MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

JAWEYE

2016.01.14UPDATE

2016年01月号掲載

JAWEYE

Member:上田 浩平(Vo/Gt) 高橋コースケ(Mp)

Interviewer:沖 さやこ

-楽曲にある肉体的な感覚は、そういう作り方も影響しているのかもしれませんね。

上田:だからある種この曲が1番"Humanizer"というコンセプトに近いのかもしれませんね。最後に合唱みたいなものが入ってるのもそうなんだけど、壮大なものを作りたかったんですよ。音楽の非日常感というか......音楽を聴きながら歩いていて自分の世界が広がっていくイメージを表現したくて。なおかつ冬にフォーカスして、この季節にこういうシチュエーションで聴いてこそ効果を最大限に発揮する曲にしたかったんです。冬の冷たい風が吹いているイメージありきで全部考えていったんですよね。

-都会的な雰囲気があるので、夜の東京でひとり歩きながら聴きたい曲でした。

上田:俺のイメージではね、この曲の主人公は駅から徒歩15分くらいのところに家を借りてるんですよ。

高橋:(笑)

上田:それで始発で帰ってきてるんですよね。だからまだ日が出てなくて暗くて白い感じの時間で、超寒くて超歩きたくない!みたいな状況の歌詞ですね。この歌詞を書いてたのは真夏ですけど(笑)! でも冬に書いてたらリアルな冬に引っ張られちゃうところがあると思うので、冬の朝に対するリアリティがない状況で書いたのが良かったなとは思っていて。晴れてるんだけどすげえ寒くて、息が白くて、やさぐれて徒歩15分の家に帰っていく。でも歩いているうちにどんどん楽しくなってきちゃう......みたいな。想像するしかなかったからシチュエーションもいろいろ浮かんできて。

-たしかに非現実感がありますよね。ロマンチックな夢の中のような。

上田:僕、朝が好きなんですよ。僕らはいつも夜中スタジオに入るんで、帰るのが明け方なんですよね。冬の朝の帰り道って何か起こるんじゃないかな......って気がするんですよね。だいたい"気がする"だけなんですけど(笑)、朝は自分の気持ちとかいろんなものをリセットしてくれるなと思って。何か新しいことが始まってるんじゃないか、という期待感があるんです。空を見ているのが好きで。空に自分の状況とかを照らし合わせたりして、そこにインスパイアされることが多いんです。

-「Singin' in the rain」にも"明けない夜もありはしない"という歌詞がありますから、上田さんのそういう考えや好きという気持ちが素直に反映されているのでしょうね。

上田:そうかもしれないですね。そういう情景を見て自分が思った気持ちをそのまま書いている曲が多いかもしれない。

-高橋さんといういいトラックメイカーもいらっしゃいますから、そこからのインスパイアもあるでしょうし。

上田:そうなんすよ! いい曲作ってくるからいい歌詞を書かなきゃいけないっていう使命が課せられる(笑)。自らそこに向かっていると思います。俺が迷うとコースケも迷っちゃうと思うし。俺がいい歌詞を出さないとコースケも"俺のトラックがだめなのかな"って思っちゃうだろうし。"お前のトラックはすげえいいよ"というのを歌詞で伝える、というのも俺の仕事だと思いますね。

-高橋さんがお作りになるトラックも、高橋さんの好みど真ん中ではないところもバンドへの愛情でしょうし。

上田:でもそれを克服するのが俺らの課題でもあるんですよ。打ち込みを全面的にフィーチャーしながらもバンドらしさを出して、自分たちの納得できるサウンドを作らないとと思っていて。打ち込みを入れているバンドはたくさんいるけど、打ち込みを入れる意味がしっかりしているバンドや、打ち込みを入れてもバンドの意味がちゃんとあるバンドはそれほど多くない。それは打ち込みとバンドの同居がすごく難しいということでもあると思うし、そのバランスは聴く人やる人の好みでもあると思うんですよ。"ウーロンハイのこの濃さが好き!"みたいなのがみんな違うのと同じようなもんですよね(笑)。でもその好みを超越したうまさを出せれば階段を上れるんじゃないか......とも思っていて。そこは課題なんです。

高橋:これを言うといつもメンバーから怒られるんですけど、僕自身はJAWEYEというバンドは打ち込みがなくても成り立つバンドだと思うんです。でもそれにプラスの要素で自分の音が入ることでより良くなればいいなと思ってトラックも作っていて。打ち込みだけだったら自分ひとりでやればいい。でもJAWEYEは5人のメンバーがいて生のバンド・サウンドが鳴っているバンドだから、それに合わせて作るのは大事なのかなって。その中に自分の好みを少しずつ挟んでいくのが楽しいなと思ってますね。

-自分たちが心から納得のいく作品が作れたら、これからいろんな挑戦ができそうですね。

高橋:そうですね。『Humanizer』は今できることを全部出したアルバムという気がしているので、このリリース・ツアーが終わるころには今よりもできることがもっともっと増えてると思うんです。だから次のアルバムを早く作りたい。いろんなことがやりたいです。

上田:「Paralyze」と「ホワイトスケール」を作ったときに"あ、俺まだできるな! まだ引き出しがある!"と思ったんですよね。まだ手を出してない領域がたくさんあるし、自分が気づいてない自分の魅力や強いものがまだある。それは俺だけじゃなくて全員にあると思うんですよ。そういう面をまだまだ出していけるなと思ったので、次の作品でもっと面白いことやりたいですね。

高橋:そうだね。"僕らはもう次に行くから、ちゃんとついてこいよ"って感じです。

上田:もう置いていきたいくらいですけどね!

一同:はははは!

上田:今回は今までのお客さんと新しいお客さんのこともいろいろ考えながら、自分の好みと今のバンドの姿、表現していきたいことを詰め込んだんですけど、もうひたすらにすべてを置いてけぼりにした曲を作りたい(笑)。"この曲おかしいよね。変だよね"と聴かせてみた「Paralyze」をみんなが"すげえいい!"と言ってくれて、"そうか。みんな見たことがない景色が見たいんだな"とすごく感じて。"じゃあ全員置いていってやる!"って(笑)。そんなふうに思ったことは今までないかもしれない。愛されるもの、受け入れられるものはすでに存在してるものでしかなくて、まだ見ぬものじゃない。自分自身すらも置いてけぼりにするような曲を作ってみてもいいかもしれないですね(笑)。