INTERVIEW
JAWEYE
2016.01.14UPDATE
2016年01月号掲載
Member:上田 浩平(Vo/Gt) 高橋コースケ(Mp)
Interviewer:沖 さやこ
-前作『ALTERNATIVE WORLD』はどの曲も随所にラウドロックの定番のテイストが織り交ぜられていると感じましたが、今作『Humanizer』は既存のジャンルに寄せていくというわけではなく、その曲その曲に合ったアレンジの楽曲が多いと思いました。
上田:モロくんがいろんなジャンルのいいところを取り入れて曲を作るのが得意だったんですけど、今回俺らは"こういうジャンルにしよう"とか"こういうサウンドでいこう"とか何も考えなかったんです。コースケはいろんな音楽を聴いてるので"一度思いっきりEDMな方向でやろう!"って話になってやってみたんですけど、俺がどうもその曲のを好きになれなかったんです。いくら時代的に流行っていたとしても自分が好きじゃないと思ったら、やらない方がいいなと。せっかく自主でやってるなら自分たちの好きなもので構成したかったんです。だから全曲ナチュラルなんだと思いますね。
-そうですね。今までのJAWEYEは機械的な要素と肉体的な要素という相反するもので曲が構築されていたと思うんですけど、今回は機械的な音も肉体的に聴こえるんですよね。
上田:タイトルの"Humanizer"も人間的にしていくという意味が込められていて。サウンドも歌詞もライヴの感じも、ロック・バンドでないといけない理由をつけていきたかったんですよね。EDMだとギターは必要ないんですよ。だから今回はギターをかき鳴らす理由があるロックを意識してて。曲や歌詞の世界観も無機的にしていくんじゃなくて、より有機的にしていくというか。
高橋:僕はパンクやミクスチャーを聴いて育ってるんですけど、RED HOT CHILI PEPPERSのFlea(Ba)とか大好きで。もともとベースをやっていたこともあって、めちゃくちゃ影響受けてます。だからライヴでのグルーヴは楽器やバンドの強みだなと思う。その反面、僕は打ち込みも好きなんで、そのバンドと打ち込みのいいところをうまく合わせていけたら......というのはいつも意識していますね。うちのメンバーは好きな音楽がそれぞれバラバラなので、偏ったものではなくいろんなものを混ぜられたらいいなと思って。
上田:悔いのない1枚ができましたね。今回は全部自分でメロディも歌詞も書けたし、一部の曲ではリフも作ったし。コースケもすごくかっこいいトラックを作ってくるから、もっと良くして戻したいという気持ちもありましたし。自分の理想や昔のJAWEYEを超えていこう!と思って自分の作業をしていたので、今作の8曲は全部そのハードルを越えられている感覚はありますね。
-Track.2「Paralyze」のようなドラマ性のある歌詞や楽曲は新機軸ではないかと。
上田:この曲はかなり早い段階で曲があったんですけど、レコーディングの前日まで4ヶ月間ずっと悩んでたんです(笑)。どうしても"だいたいこんな感じでしょ?"ってところまでしか辿り着かなくて......このままじゃだめだ!と思ってトラックをめちゃくちゃ変えちゃったんです。"この曲でやってないこと全部やっちゃおう!"と考え方を変えてみて。例えば、普通の曲はBメロから徐々に上昇していってサビがてっぺんになると思うんですけど、この曲はサビの音程が低くてサビの前後が高いんです。あとは、サビ以外1回も同じメロディの繰り返しを作りませんでした。
-様式にとらわれずにメロディを制作なさったんですね。
上田:せっかくそんなメロディなら、歌詞も自分がこれまで全然書いてこなかったことを書こう!というところからスタートして女性目線の歌詞を書いていきました。自分の中にいた卑屈な女が出てきた(笑)。2番以降は歌詞に合わせてメロディも変えていったから"この言葉で1番上に行きたい!"と考えてメロディを作っていって。......だから作り方が変なのかもしれない(笑)。
-(笑)ハウス・ミュージックなどによく入っている女声コーラスが随所に入れ込まれているところも面白かったです。
高橋:他のメンバーは全然EDM聴かないんですけど僕は家でガンガン聴くので、ちょいちょいそういう要素を入れてますね。だからそうやって言ってもらえるとすごく嬉しいです(笑)。本当はこういう要素をもっと入れていきたいんですけど、いかんせんJAWEYEの曲はダンス・ビートからかけ離れていることもあるので入れるのは大変で。でもそういうものに打ち込みの音が入るのは逆に新しいな......とも思うので、リスナーの方にはそういうところも気にして聴いてもらえたら嬉しいですね。
-今までよりも言葉の力が強い曲が多いのも特徴的だと思います。Track.3「Singin' in the rain」や「Daybreaker」は特に訴えかけてくるものがある。
上田:「Daybreaker」はメンバーが脱退してすぐに無料配信で曲を作ろうと思って書いたものなので......"負けないぞ!"という気持ちでしかないですね。「Singin' in the rain」は僕らが雨バンドなので、雨の曲を作ればライヴが雨でもより楽しんでもらえるんじゃないかな、雨を前向きに捉えてもらえるんじゃないかなと思って(笑)。だから"やまない雨も 明けない夜もありはしない"(「Singin' in the rain」)とか、"泣いたって突っ立ってたって/朝は来ないぜ/夜は明けないぜ"(「Daybreaker」)とか、歌っていることも一貫してるし。バンドとしても大変だった時期もあったけど、その夜が明けてこの体制になってこの作品が出せて。そうやって乗り越えてきたからこそ言える言葉でもあると思いますね。
-Track.8「ホワイトスケール」はJAWEYEの歌心がとてもいい状態で出ている曲だと思いました。
上田:この曲はすごく作るのに苦労したんですよ。最後に土壇場で全部ひっくり返したことだけは覚えてる(笑)。ドラムのレコーディングが終わってるのにコード進行を変えるというめちゃくちゃなことをやったんですよ。
高橋:ははは(笑)。そうだったね。
上田:この曲が"Humanizer"という作品名にすることを決定づけたんですよね。最初はEDM×ロック・バンドな曲を作ろう!ということで、"タン・タン・タン・タタタン"というリズムをもとに進めていって、コード進行やメロディの流れもEDMに準じて作っていったんです。俺的には"これでいいのかな~......(笑)。まあこういう曲もあるし、世の中的にはありなのか"と思いながら曲作りが進んで。でも最後の最後になって"やっぱり嫌だ!"と思っちゃったんですよ。でもやっぱり、"俺は泣きメロがいいし、4つのコードで落としてまた上げていく進行がいい! そういう曲が好きだからそういう曲にしたい!"という話をして。だから尺も全部変えちゃって。"自分がどういう曲を作りたいのか?"ということにすごく正直になって作った曲でもありますね。