INTERVIEW
THE Hitch Lowke
2016.03.08UPDATE
2016年03月号掲載
Member:星☆拓也(Vo) 樋谷 剛志(Gt) 濱崎 雄司(Gt) 城山 貴也(Ba) 瀧石 光(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-音源としては久々のミニ・アルバム『ロッシュの限界』がリリースされますが、まずはバンドのことについて、おうかがいしたいと思います。ラウドでありつつも、ヒネりのある遊びがきいたサウンドで、なおかつ、メロディのキャッチーさが際立つバンドですが、もともとどんなバンドをやろうと思っていたんですか。
星:歌謡曲ベースのものをやりたかったんです。メロディが歌謡曲で、バックのサウンドが激しいようなバンドですね。やり始めた当時はそれが新しいなと思ってやってたんですけど、気づいたら10年くらい経ってそれも古くなってもうたという(笑)。
一同:(笑)
星:でも今また、上の世代の方には、歌謡曲的な良さというか――サウンドというよりはメロディに親しんでくれる方がいらっしゃるので、それは嬉しいなと思っています。
樋谷:ちょうど結成したころは、1人がラップ、1人がメロディを歌うヴォーカルがいるバンドで溢れかえっていた時代で。まあ、それはやめようぜという意識はあったかな。
星:ちょうど2000年ごろですよね。まだ前のバンドをやっていたときで、当時よく激ロックDJパーティーに行ってたんです。あのころは、周りにLINKIN PARKのようなバンドしかおらんくなって。みんな、ちょっとヴォーカルが歌って語尾を伸ばして、そこにラップが乗るっていう曲ばかりになっていったので、これはいかんなと。
樋谷:ほんまに溢れかえってたな。それで歌謡曲ベースの、メロディを軸にしたロック・バンドをやりたいなっていう気持ちになって。
星:J-POPとか、根底にある歌謡曲的なものと、2000年ごろから流行り始めていた重い音楽をミックスさせたいなと。
-星さんの歌謡曲のルーツというと、どのあたりになるんですか?
星:小林 旭さんとかね。
-だいぶ渋いところですね(笑)。
星:そうなんですよ。親が若いころに聴いていた曲をよく聴かされていたので。あと僕はリフが好きなんですけど、ラウド系の音楽にしてもリフが基本的にマイナー・コードが多いじゃないですか。歌謡曲や昔の曲は、EmとかAmとかマイナーなコードが多いので、結構合うんですよね。ラウドなロック・リフと、歌謡曲の切ないマイナー調のメロディが、意外とガチャンと噛み合ったので、"これ、いけるで!"って思ってね。当時は"最先端やな"って感覚があったんですけど、そのあとみんなやり始めたんですよね。
-樋谷さんはラウドなもののルーツっていうと、どういうものになりますか?
樋谷:僕個人としてはギターをやっていたので、高校生のころみんながHi-STANDARDを聴いていたときも、METALLICAを聴いていたような人間だったんですけど。LINKIN PARKとかの世代でもあったので、その時代に出てきたバンドは聴きましたね。
星:激ロックのDJイベントではいろんな音楽の情報をいっぱい仕入れましたね。当時、俺の周りは誰も知らんような音楽が流れていたから、すごくよかったんですよ。曲が流れている横にスクリーンがあって、バンドの映像も出てるんですけど、みんながワーっと盛り上がってるときに、俺は一生懸命に――
樋谷:メモるっていうね。
星:でも、周りが盛り上がってるから、うろ覚えやねんけどね。だいたい2文字くらい間違ってるんですよ。CD屋行って、"スポートってあります?"、"いや、ないな"って、よう調べたらSPARTAやったみたいな。
樋谷:あるある、ラジオとかその場でしか聴けへん名前って、まず1回で覚えられないですよね。
-今でこそいろんな検索のアプリでタイトルもバンドも調べられて便利ですけどね。
樋谷:当時なかったですからね。
星:"タルルートありますか?"ってCD屋で聞いたら、"それは本屋さん行ってもらえます?"って言われて。いや、たしかタルルートやったなと思ってたら、TAPROOTやったという話がありまして(笑)。でも、必死でしたよね。激ロックDJパーティーは今で言うところのGoogleに近いイベントですよ(笑)。ムラオカさんのDJやイベントのおかげで誰も知らないような情報を知ることができたので。だから、今バンドやってはる人らの、シーンを作った人やなと思いますよ。
-そうやっていろんなバンドを聴いて、その中でも今までにないものを自分たちのバンドではやっていこうと?
星:そうですね。ネイティヴな英語で歌ってるほんまもんに勝てへんと思ったんですよね。まったく洋楽に寄ってしまうと本物ではないなと。じゃあ、ネイティヴである日本語で勝負しようってところに落ち着きましたね。
樋谷:歌詞書くのも時間がかかりそうやしな、英語だと。
星:日本語英語が好きなんですよね。"フォーエバー"とか。カタカナ英語がものすごく好きで、そこに可能性も感じてる。だから、日本人がよく使うような聴き馴染みのある、日本語英語も使ってね。
樋谷:"ルー大柴"的なやつですね。
星:それを混ぜてやろうと。