はまた全然違った、キラキラとしたエモっぽい曲で。こういった曲も、バンドの得意なところでもあるんですか。
今回のテーマのひとつに、"楽器陣のスケールの広がりを見せる"というのがあったんです。今まではストレートな曲が多かったんですけど、結成当初から、どこまでも広がっていくようなサウンドがやりたかったんですよ。今回はやっとそこにいけたというか。「In Shadows」もそうなんですけど、「Don't Worry」もそういうマインドでできた曲ではありますね。
-「Don't Worry」のサウンド・キーワードはなんだったんでしょうか。
この曲は、最初にメロディができあがったんです。これはいいメロができたなと思っていて。そのとき閃いたのが、QUEENの「We Will Rock You」(1977年リリースの6thアルバム『News Of The World』収録曲)みたいな、ストンプとクラップで、ちょっと練習すればみんなが遊べる曲をやりたいなというのがあったんですね。で、僕はずっとライヴでツーステップを踏んだりしているんですけど。今回は踊らなくても、足と手でできるようなラインを狙って。ライヴで、みんなで遊べる新しい形を提示したいなっていうのと、必要最低限のサウンドで、シンプルな形の楽曲構成にしたいなと思っていましたね。結構、音を重ねてしまうクセがあるので、今回は"音を引っこ抜く"ことを徹底してやりたいなと思っていました。
-ひとつひとつの楽器の音が際立つ空間的なサウンドにもなっていますね。曲作りでは、そんなふうに具体的なバンド名や、あの当時のあの音だとかいう言葉は飛び交うんですか。
今回の場合はそうやって伝えないと伝わらないなと思ったので、その曲を例に出したんですけど、普段は具体的なワードをあえて出さないように意識してます。"こういう感じで"というのを僕が抽象的な言葉で説明するんですけど、なかなか伝わりづらいので、試行錯誤しながら作っては捨て、作っては捨ての繰り返してやってるんですよ。遠回りな方法ではあるかもしれないんですけど、"誰々っぽい感じで"とやっちゃうと、その人たちを超えられないと思うので。
-アルバム前半の大きなスケール感やアッパーな感じから、後半はミディアムな曲も増えていきます。例えば「Sorry」(Track.6)なども印象的で、ピアノやストリングスが入った美しい曲ですが、どんなイメージで作り上げていったんですか。
最初に頭の中で鳴っていたものがまさに今アルバムに収録されている音そのままなので。これは僕のイメージのまんま、具現化できた感じですね。
-ちなみにこの「Sorry」と、その次にくる「Burn To Ashes」(Track.7)は内容的にアンサー・ソングになっているんですか?
それは意識してなくて、たまたまそうなっているんです。
-そうなんですか? 「Sorry」が男性目線から、「Burn To Ashes」が女性目線から歌ったラヴ・ソングで、それぞれの視点から歌い合っているような曲だと思ってました(笑)。しかも、これは"想いはすれ違うよね"っていうラヴ・ソングになっているというか。
(笑)それもきっと、聴く人によって違うんだろうなと思うんです。そう捉える人もいるだろうし、という。これは、まったく意図していなくて結果的に面白くなったんですよね。曲の並びも歌詞の内容がというよりは、単純に気持ちのいい流れで、何度も聴きたくなる順番を意識しただけなので、偶然の産物なんです。
-そうでしたか。先ほどから出ている、何回も聴ける作品にということでは、サウンドの引き算が重要になっていきますね。その点は、だいぶ意識的にやっていったんですか。
今まで重ねるクセがあったんですよね。しかもメンバー5人いて、みんなエゴが強いので。今回も制作中にそうなりかけたこともあったんですけど、ここはあえてシンプルにいこう、音を抜いてただ立っているだけでも表現だからという話をしたんです。自分の音が鳴っていない部分も、表現のひとつと思える大切さというか。そういう話をして、徐々に引き算を学んでいったというか。少し大人になったかなという気はしますね。
-そういったサウンド面での、バランスを見る役割は誰がやっているんですか。
基本的には僕ですね。僕は楽器がどれも得意ではないので、プレイヤーという感じではないんです。常に、視点がリスナーなんですよね。いちリスナーとして自分たちの曲を聴いて、"これはごちゃごちゃしてる"、"グッとこない"とかを正直に伝えて、変えていくんです。いい意味でも悪い意味でも僕はミーハーで、キャッチーなものが大好きですし、流行ってるものも聴くので、一般のリスナーが聴いてどう思うかというのは、常に考えていますね。
-結構難しいことですね、その客観性を保っていくのって。
そうですね。逆に、自分の声や歌詞については客観的に見れないんですよ。そこは周りのスタッフなりメンバーに聞いて、"どう思う?"っていう感じで意見交換しています。