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INTERVIEW

exist†trace

2016.03.15UPDATE

2016年03月号掲載

exist†trace

Member:ジョウ(Vo) miko(Gt/Vo) 猶人(Ba)

Interviewer:米沢 彰

-"ライヴが1番"というのは感覚的にはわかるんですけど、具体的にはどういうところが難しいんでしょう?

miko:何なんでしょうね(笑)。それが具体的じゃないところが、より難しいんですけど。

ジョウ:歌に関しては、ライヴのままパッケージするのも、ちょっと違うんですよね。音源なので、もうちょっと言葉を聴きやすく伝えたいなっていう意識があって。「THIS IS NOW」を1回ライヴみたいに歌ってみたんですけど、何かが違ったんです。どこか変っていうか......。

miko:頑張ってる感が出ちゃって。

ジョウ:それでこれは違うということになって。もちろん大人しく歌ったつもりはないんですけど、ライヴとは違う雰囲気で録るべきだなと思って。でも、2015年12月にやったワンマン・ライヴのときの熱を心に持ったまま音源で聴いても、みんなが納得できるものをパッケージ出来たと思っています。

猶人:ライヴのような勢いだけだと、たしかにきれいに音が出ないことはあるんですけど、あんまり意識とか気持ちの変化はなく、テンション的にもライヴのままいけたかなと。実は、ライヴでも泣きそうになりながら弾いてる曲なので、レコーディング中も泣きそうになってたっていう。

miko:ミックスもまた難しいんですよね。ライヴの迫力や低音のガツンとくる感じを求めすぎちゃうと......1曲目っていうのもあるし、他の曲とのバランスもおかしなことになってくるので。でも、なんとなく行きすぎた迫力みたいなものも欲しいし、作品としてもきれいにまとめたい......そのせめぎあいの中、悩みながらもちょうどいいところに落ち着けたかなと思います。あと、リズム隊の音やプレイがすごく安定したのも今回うまくいった要因かなと。お疲れ様です(笑)!

猶人:お疲れ様です(笑)!

miko:だから、ギターとか歌はそのリズムの上で自由にできたんじゃないかと思いますね。

猶人:レコーディング中はいつも、ほぼドラムしか聴かずに録ってるんですけど気持ちの問題なのか、自然とドラム以外の音も耳に入っていて。感覚的な話になるんですが、レコーディングのときはドラムの音しか聴こえていないんですけど、ベースの音とドラムの音が重なって、自然と他のパートが見えてきてたんですよね。そういう感覚が今回すごく強くて、だからうまくいったのかなと思います。

miko:歌を録るときは、自分の声をしっかり聴きながら録ることが多いんですけど、この曲に関しては、思いっきり他の音を大きくして、ライヴのような感覚で録ったんです。だから相当ライヴ感があるレコーディングでした。

-普通に考えたら、"いつもライヴでやってるから楽勝でしょ"って思うんですけど、逆に難しいんですね。作品全体としては、よりシンプルで壮大な方向へと進んでいったように感じました。今作の方向性や表現している内容など教えてください。

miko:去年の中旬に、「THIS IS NOW」ができたんですけど、ネガティヴな気持ちも含め、ちょうどバンドとして先のことを考える時期があって。メンバー同士、すごく深く話し合いつつ、迷いながら活動をしていたんです。でもその中で"やっぱりこの5人で音楽やってるってことが1番大事だよね"ってことを改めて5人で話して。やっぱり誰よりもメンバーが大事だし、この5人だからこそファンのみんながついてきてくれるし、共感してくれるところもたくさんあると思うので。そういう話し合いをして衝動的に書き下ろした「THIS IS NOW」を直後のワンマンで突然披露したんですよ。本当に"今"の感情をぶちまけるみたいにして作ったんですけど、それに私だけでなく他のメンバーもすごく共感してくれて。それこそちょっと泣きそうになりながら(笑)、"私たちの今はこれだ! 今やりたいものを信じてやるんだ!"っていう気持ちを乗せて演奏できて。それを聴いたファンも、今までにないくらいこの曲を支持してくれて。やっぱりこれが今の私たちのスタイルなんだな、と気づいてからは、バンドもすごくいい状態になりましたね。2015年の後半はみんな揃って前向きな気持ちで走れたので、この曲がバンドにとって、すごくキーポイントになりましたね。そして、いよいよCDをリリースするっていう段階で、やっぱりこの曲は外せないし、"THIS IS NOW"という言葉以上に今の私たちを表現するものはないということでタイトルにしました。他の曲も、全体のバランスを考えて作ったものはないし、乙魅の曲を含め今の私たちそれぞれの、そのときそのときの"今"を切り取って見せている、という感覚ですね。その"今"もどんどん過去になってしまうんですけど、"この5人で「今」を積み重ねた先に未来を作っていくぞ!"っていう気持ちを込めたので、改めて自分たちの決意表明が盛り込まれた作品になりましね。

-今回はかなりドラマティックになったように感じました。感情が豊かというか、いろんなものが込められているような印象を受けたんですけど、何かを狙ってというよりも、ひとつひとつの曲に対して、すべてをぶつけたというイメージでしょうか?

miko:そうですね。それこそ、歌詞の中で出てくる"君"とか"私"とか"僕"っていうのも、いろんなシチュエーションに当てはめられるけど、基本的には私たちバンドとリスナーという構図で。今まで以上にハッキリと、ライヴや聴いてくれているファンの人をすごくリアルに感じながら作れたので生々しい作品になりましたね。

-音を詰め込みすぎてないことが生身のバンドを感じさせるのかなと思いました。同期音やEDM的なアプローチだったり、機械的な音がすごく氾濫している現在の音楽シーンで、"生身でのプレイ"というのがexist†traceのテーマのひとつのように感じられるのですが、実際のところはいかがでしょうか?

猶人:あえて"こうしたい"っていうのは、特になかったんです。でもベースに関しては音作りの段階で、本当にその曲に合っていて且つそのときの直感に従ったものをストレートに出しました。いつもはエンジニアの方とすごく細かいとこまで作り込むんですけど、今回はすごくシンプルに、ポンっと出した音が合うか合わないかだけで決めたんですが、それが結果的に良かったなと思います。